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メキシコ代表まっしぐらっ!


ウーゴ・ヨンチェスさんの代表レポート。
連絡なしの転載・引用等はご遠慮ください。転載・引用ご希望の場合はこちらまでご連絡ください。責任もってヨンチェスさんに取次ぎます。
 
ドーピング疑惑、そしてギリシア戦>

<晴天の霹靂>
今週はお騒がせな週だった。ブラジル戦に勝った翌日の新聞にいきなりデカデカと『カルモナとガリンド代表離脱』の文字。ブラジル戦勝利の立役者ともいえる2人だけにどのスポーツ紙もトップで報じた。メキシコサッカー連盟から発表されたコメントは『チームの秩序を乱す著しい行為があった。チーム内全員の総意で決まった』というもので、具体的な理由は何ら説明されなかったためにスキャンダラスな展開となっていく。最初は小生も『ブラジル戦勝利に飲んだくれランチキ騒ぎを起こした、活躍に自ら鼻高くなって挙句チームメートと喧嘩した』程度のことなのかと思ったが、事実は違った。
 最初は慎重だったFIFAもFMFからの正式な報告を待ち、それがドーピング陽性反応による登録抹消であることが確認された。難しいのはメキシコチームが出国する前にFMFが行った検査で陽性が出て、その結果がブラジル戦後に判明した、という時間的な経緯をどう解釈するかである。大会中の試合における検査との関連性はこの場合どうなるのであろうか。大会中の検査に引っかかったのであればFIFA主催大会への一定期間の出場停止となるところだろうが、大会に参加する前のFMFが行なった検査という状況が微妙ではある。

<メキシコ代表とドーピング>
 メキシコ代表でこれまでドーピングに引っかかったケースは、1997年のコンフェデレーション杯でのC・スアレス、1999年のコパ・アメリカでのR・ララ、P・チャベスの例があり、スアレスのは何故か不問(検査手続きに不備があったとされる)、ララとチャベスのケースでは6ヶ月の南米連盟主催大会への出場停止という懲戒が与えられた。コンフェデはFIFA主催だから、その主催大会への2人の出場は一定期間不可となる裁定が下るだろう。
検出されたとされる薬物はスアレスとチャベスがナンドロロン系、ララがテストステロン系といわれている。ちなみに今回の二人もナンドロロン系らしい。 調べてみるとナンドロロンはステロイド系の筋肉増強剤でグアルディオラやダビッツ、デラペニャら超一流選手たちも引っかかったことがある、一般的なドーピング薬だ。男性ホルモンといえば話は飛ぶが、メキシコ陸上競技界のスター、アナ・ゲバラ選手(♀)の声はなんであんなに太くて低いのか、前から気になっている。オフのときと声の高低や表情の柔和さが結構違うのだ。これってもしかして?と思わないでもない。

 さて、先述の国際大会で引っかかったメキシコ選手は、大げさにならずにその後も大会を続けたスアレスのケースを除き、ララ、チャベスは6ヶ月の出場停止が解けた後、明らかにコンディションを落とした。所属チームやメキシコリーグでは出場していると思うが代表選手としてはその後日の目を見ることはなっかたと記憶する。チャベスなどは右サイドのスペシャリストでFKも上手く、お気に入りの選手の一人だっただけに残念だった。今回の二人も、来年のW杯出場は非常に厳しくなったのではないかと推察する。まず心身ともにコンディションが落ちるだろうし、マスコミや周囲の視線も決して甘くはないだろう。そんな中で己を再びトップコンディションに持って行きW杯というタフな大会を戦うことは非常に困難になること間違いない。とても残念な話である。
 

<ギリシア戦>
そんなすったもんだの雰囲気の中で迎えたギリシア戦は、思った通り選手のコンディションが良くなかった。何しろマルケスが負傷から回復しないところへ、更に主力のDF2人がいきなり抜けたのだから戦力ダウンは著しい。この日はフォーメーションを大きくいじって、しかもシーニャとボルゲッティを休ませたので以下のような布陣でスタートとなった。

