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私のマンマーク

オスカル・ダウット

国籍 メキシコ
出生地 グアサベ・シナロア
誕生日 1976/6/8
身長 184cm
体重 84kg
ポジション ゴールキーパー
所属チーム(2004年閉幕シーズン) プエブラ
「ボルカンのファンが冷たい訳」

ティグレスがプエブラをホームに迎えた時のことです。いつもの様にスタジアムはティグレスカラーである黄色と青に染まっていました。そして、いつもの様に熱心にティグレスに声援を送っていました。しかし、いつもとちょっと違うことがありました。黄色に染めたティグレスファンがプエブラのバックパスやゴールキックに異常に反応しているのです。バックパスがゴールキーパーに渡るタイミングで「うぉ〜」と盛り上がり、まるで「外せ〜」と言っているようでした。

その理由はプエブラのゴールキーパーのアップになってすぐに分かりました。オスカル・ダウット選手だったのです。ダウット選手は2シーズン前まで2年間(4シーズン)ティグレスのゴールを守った、いわば昔の同志でした。

ダウット選手はプエブラにいた2000年非常に良く当たっていました。「2002年のワールドカップに第3キーパーとして誰を呼ぶか?」ということが話題になった際に、現在ネカクサにいるマルティネス選手(当時サントス・ラグーナ)かこのダウット選手だろうと言われていた時期もあったのです。その期待を背負ってダウット選手はティグレスに移籍してきました。

2001年冬期シーズン、ティグレスはリギージャで勝ち残り、悲願の優勝まで後1歩というところまでやってきました。対戦するのはパチュカです。その決勝戦2戦目、ティグレスのホームでのことでした。第1戦目でパチュカが2-0と先制していたため、ティグレスは総攻撃モードに突入していました。パチュカはフォワードのアルゼンチン人クキ・シルヴァニ選手を一人残して10人で守備をし続けていました。ティグレスの攻撃は本当に凄まじく、パチュカはひいひいいいながら守備をしている状態だったのです。そんな状況で、ダウット選手ははっきり言ってやることがほとんどありませんでした。総攻撃モードだったので、ディフェンスも出払ってしまっていたため、ダウット選手もスイーパーの様に大分はり出して仲間の攻撃を見ていたはずです。(実際の場面はテレビに映っていなかったのでわかりませんけれど)

そして、何度目かのティグレスの攻撃をパチュカが跳ね返し、左サイドバックのヤクタ選手が前方に一人残っているシルヴァニ選手にパスをだしたのです。シルヴァニ選手はボールを受け取り、ゴールとダウット選手の位置を確認するや否やセンターラインのあたりからシュートを放ったのです。

ダウット選手は慌てました。ゴールに向かって必死に戻りました。

しかし、ボールはダウット選手をあざ笑う様にゴールの中に飛び込んでいきました。そして必死に戻ったダウット選手もゴールの中にもんどりうっていき、ネットにひっかかりました。このシーンは余りに劇的だったため、繰り返し放送され、パチュカの優勝と共に人々の心に深く刻まれたのです。おそらくティグレスのファンはそのシーンが放送される度に心に傷を負っていったのでしょう。

そして、2003年の閉幕シーズン、ティグレスは快進撃を続けてリギージャに乗り込みました。そして、準決勝にどんな状況においても負けたくない同じ街の運命のライバル、モンテレイとあたることになってしまったのです。

その重要な1戦、ティグレスのホームでのことでした。ダウット選手はとんでもないミスをして、モンテレイのゴールを許してしまいました。その瞬間私はダウット選手のティグレスでの選手生命は終わったと確信しました。そして、それをみて緊張したディフェンダー、マリオ・ルイス選手まであり得ない様なミスからモンテレイのエルヴィッティ選手にゴールを許してしまいました。このミス2連発が致命傷となり、ティグレスはモンテレイの軍門に下り、モンテレイが決勝に進出しました。そして、結局モンテレイが優勝するに至ったのです。ティグレスのファンはそのモンテレイの優勝パレードからなにから一部始終を見たくなくともみることになったのでした。

フォワードの選手はミスをしてもある程度許されますが、ディフェンダーやゴールキーパーのミスは、人々の心に残りやすいと言えましょう。そして、そのタイミングが、どうしても負けられない…という場面においては、絶対に許されないのです。2001年の冬期リーグも2003年の閉幕シーズンもダウット選手のミス「だけ」で負けた訳ではもちろんありません。しかし、ティグレスファンの心にいつまでもとげの様に刺さって離れない、「忘れたいけど忘れられない」場面の中心にいつもダウット選手が居たのも確かなことなのです。「戦犯」にされてしまったダウット選手にとっても、ティグレスのファンにとっても不幸な出来事でした。

後半になり、ティグレスがプエブラの自殺点を誘発して2-1と勝ち越しました。スタジアムのファンはことのほか嬉しそうでした。その後、ダウット選手がボールに触る度、ティグレスのファンは「わ〜い」とはやし立てました。しかし、そのティグレスのファンが沈黙する瞬間がやってきました。後半立て続けにプエブラが2点を入れて、2-3とプエブラが逆転したのです。その瞬間、テレビカメラは小躍りして喜ぶダウット選手を映しました。

スタジアムは「ティグレス!ティグレス!」と応援をはじめました。まるで2001年冬期シーズンの様に、2003年閉幕シーズンの様に。

それを逆の立場で聞いていたダウット選手はどんな気分だったでしょう?