観察レポート・(ミクロの世界の観察)

「繊維の観察(切片作製の工夫)」

2007.11.4公開

 繊維の顕微鏡観察。 横から観察する分にはビクセンなどから販売されている市販プレパラートを見たり、わざわざ買わなくても自分で簡単にプレパラートを作製できます。 せっかくだから断面も、と「綿糸の観察(その2)」、「レーヨン糸の観察」、「絹糸の観察」で紹介しましたが....。 本来人様に見せるような完成度じゃありませんね。 「お手軽に」が信条ですが、もう少し工夫してみましょう。 これまでは糸を接着剤で固めて羊羹状にし、まな板の上で切るごとくカミソリ刃を上下方向に動かして切片を切り出していました。 この方法はまな板がしっかりしているので切りやすい反面、厚みの調整がしがたいものです。

 このため、接着剤で固めた糸入りの羊羹を縦にして台に固定しました。 上から実体顕微鏡で覗きながらカミソリ刃を横方向に動かして切片を切り出します。 いわばリンゴの皮を剥く時の包丁使いですな。 カミソリ刃の先端と切り出し面の位置関係を精度よく見極める事が出来るので有利なはずです。


【切り出し準備完了】

 最初は接着剤としてホットメルトを使いましたが、やはり柔らか過ぎるし粘着性が強くてカミソリ刃からの離れが良くなく、今ひとつです。 次はエポキシ接着剤を試してみました。 これも柔らかいのですがホットメルトよりはマシ。 ベストとは言えなくてもベターではあります。

 数うちゃ当たる、で諦めずに何枚も切り出します。 切り出した切片(1mm角もないので取り扱いは実体顕微鏡下です)をスライドグラスでなく、カバーグラスにのせ、ずれない様に接着剤部分を針でガラス面に「ちょん」、と押し付けておきます。 カバーグラスに載せるのは厚みムラ対策です。 ミクロトーム(切片を切り出す専用の機械)で均一な厚みの切片を切り出せば教科書通りスライドガラスの上に並べれば良いのですが、手で切り出した切片は相当な厚みムラがあります。 顕微鏡はあくまでも対物レンズと平行な、真っ平らな面にしかピントが合わないのでその条件を満たすスライドガラスの裏に引っ付けておく訳です。

 
【綿糸(断面)】
(左:対物10X、右:対物40X)

  左の写真の赤丸()部分はそこそこ薄く切り出せていますが他の部分は厚くなってしまい、繊維の長さが写り込んでしまっています。 おまけに先のセオリーを忘れてスライドガラスにくっつけてしまっています。 もっとまともな切片もあったのですがそんなのに限って切片が中途半端に浮いていて糸全体にピントを合わせる事が出来ず、NG。 残念な事です。

 照明の電圧も低すぎました。 電球の赤みが強く出た所を色補正したものだから糸のエッジなどに本来ないはずの変な色が出ています。 ...と言う訳でやっぱり人様に見せるようなものじゃない(見せているけど)けど、それでも前の写真よりはマシになりました。

 一緒に絹糸も試してみました。 綿糸と比べて格段に細いので難易度も桁違いです。 薄くする事ばかりに気を取られていたせいか、薄さはともかく切片にしわが寄ってしまいました。 こちらはむしろ先の写真の方がマシ。 前回は包埋に使った接着剤が不透明だったせいで厚みのある切片でも切り出し面が強調されたのが吉だったようです。 まだまだ修行不足ですな。


【絹糸(断面)】



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★絹糸の方はやはり素人が薄く切片を切り出すのは難しそうです。 むしろ包埋材を色付きのもの(色付きのロウソクとか、...黒色のロウソクって世の中に存在しているんでしょうかね?)にして厚めの切片にした方が良い結果が得られそうな気がします。 そうすると暗視野照明の様に背景が暗くて繊維が光って見えるので見て楽しむ分には奇麗になります。 ただ、写真撮影が難しくなりますけどね。