GK サンチェス、DF メンデス、オソリオ、サルシード、ピネダ、MFパルド、ペレス、ロサノ、モラレス、ロドリゲス、FW フォンセカ

 メキシコはボランチにパルドとロドリゲス、左にロサノ、右にペレス、モラレスをトップに近い位置に置く布陣で中盤を組み中盤を厚くしたが、コンビネーションには不安があった。
対するギリシアは日本のサッカーファンにもなじみの深いブレーメンをかつて率いた名将レーハーゲル率いるチームで、当然昨年の欧州チャンピオンなのだが、今大会は2敗と調子が上がらず、既に予選リーグ敗退がきまっている。是が非でも一勝を期して試合に臨んだはずだ。

 試合は両チームとも攻守に慎重で一進一退の展開が続いたが、前半のギリシアのビッグチャンスは立ち上がり6分。左からのクロスに中央でヘッドで合わせ、これがバーにあたり跳ね返ったところをブリザスがシュートするがメキシコGKサンチェスが驚異的な反応でコーナーに逃れた。メキシコは18分、モラレスの精度の高いクロスが逆サイドのフォンセカに渡りGKと1対1になったが、GKニコポリディスに当たって外す。
 後半はボランチのパルドに代えてメディナを投入してみたがシステムがやや混乱。60分にはボランチのトラドをフォンセカに代えて入れ、メディナを1トップに置き5人のMFに戻した。この辺の交代策ははっきり言ってよくわからん。27分に怪我から回復してきた中軸のマルケスをロサノに代えて投入しサルシードとセンターバックを組ませ、オソリオが右サイドに、メンデスがひとつ上がって右のアウトMF入る。この変更は特にこの試合の流れの中での交代というよりは、準決勝、決勝を見据えての慣らしと思われる。
 試合は一進一退かわらずで、メキシコは後半の34分に左サイドのモラレスからのクロスに中央でメディナが合わせてゴールを割ったかに見えたがオフサイドの判定。際どいがオンサイドにも見えた。またギリシアも試合終了前に立て続けにメキシコゴールに迫ったがバーに嫌われたり、サンチェスの攻守に遭いゴールを割れずタイムアップとなった。
 カルモナとガリンドの離脱、ボルゲッティとシーニャ欠場の影響か全体的にメキシコは冴えない内容だったが、負けないという最低限のノルマはクリアして準決勝のアルゼンチン戦に臨むことになった。


コンフェデレーションカップ準決勝 VSアルゼンチン>

メキシコのスタメンは、GKサンチェス、DFメンデス、サルシード、オソリオ、マルケス、ピネダ、MF パルド、モラレス、シーニャ、ロサノ、FWボルゲッティ。ラボルペは母国との対戦に、FWは1枚外してボルゲッティの1トップ気味、右のメンデスは守備的、通常左アウトサイドの攻守のオプションであるロサノとピネダの併用とやや守備意識の強いシステムで挑んだ。今大会なかなかやりくりの大変なDF陣は、この試合でもソリンのケアか、サルシードを右のセンターに置くなど工夫が見られたが、最大の驚きはマルケス。負傷で欠場し今大会はスタメンはこの試合が最初だったが、ラボルペは立ち上がりマルケスをDFラインの一つ前でリケルメを見張るボランチに近いポジションで起用した。

 

