続昭和初期の顕微鏡の世界(その3)対物レンズのクリーニング
(協和顕微鏡のレストア、観察、改造)
06.12.10公開
対物レンズは前回紹介したカールツァイス100倍に加えてKYOWAブランドの40倍、10倍、4倍とオーソドックスな構成です。 外装がくたびれているのはともかくとして .... 。 接眼側からレンズの汚れを見ると .... うっ! 予想通りとは言えひどいなぁ。 まぁ、このくらい時代を経たレンズはどれも似たりよったり。 問題はクリーニングで復活するかどうかです。

【写真3-1. 対物レンズ群(クリーニング後)】
ちなみに学習用顕微鏡を別として研究用顕微鏡の対物レンズは複数のレンズから構成されていることがふつうです。 1枚のレンズだけなら表と裏いずれも手が届くところにあります。 このケースではクリーニングは容易と言えます。 しかし、複数あったら? 当然手が届かないレンズ面もあるわけですね。 そんなところが曇っていたら .... 。 というか、なぜレンズで密封しているはずの空間で曇り&かびが生じるんでしょうね? 博士には不思議でなりませんが人間がアクセス不可能と思える微少な隙間でも微生物にとってはアクセス自在なのでしょう。 ..... この協和(KH型)のレンズ群も例外なく内側のレンズにもかびが生えていました。
こうなると通常のクリーニング(博士の場合はクリーニング液とティッシュペーパー、つまようじで磨くことを指しますが、)では手も足もでません。 致し方ありません、分解しましょう。 たいがいの場合対物レンズの裏側には黒いカバーがあります。 ものによって金属製 or 樹脂製、ネジ込み or はめ込みの違いがありますので慎重に見極めてはずして下さい。 ... 博士ははめ込み式と見誤って10倍対物レンズのカバーを傷つけてしまいました。... カバーを外すとカニ目のネジ(表現が不正確?)が出てきます。 ここはカニ目オープナーを持っていないとアカンですね。 東急ハンズなどが近くにあれば数千円で手に入りますが博士のような田舎住まいでは入手に往生するものです。 ネジが外れると枠に入ったレンズ(群)とスペーサーが出てきます。 入っていた順番を忘れないようにしましょう。 図に描いておくのが一番確実です。 40倍対物レンズにはスペーサ-として錫泊が2枚入っていました。 博士にとって初めての経験ですが博士とてそうそう何本も対物レンズを分解したわけではないのでそれが珍しい事なのか否かは良く分りません。


【写真3-2. 対物レンズの分解掃除(禁じ手です)】
ふぅ、やっと個々のレンズに分解できました。 しかし安心するのはまだ早いのです。 目的はレンズのクリーニングであって分解ではないことを思い出して下さい。 光学機器にあまり興味のない人はレンズにかびが生えることを信じない人がいたりしますが、まぁそうでしょうね。 食べ物にかびが生えるのは栄養分が有るから。 じゃあ、無機物のレンズに生えるのは?
以前もレンズのカビの写真を紹介したことがあります。 うーん、kmalさんのすばらしい写真と比較すると博士の写真はちょっとしょぼいですね。 というわけで写真撮影に再挑戦しました。 幸か不幸か被写体は「カビるほど」、もとい「くさるほど」あります。 しかし .... kmalさんの写真のようにいかにもカビっぽいものはありませんね。 どうもkmalさんのは生えたての「フレッシュなカビ」であり、前回や今回博士が目にしているのはすでに枯れた「カビのミイラ」のようです。 べたーっとしていていかにもカビらしいふわふわ感がありません。

【写真3-3. 対物レンズのかび(オリンパス(SZ-40型))】
ともかく、カビはレンズクリーナーで拭取りました。 しかし、... 。 パッと見は綺麗になりましたが光を反射させてみるとカビの痕がきっちり残っています。 カビはガラスを侵食する物質を分泌するそうですが、長時間それに晒されたのでしょう。 博士の経験ではカビがあっても拭けば取れることも多いのでカビが発生してからの(あるいはカビの活性期の)期間の長短が運命の分かれ目なんでしょうね。 ガラス研磨剤で少々磨いた程度では痕が消えません。 モーターで回すなりして強力に磨けば落ちるとは思いますがともかくこの状態で組みなおしてみましょう。 これまた博士の経験ですが、我々素人が覗く分にはそこまで神経質にならなくても良いようです。
もちろんカビやホコリ本体は完全に落として下さいよ。
協和(KH型)の本体(鏡基)はまだ手付かずなのでオリンパス(GC型)に装着して見栄味を確認して見ました。
協和(KH型)の鏡筒長は170mm、オリンパス(GC型)は160mmなので本来は無理があるのですがオリンパス(GC型)(千代田(B型)もですが)には鏡筒長を調整できる機能があるのでこうしたときに便利ですね。 蛍光灯照明・市販プレパラート(ビクセン)で試しましたがさとう研の他の直筒型顕微鏡(千代田(B型)〜オリンパス(GB型))と同じく素直な見え方です。 ただ、40×と10×レンズの同焦点性は問題ないものの、4×レンズは圧倒的に合焦位置が異なります。 レンズの再組立で間違えたか? それとも鏡筒長160mm用の接眼レンズを使っているせいか? ???
ともかく対物レンズのクリーニングは終了。 美しいですねぇ。 特に真鍮の輝きを見てください。 磨く前を思い出すとまさに月とスッポン。 よりレトロな顕微鏡では鏡基が真鍮むき出しのものもありますが、ちょっと欲しくなってきますね。
