身近なものの観察!シリーズ

岩石標本の作製&観察(その2)

2007.4.7公開


 岩石標本、けっこうお手軽にできるものですね。 今回はもう少し詳しく手順を説明しましょう。 偉そうに説明と言っても前回紹介した入門書(&HP)を見るだけで十分ですが、さらにお手軽にできる工夫が「ちょっぴり」入っています。 一般的な岩石標本作製の手順は5つのステップ、すなわち(1)チップ作製、(2)第1次研磨、(3)貼付け、(4)第2次研磨、(5)カバー、の順に進みます。

 まずは「ステップ1:チップ作製」です。 本格的には大きな岩石をハンマーや回転ノコなどで25mm×20mm角の大きさに調製するもの(らしい)です。 さとう研では縦5mm×横10mm×厚み3mm(程度)の石を選んでくる事によりチップ作製を省略しました。 これだけ小さく且つ薄いと研磨が極めて楽になります。 適度大きさの石が見つからなければハンマーで砕いても良いでしょう。 お手軽にやりたければ、とにかく「軽薄短小」が一番です。


【第1次研磨】
あすぱらサラダちゃんがはるさめサラダちゃんを指導中

 つぎは「ステップ2:第1次研磨」です。 ようはスライドグラスに貼付ける為に石の片側を真っ平らにするわけですな。 さとう研では180番の耐水ペーパー(耐水サンドペーパー)でひたすら磨きました。 もっとも「ひたすら」と言いながら5分もかかりません。 片方だけでも良さそうなものですがこの段階でもう片方も平らにしておいた方が精神的に楽です。 次いで耐水ペーパーの目を320番→600番→1000番→2000番とより細かい目で磨き上げます。 おのおの1分間くらいずつでしょうか? 合計で10分くらいです。 うーん、短すぎる気もしますがデジカメの撮影時刻を見直してもやっぱり10分くらい。 なお、貼付けない方の面は600番削りだけですよ。 耐水ペーパーはホームセンターで売っています。 23cm角で50円くらい。 消耗品ですがさとう研で使った石のサイズなら40個くらいは磨けます(まだ使い切っていないので推定値ですけど)。

 磨いた石を洗って乾かしておく間にスライドグラスの縁を削っておきましょう。 これは第2次研磨の時に指を切らない為の大切な処置です。 さとう研では600番の耐水ペーパーで軽く削りました。 こちらも洗って乾かします。

 さらに「ステップ3:貼付け」です。 本格的にはカナダバルサムを使います。 博士も持ってはいるのですが...。 バーナーで揮発分を飛ばす、など取り扱いが大変そう。 『原色岩石図鑑』でも接着剤での代用を示唆しているし、「...家庭でのあり合わせのものを間に合わせる工夫を望んでは止まない。」と心強い事も書いてあります。 と、言う訳でエポキシ接着剤を使いましょう。 普通のエポキシ接着剤は黄色っぽい色だったりするので貼付けには完全な無色透明のエポキシ接着剤を使いました。 普通にホームセンターで売っているものなので入手は容易です。 石に接着剤を塗り、上からスライドグラスを貼付けます。 1作目&2作目では指で押さえただけでしたが、これでは石とスライドグラスの隙間が開いてしまい、よろしくありません。 とはいえこんな小さなものに重しを載せるのも難しいものです。 ...結局、洗濯バサミで挟む事にしました。 洗濯バサミは木製のものの方が滑らなくて吉です。


【貼付け(マウンティング)】
(左:硬化するまでの固定  右:貼付け直後)