立ち上がりのロサノのシュート、左CKからのマルケスのヘッド以降は両チームともゴール前に行く前につぶされ大きなチャンスはないまま試合が進んんだが、パワーとスピードに優るアルゼンチンがソリン、サビオラ、リケルメらを中心とした攻めで個々のパワーとスピードで優りリズムを掴みつつあったが、メキシコは集中守備とパスワークで対抗、シーニャ、モラレスの敏捷さを生かした攻めを繰り出して、双方持ち味を出した拮抗した好ゲームとなった。ボランチに近い位置に入ったマルケスは守ってはリケルメ番としてよく機能し、メキシコのマイボールの際には高い展開力でゲームを下から組み立てる等、能力の高さを見せつけた。
 0−0で前半が終了し、後半も一進一退の攻防が続いたが、アルゼンチンはリケルメが巧みにポジションを代えマルケスとDFの間のスペースを利用する作戦に出る。メキシコはマルケスを通常のセンターバックに、サルシードとオソリオのポジションをオリジナルに戻して対抗。メキシコは後半9分に相手クリアを拾って右からドリブルで中央へ入ったシーニャのシュートがポストへ。その後10分に最初の交代。ロサノに代えてペレスを投入し、ペレスが左のインナーに、モラレスが本来のポジションである左のアウトへ。13分にはアルゼンチンが右CKからチャンスを掴みフリーのコロッチーニがヘッドで狙ったが、サンチェスの好守で凌ぐ。モラレスが負傷退場した28分にはメディナをそのまま左のアウトに投入、高い位置に張らせてプレッシャーをかける。どちらかと言えばメキシコの守備陣の安定が光り、アルゼンチンの攻撃はやや沈黙、次第にアルゼンチンのファウルが増えて行く。メキシコの支配率が高まった31分、FKからピネダのクロスをボルゲッティが逆サイドで合わせヘッドがポストを直撃するシーンがあったがオフサイド。44分ピネダへのファウルでサビオラが一発退場。流れがさらにメキシコ有利に傾くかと思われたが、後半ロスタイムにマルケスがアイマールへのファールでこの日2枚目の警告で退場となり、10人対10人の状況で延長戦に突入した。

 延長戦ではマルケスの退場のためメンデスがセンターバックに、シーニャに代えてトラドを投入しボランチを2枚に増やして守備の意識を高くした。そのせいかアルゼンチンが右サイドのサネッティ、アイマールらがリズムを作ったが延長前半13分、アルゼンチン右CKのカウンターからメディナ、サルシードと渡るとサルシードが左サイドを独走。DF2人をかわしてシュート。ボールはカバーに戻ったコロッチーニの足を弾いてゴールへ吸い込まれた。だがアルゼンチンもその後すぐに立て直し、延長後半4分、左からのクロスをフィゲロアがヘッドで落としロドリゲスのシュートがこぼれたところを再びフィゲロアがシュート。当たりそこねのボールはサンチェスをあざ笑うかのように股間を抜けゆっくりとメキシコゴールへ転がり同点に追いついた。

身を切るようなPK戦は、高い集中力で両チームとも5人全員が決めてサドンデスにもつれ込んだ。スタジアム中が息を呑むような緊張に包まれる中、メキシコ6人目のキッカーのオソリオが蹴ったボールが右に飛んだ新鋭GKルクスに弾き出され、アルゼンチンはカンビアッソが決め試合終了、アルゼンチンの結構進出が決まった。敗れはしたものの、どちらかといえば苦手のアルゼンチンと互角に渡り合ったメキシコの健闘が光った。




<W杯北中米最終予選 VS コスタリカ戦>

8月17日、メキシコはホームでコスタリカと対戦した。メキシコのスタメンは次の通り。

GK サンチェス、DF サルシード、オソリオ、マルケス、F. ロドリゲス、MF ガリンド、パルド、トラド、シーニャ、FW ボルゲッティ、フォンセカ

試合は立ち上がりから積極的に前に出ようとするメキシコがペースを握り、9分にはボルゲッティのシュートがポストを叩くなど優勢に試合を進めるかに見えたが、守備に人数を割くコスタリカに対し攻め倦み、その後試合は膠着、前半を無得点で終了した。ボランチ中央のパルドはともかく、やはり元来守備的なガリンドとトラドをサイドに配した布陣は、ホームで前に出るべき状況では今ひとつ噛み合わず、トップの2人とシーニャが相手の集中マークにあって孤立する悪循環で攻めの形すら作れない有様だった。

