身近なものの観察!シリーズ

岩石標本の作製&観察(その7)

2007.8.17公開

 岩石薄片標本の偏光観察もほぼ(素人観察の)ノウハウが確立し、のんびりと「岩石標本セット」のひとつひとつを制覇するのみです。 ...と思ったら。 地質学を専攻された「理系ママ」須田さんから、金属顕微鏡でも観察するものだという話を聞きました。 鉱物によっては透過光では同じように見えても反射率の違いにより区別できるものらしいです。

 さっそくこれまでに作った薄片標本で試したのですが....。 落射照明光がカバーグラスに反射するだけで良くわかりません。 この場合、カバーなしが正解ですね。 しかたない、研磨から始めましょう。 観察対象はあすぱらサラダちゃんが拾ってきた石です。 白いベースに黒い点々や金属光沢のある点々が散らばっています。 須田さんによれば「ごま塩石」とのこと。 そのまんまの名前ですが、そもそも「ごま塩石」とは? WEBで調べたらごま塩石=花崗岩のことらしいです。 いったいどこから拾ってきたんでしょうね?


【写真7-1. ごま塩石】

 薄片の作成方法はこれまで通りです。 ただ博士自身もコツを忘れかけていて、気がつくと削り過ぎ。 無くなっては元も子もないので細かい目で行う仕上げ研磨を中途半端で終えざるを得ませんでした。

 偏光顕微鏡観察と金属顕微鏡観察の比較をする訳ですが、観察はオリンパスMF型を一部改造(※)していっぺんに済ませました。 (※ステージ下面と接眼レンズに偏光フィルムを貼付けただけです)

 
【写真7-2. 観察方法の比較】
左:偏光顕微鏡での観察(クロスニコル)  右:金属顕微鏡での観察

 偏光観察(クロスニコル)では等しく白く光っている部分(範囲)をご覧下さい。 金属顕微鏡での落射照明では赤丸部分だけ反射して他は反射していないのが分かりますか? 逆に金属顕微鏡では区別できない所も偏光顕微鏡での観察では干渉色で区別できている所もありますね。 どちらが優れているという訳ではなく、おのおのの情報を補完する関係にあるようです。

 研究の最前線では電子顕微鏡付属の元素分析装置による観察が主流なのでしょうが、歴史的にはこうして鉱物組成を同定していったのでしょう。

 もうひとつ須田さんに教えてもらった事があります。 鉱物の同定目的ならば岩石を細かく砕き、接着剤で固めたものを研磨しても良いそうです。 なるほどと思い、試してみました。 ハンマーで砕きましたがどこまで細かくするのか、サイズが分かりません。 とりあえず粗塩くらいの大きさに留めましたが後述する理由によりもっと細かくするべきと思います。 出来た粉砕試料をエポキシ接着剤に混ぜ込み、スライドグラスの上で硬化させたものを普通の薄片のように研磨しました。 ...ここで気がつきました。 荒い粒ということはガラス面と殆ど点接触になっていますよね? つまり薄くすると殆ど無くなってしまうという事です。 理想的な薄片サンプルは0.03mmまで薄くすべき、ということは粉砕試料もその倍程度の細かさにしておくべきですね。

 
【写真7-3. ごま塩石(粉砕試料)】
左:粉々状態  右:研磨後、実体顕微鏡での観察

 と言う訳でそうとう中途半端な厚みしか作れませんでした。 到底透過照明による観察などもできず、実体顕微鏡による観察が精一杯。 うーん、もうひとつですね。 ただ、この方法は鉱物組成の同定には便利でしょうが、我々素人が「きれい、きれい」と眺めて楽しむのには向いていないきもします。 いっそのこと発想を転換して... 干渉色の異なる鉱物を砂絵のごとく並べて、オープンニコルではただの塩粒だらけ、クロスニコルではアートになる...といったものはどうでしょうか? 中学生ならば夏休みの自由研究と工作をひとつのプレパラート上に結実させる事も可能だと思いますが?




岩石標本の作製&観察1へ
岩石標本の作製&観察2へ
海辺で拾った石の観察へ
市販岩石標本の観察へ
高千穂渓谷で拾った石の観察へ
高千穂渓谷で拾った石の観察(2)へ
ごま塩石の金属顕微鏡による観察へ

観察コーナーTopにもどる
Top Pageにもどる



★クロスニコルで楽しむアートプレパラートですが、実際に作ろうと思うとかなり難易度が高そうです。 まず、干渉色ですが、同じ鉱物でも厚みが異なると変わってきますしね。 そこを逆手に取り、例えば純品を得やすい石英の粒度違いで色を変える事も出来なくはなさそうです。 ただし、こんな小さな粒をふるい分けるのは(企業や大学の研究室ではできても)家庭内では大変です。 うーん。 乳鉢ですりつぶす時間を変える事で何とかならないかなぁ。 2色くらいなら何とかなりそうだし、頑張れば3色も...?