 さぁ、「ステップ4:第2次研磨」です。 貼付け直後の石は写真(中&奥)のごとくまだまだ厚みがあります。 これを完成見本である写真(手前)の薄さにまで仕上げる訳です。 またまた600番から始める訳ですが、第1次研磨の時に先走って細かいペーパーでピカピカにしてしまっていたら... 「認めたくないものだな。自分自身の、若さ故の過ちというものを。」(博士の第1作がそうだったりします) なお、第1次研磨と違うのは持つものがつるつるのスライドグラスなので滑って持ちづらい事。 滑り止めの為にスライドグラスの裏に短く折った爪楊枝などをガムテープ(布テープ)で貼付けましょう。 他にも吸盤を付けるなり、いろいろと工夫の余地がありそうです。 ともかく、滑り止めが有るとなしとでは大違い。 あすぱらサラダちゃんとはじめてやったときは滑り止めなしだったのでちょっと磨いてはウエスで水分を拭き取って、を繰り返しました。 ただし、滑り止めなしの方が磨き加減が分かりやすい利点はあります。

(4.8追加) その後WEBで情報を探していると素晴らしいアイディアに巡り会いました。 理科教員の緒方さんが運営するHP「SKIPPA」で紹介されている、その名も「1人1枚1時間でできる岩石薄片作製法」です。 これを見るとお手軽岩石標本作製に関して博士の達した結論の殆ど網羅するばかりか、さらに進んだ点として第2次研磨用の「自作ホルダー」まで完成されています。 さっそく博士も真似てみましたが能率が倍以上にアップする優れものです。 うーむ、お見事。

 さて、第2次研磨、第1次の時よりも削る量が多いはずなのですが...。 実績としてはやはり10分くらい。 下の写真を上の写真(右)と比べてみてください。 こんな真っ黒な石も薄くなると模様がよくわかります。 本来はもっと薄くするべきだと思いますが片ベリしていてこれ以上やるとなくなってしまいそうなので...。


【第2次研磨後】

 最後に「ステップ5:カバー」です。 これまたエポキシ接着剤をたっぷり付けてカバーグラスをかけ、洗濯バサミで固定します。 エポキシ接着剤は混ぜるときに泡だらけになり、プレパラートに残りはしないかと心配になりますね。 洗濯バサミで挟んでおけばかなりましではありますが、やはり泡は残ります。 次に東急ハンズに行く機会があれば「ガムメディア」を買う事にしましょう。 岩石以外の部分はあからさまに泡が残りって格好悪いのですが、ここは実用上関係ないので気にしない事にします。 はみ出した接着剤はカッターで切り取り、ピンセットで取り除きましょう。 前回は「柔らかいうちに」と言いましたが、ちゃんと硬化した後の方が跡を残さずに取り除く事が出来るようです。


【岩石標本】
(左:デジカメ接写  右:写真左の赤囲み部分を顕微鏡拡大(クロスニコル下、対物40倍))

 やっと岩石標本の完成です。 素人細工だけあって厚みにムラがあり、厚い部分は細かな鉱物結晶が何層にもなっているし、薄い部分は半分無くなりかけています。 でも、あんな真っ黒な石が結晶の固まりである事が実感できますよ。 ...つまり、クロスニコル下で見るといかにも結晶っぽい(水晶や食塩みたいに角々している)でしょう?

 もう一つ紹介しましょう。 これぞ極彩色の世界。 本来石英はクロスニコル下で白ないし冬の曇り空の様な冴えない色になるまで薄くするべきで極彩色なのは厚すぎる証拠なのですが...。 子供ウケを狙って敢えて厚めで作ってみました。 高倍率で覗くと結晶粒が重なっていてもっと薄くするべきなんだ、と改めて実感します。 ...でも! やっぱこっちの方がサラダちゃん達にウケますね。


【岩石標本(子供のウケ狙い)】




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★全然関係ない話ですけど。 シャア・アズナブル少佐(物語開始当時)は25歳くらいだった気がします。 当時の博士は高校生どころか中学生でも大人に見えたので違和感はありませんでしたが、今考えると...? ...って、なんでシャアの話が出てきたのか分かりますよね?
★厚み調整の話です。 偏光顕微鏡を覗きながらじりじりと追い込んでいくべきなんでしょうね。 まぁ、時間があるときにのんびりと...。