 後半開始からメキシコはトラドに代えて左MFにモラレスを投入、左サイドの高い位置に張らせ、更に守備面での心配はないとみると後半15分にはやや荒れ気味のマルケスに代えて左のピネダを投入、オソリオを右サイドに回し左右からの攻めを分厚くすることで状況の打開を図ろうとした。これが功奏したのか、後半17分、右サイド深い位置のスローインからの展開でオソリオが低いセンタリングをあげると、コスタリカのDFがクリアミス、左サイドに流れたボールをボルゲッティが蹴りこんで待望の先制点を奪う。
その後メキシコがシーニャに代えブラボを投入して更に前への意識を強くし、コスタリカも引き分けを狙うには前に出ざるを得なくなったことで試合は活性化した。
40分にはモラレスのロングシュートをGKが弾いたところをフォンセカが鋭く詰めて蹴りこみ2−0、勝利を決定的なものとした。
後半の布陣変更により中盤に奥行きと幅が出て攻撃が活性化したこと、先制点が取れたことでコスタリカが前に出てきたためメキシコにも中盤から前でスペースが生まれたことが勝利につながった。他方、絶対的有利を誇るアステカスタジアムで守備的な布陣を敷いて機能しなかった前半は批判されて然るべきであり、次節の米国との直接対決を前に様々な議論を生み出しそうだ。



<VS 米国>
9月3日、メキシコ系住人の少ないと言われるオハイオで行われたコンカカフの首位対決。勝った方の予選突破が決まる意地と面子を賭けた1戦は、米国が2−0で順当に勝利した。
ちなみに2000年代に入ってから、メキシコは米国にアウェーで勝っていない。しかも全てが零封での完敗ばかりなのだから北中米の雄のプライドもズタズタだろうが、実際コンカカフの勢力図は変わりつつある。むろんそれは米国が既にメキシコを超えた、と一概に言えるほど明確なものではないが以前ほどの力の差はなく、米国の方が自信を持ってメキシコ戦に臨んでいる。そんな雰囲気がこの試合にもはっきりと見られた。

 メキシコの布陣は以下の通り。

GK サンチェス、DF サルシード、ダビーノ、マルケス、F. ロドリゲス、MF ガリンド、トラド、モラレス、シーニャ、FW ボルゲッティ、フォンセカ

 DFでは負傷のオソリオに代えてダビーノが入り、また先のコスタリカ戦で批判されたボランチはパルドを抜きガリンドとトラドの2ボランチとした。
 予想されたとおり激しい中盤でのプレスのかけ合いとなったが、ホームで高い位置からプレスをかけボールを奪いに行ったアメリカがやや優勢。メキシコは中盤でなかなか自分たちのペースでボールがつなげず、前線へ運んでも寄せの速い米国DF陣に手を焼いていい形が作り出せなかった。ちなみにメキシコの前半のシュートは2本。他方米国も中盤から前線にかけての攻めが雑で、単発のシュートは何本か放ったものの、メキシコの最終ラインに抑えられ決定機は作れないままで、四つに組んだまま前半を終了した。

 後半も同じような展開で双方とも決定機がないまま一進一退の攻防が続いたが、後半7分マルケスの詰まらないファウルから自陣左サイドでFKを与えたメキシコはややアンラッキーな形から失点する。FKからのボールにゴール前で米国FW2人と競ったF.ロドリゲスが頭に当て損ねメキシコのゴールポストに当たって跳ね返ったボールを詰めていたラルストンが難なく押し込んだ。ややアンラッキーであったとはいえ、ロドリゲスの不安定なクリアが失点の直接の原因となった。
 この失点でメキシコはやや気落ちし米国は逆に勢いづいた。11分にはゴール中央でDF3人がお見合いをし、ダビーノが緩慢なプレーから浮き球の処理を誤ったところをドノバンにかっさらわれ大ピンチに。このシーンはドノバンのシュート体制に無理がありCKに逃れ事なきを得たものの、この右CKから米国の2点目が生まれた。
 ベアズリーのショートコーナーからドノバンが一度後ろに戻したボールを、再びベアズリーが受け冷静に決めた。オフサイドトラップをかけに行くべきタイミングだったが、ドノバンのケアに行ったガリンドが中途半端にラインに残り、かつベアズリーをフリーにした。
 こうなると、過去5年間同様メキシコはドタバタとなり攻め手を失っていく。失点前後に不調のフォンセカに代えてメディナを、右のロドリゲスに代えてより攻撃力のあるDFメンデスを投入、24分にはシーニャに代えてやはりFWのブラボを投入したが、中盤のバランスが崩れたことで前線をかき回すどころかボールが前線まで供給されない事態とな
り、万事休した。総合的に見て米国の力がメキシコに完全に勝っているとは思わない。世界ランクの差ぐらいは間違いなく実力の差があると私は思う。だが、先に述べたようにそれは10年前のような『お客さん』というほどの差ではなくなってきているし、実際問題としてアウェーで5年間勝てていない。W杯決勝トーナメントでも完敗だった。米国の選手は技術的にはメキシコの選手より上手くはないかもしれないが、戦術的にメキシコにリズムを出させないゲームプランを徹底して忠実に実行している。よく走り前線から執拗にチェックに入り、身体的特徴を生かしひたむきにプレーしている。それに比べてメキシコは進歩しているのか。自分たちのリズムが今ひとつでないゲームでも泥臭く勝てるような、そうした逞しさががこのチームには欠けているのではないか。コンフェデでのメキシコの躍進は確かに目を引いたのだろうが、以前も書いたようにメキシコの強さは絶対ではない。好不調の波がまだかなりある。またラボルペの選手起用も交代策もこの試合は不可解さが目立った。中盤の軸であるパルドを起用せず、決して万全とはいえないトラドとガリンドを併用したことや、オソリオの代わりにダビーノを起用した点などは失策と言われても仕方がない。3人の交代枠を使い切った段階で中盤のゲームメーカーがいなくなったこともよくわからない。
 ライバル対決に負け、W杯出場権獲得一番乗りを逃したことで俄にラボルペの周囲は騒がしくなった。

