観察レポート・(ミクロの世界の観察)
「レーヨン糸の観察」
2006.2.4公開
今回のお題はレーヨン(rayon)糸です。 そもそも「レーヨン」とは何ぞや? この辺りを博士が語り出すと長くなってしまうので省略しておきます。 簡単に言えばキラキラ感が高いのが特徴で婦人物のブラウスや刺繍糸に良く使われている繊維です。 そもそもレーヨンの「ray」って光線という意味でしょ? (詳しく知りたい方はWEBで調べてみてください)

【レーヨン刺繍糸】
レーヨン糸を観察しようにも綿糸と違って普通の家庭に常備されているものではありません。 手芸屋さんに行って刺繍糸を買ってきましたが男性が買うのはちょっと照れくさいものがあります。 もし「自分もレーヨン糸を観察したい!」と言う方は上の糸を一部お送りしますので御連絡ください。
レーヨン糸、というよりも刺繍糸は通常の糸と比べて太いですね。 実体顕微鏡で見てみると複数の糸が編み込まれて1本の刺繍糸を構成しているのが良く分ります。 前に観察した綿糸と比べてみてください。 さらに言えば綿糸では糸本体から毛羽がたくさん飛び出ていましたがレーヨン糸の表面はつるつるですね。

【レーヨン刺繍糸】
この理由は糸を解いてみると分ります。 綿糸では糸をどんどん解いていくと最後には長さ数cmの糸綿にばらけてしまいました。 レーヨン糸でも解いていくと細ーい単繊維にまで分解できるのですが、その単繊維ですらどこまでも長〜く続いています。 このレーヨン糸は「長繊維」であり、例えば刺繍糸が1000mあれば単繊維も1000mあります。 一方で綿糸は「短繊維」であり、数cmの単繊維を紡いで1000m、あるいはそれ以上の長さにしているのです。 「単繊維」と「短繊維」、読みが一緒で紛らわしいですね。 前者は「糸」を構成している1本の糸を意味します。 後者はその単繊維が短い(〜数十cm)か長い(それ以上)かを区別する言葉です。 (ちなみにレーヨンにも「短繊維」のものもあります。 これは生産時に長繊維をカットして作られているものです)

【解いていくと..... 】
ここまでは実体顕微鏡の役割ですね。 これ以上のミクロの世界は生物顕微鏡の出番です。 まずはレーヨン単繊維をグリセリン封入して覗いてみましょう。

【レーヨン単繊維(側面)】
生物顕微鏡で見ると色(朱色)が薄まり、しかも透明感がありますね。 生物顕微鏡(透過光照明)の宿命です。 肉眼と同じ反射光で見ればちゃんと朱色だと思います。
さて、レーヨン単繊維。 1本の繊維だと言うのに多数の筋が入っていますね。 まるでもっと細い繊維の集合体のようです。 レーヨンがキラキラ感を有するのはこの構造も一役買っていると言われています。 この筋状の構造はいったい何なんでしょうか? それを知るには断面を観察する必要があります。
前回の綿糸同様、ホットメルト接着剤で包埋し、切片を切り出しました。 今回改良したのはホットメルト接着剤で包埋した後にアルコールランプで加熱したことです。 加熱により接着剤が液状化すると糸のまわりの気泡が追い出され、前回のような見苦しい気泡を解消する事が出来ました。 後は両刃カミソリ刃を使って実体顕微鏡下、慎重にスライスします。 ちなみに下の写真の切片はまだ厚すぎです。

【樹脂包埋&切片の切り出し】
切り出した切片をグリセリン封入してプレパラートの出来上がりです。 実体顕微鏡視野(40X)ではペラペラに見える切片も生物顕微鏡視野(40X〜1000X)ではかなりの厚みで繊維も直径の10倍以上の長さに見えます。 ただ、上手い事に高倍率では焦点深度が浅いのでピントの合った一面だけを写真に写し込む事が出来ます。

【レーヨン糸(断面)】
単繊維断面がシワシワというか、妙な形をしているのが良く分りますね。 綿糸の断面も潰れたマカロニというか、変な形でしたがレーヨンも良い勝負です。
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★ホットメルト接着剤での包埋、気泡の点はなんとか解消できました。 でも、不透明なのはどうしようも無いですね。 もっと薄い切片を切り出したら気にならなくなるかもしれませんけど ...... 。
★(2007.12.16追記)エポキシ接着剤包埋+バルサム固定でプレパラートを作り直しました。背景のもやもやは何とかなったけど、もう一つだなぁ。 うーむ。

【レーヨン糸(断面:撮り直し)】