<SV パナマ>
 勝てば予選突破が決定、引き分け以下であれば一気にラボルペ更迭もあり得る状況の下、メキシコ代表は9月7日アステカスタジアムでパナマ代表と対戦した。

スタメンは以下の通り。

GKサンチェス、DFサルシード、マルケス、ロドリゲス、MFロハス、パルド、ピネダ、シーニャ、ペレス FWボルゲッティ、R.モラレス

 負傷のオソリオが出ていないが、3−5−2の布陣で、右に初キャップのロハス、左にピネダと左右に活発なアウトサイドを配し、かつシーニャとペレスがそれぞれ右と左でゲームを作り得点も狙う。現時点ではベストといってよい一番バランスの取れた布陣と言える。米国戦でどうしてこうした布陣を組めなかったのかまったく疑問である。
 試合は自力に勝るメキシコが終始圧倒した。10分にシーニャとモラレスのパス交換からモラレスのミドルシュートが左に外れたのを皮切りに、15分にロハスの低いセンタリングからピネダ(合わず)、16分にシーニャが右からあげたセンタリングをボルゲッティ、19分にモラレスのFKからマルケスと、立て続けにチャンスを作りシュート打った。
待望の先制点は30分。シーニャからモラレス、左サイドのピネダへとボールが渡り、ピネダがピンポイントのクロス。これはDFにクリアされたがそのボールを拾ったペレスがペナルティエリア中央から豪快に決めた。その後もメキシコは34分、36分、38分、41分と立て続けにチャンスを作り出し前半を終了したが、両サイドアタック、特に右のロハスはデビュー戦にも関わらず物怖じしないプレーで持ち味を出し、ダイナミックな攻め上がりで何度もパナマDF陣を混乱に陥れた。

後半に入り9分にパルドの右サイドのFKからマルケスがヘディングシュートでゴールを奪うと後はやりたい放題。14分にボルゲッティへのファウルで得たPKをボルゲッティ自らが蹴り3点目。26分にシーニャに代わって入ったフォンセカが29分に、31分にパルドがミドルシュートでそれぞれ追加点を奪い、5−0でゴールラッシュを締めくくり、4大会連続、W杯本大会出場を決めた。

 今後は本大会に向けてチームをさらなる完成品へと仕上げていく期間となるはずである。若いピネダに加え右サイドでもロハスが台頭しそうなこと、フォーメーションにもよるが中盤のシーニャとペレスらの息が噛合い出していいリズムを作り出せるようになったこと等明るい材料もあるが、FWの決定力が今ひとつなことや、ドーピングで抜けた2選手の穴埋めの問題など解決すべき課題も多い。今後大幅な選手の入れ替えはありえないことをラボルペは宣言しており、来年のドイツのピッチに立つのは現在のグループ内の選手であることは間違いなさそうだが、中盤を中心にベターなコンビネーションを組み上げるまでにはまだ時間が必要な印象だ。

北中米地区最終予選 VSグアテマラ>

既に予選突破を決めているメキシコだが、10月8日にサンルイス・ポトシで行われたグアテマラ戦は5-2と大勝した。

スタメンは、GK コロナ、DF オソリオ、F・ロドリゲス、ピネダ MF メンデス、トラド、ロペス、ペレス、ロサノ FWフォンセカ、フランコという11人。トラドが第2ボランチ、ペレスがトップ下の配置。注目のアルゼンチン人フランコがフォンセカとトップに入った。
交代は55分トラドに代えてロハス、59分にF・ロドリゲスに代えてウィキー、65分にピネダに代えてC・モラレス。

フランコは76年生まれの28歳で、フォンセカと似たタイプのFWでスピードもありシュートも左右の足とも上手いが、右サイドに大きく開いて突破を狙うプレーも多いフォンセカよりはややプレーエリアが狭く、所属のモンテレイではゴールエリアの幅程度のゴール前で勝負することが多い。既に帰化しておりメキシコ代表選手としてプレーする資格はあるもののアルゼンチン人ということで、プライドの高いメキシコサッカー界の風当たりも強くなかなか機会がなかったが、予選突破を決めたことでラボルペが召集、いきなりのスタメン起用となった。

さて、冒頭で述べたように大勝したにはしたのだが、内容はミスが多くピリッとしなかった。先制点はグアテマラでいきなりの開始1分。メキシコ左サイドのDFピネダの緩慢なプレーを突いてボールをかっさらったロドリゲスから絶妙なセンタリングが入ると対応が遅れたオソリオの前でルイスがドンピシャのタイミングで合わせてゴールした。メキシコもその後ややリズムを掴み、19分には左サイドの攻めから中央でフォンセカのスルーパスを受けたフランコが右のアウトでGKの出鼻を抜いてゴールに流し込み同点とした。フランコにとっては初代表初ゴールということで、試合後も感極まり言葉に詰まるシーンが見られたから、よほど嬉しかったに違いない。
 
後半はグアテマラDF陣の集中力が切れたこともありフォンセカの4ゴールでやや一方的な展開となったが、試合を通じてボランチから後ろでミスが続き、完全にフリーでポンシアノにヘッドを叩き込まれた2点目の失点シーン以外にも際どいシーンがあり、首を傾げたくなるような集中力を欠いたプレーが目白押しであった。気を抜きすぎではないだろうか、と心配になってくる。

フォンセカとフランコの2トップに関しては、機能する目処がたったかどうかはこの1試合だけでは判断の材料に乏しいが、フランコは自分がゴールに向かうだけでなくフォンセカへのアシストもしたように、献身的なプレーで周囲を生かすことも厭わず、ラボルペの評価を得たことは間違いない。ボルゲッティとフォンセカで決まりだったスタメンFW争いに割ってはいることになる可能性もあり、今後が注目される。



北中米地区最終予選 VS トリニダー&トバゴ>

 既に米国、メキシコ、コスタリカが順当に直接出場枠3を埋めているコンカカフ最終予選だが、アジア5位とのプレーオフに回る4位争いがここに来て白熱、他方前節コスタリカにアウェーでまさかの完敗を喫した米国と、グアテマラにホームで勝って再び首位に返り咲いたメキシコの首位争いも最終節までもつれ白熱したムードの中、メキシコはアウェーでトリニダー & トバゴと対戦した。

 メキシコは3日前の前節同様この日もシ−ニャ、ブランコ、マルケス、パルドら予選の主役となった面々を起用せず、若手に経験をつませることを重視したスタメンとなった。メキシコのメンバーは以下の通り。

GK コロナ、DF F.ロドリゲス、サンチェス、ウィキー、MF ロハス、ロペス、ロサノ、ペレス、C.モラレス FW フォンセカ、フランコ

DF陣で、長らく試合に出ていなかったサンチェスが久々のスタメン復帰、若手成長株のウィキーが初先発したほか、前節でゴールを上げた帰化アルゼンチン人のフランコが再びスタメンに入り注目されたが、試合はメキシコ有利の圧倒的前評判に反し、知将ベーンハッカー就任以来検討が光るトリニダーが積極的に攻めに出る展開となる。勝てばプレーオフ出場権獲得のトリニダーはこの日ミスを恐れず立ち上がりから気迫のこもったプレーを見せ、30分にはCKからPKを獲得したがメキシコGKコロナがストップし失敗、先制点の絶好のチャンスを逃した。逆にメキシコは38分、C.モラレスのサイドチェンジを受けた右サイドのロハスがペレスに渡し、ペレスとフランコの間で素早い縦のパス交換をかわした後、ペレスが左サイドでフリーとなっていたロサノにテンポよく展開。これを受けたロサノが鮮やかなミドルのループシュートをゴール右上に決めた。最近は調子の出ていないロサノだが、ボールサイドと逆サイドでのポジショニングの巧みさは健在、久々のゴールで自身代表で12点目をマークした。しかし、プレーオフ出場権をかけてスタジアム中の声援を受けてプレーするトリニダーがすぐに追いつく。42分左サイドのウィットリーが中に切り込んで強烈なロングシュートを放ち、これがポストに当たって跳ね返るところをジョンが詰めて同点とした。ジョンのシュートはたまたま足に当たった感もないではなくアンラッキーとも言えるが、メキシコのDFは新顔合せのためか今ひとつ不安定で、このシーンでも寄せの遅さからウィットリーのシュートをみすみす打たせた。

 後半はペレスに代えてFWのA・メディナを投入し、3トップ気味にし、かつロサノをやや引き気味の絞った位置においたが、このシステム変更が例によって空回り。中盤に立体感を欠き、トップ下の選手がいないために禄にチャンスを作れない状態へと陥った。逆にトリニダーは徐々にラインを上げ更にアグレッシブな展開を見せ、15分、やはりウィットリーが中央で持ったところを、ボールを奪いに行ったロペスがクリアミスし、そのボールがジョンの足元に転がるとこれを難なく蹴りこまれて逆転を許した。ロペスの蹴ったボールがジョンへと転がったのはやはりアンラッキーなのではあるが、一番ジョンに近い位置にいたサンチェスの対応が遅れ、ビューティフルゴールを許した。サンチェスはこの後19分にも自らのパスミスで招いたピンチからワンバウンドの浮き球に突っ込んで完璧にカブり決定的ピンチを招く等、終止符安定な出来で21分にウィキーに代わってメンデスが入ったタイミングでセンターから右DFへと回った。メキシコはこの後、J・P・ロドリゲスをフランコに代え投入するなどしてようやくメキシコのリズムでのボールキープが出来るようになったがゴール前を厚くして守るトリニダーの守備に穴を開けることは出来ず、逆に38分にもカウンターから決定的な場面を作られるなどしてピリッとしないまま試合終了、本予選2杯目を喫し、トリニダーにホームでバーレーンとのプレーオフ出場権をプレゼントすると共に勝敗数で並んだ米国に(直接対決のゴール差という規定により)首位の座を空け渡し、2位通過が決まった。
 メキシコはこの日も総じて動きが鈍く、攻守にまったく精彩を欠きミスを連発した。一軍半のメンバーとはいえこのようなピリッとしない試合を続けるようでは本大会での活躍も不安になってくる。

2005年メキシコ代表総括

年末年始にメキシコ代表監督R・A・ラボルペのインタビュー記事のいくつかを読むことが出来た。その中でラボルペは以下の点を2005年の総括として挙げていた。

W杯本大会出場権の獲得
国際大会(コンフェデ杯)での活躍
組合せでのシード権獲得
米国戦の敗戦
コパ・デ・オロの敗退(準々決勝でコロンビアに1−2)
新たな11人の代表デビュー

2005年のメキシコ代表は公式試合、親善試合含め計26試合を戦って、13勝6敗7引分。引分の試合のひとつにはコンフェデ杯のアルゼンチン戦(PKで5-6)が含まれる。勝率、引分を含め『負けない率』を出したら悪い結果ではない。代表監督が常に批判にさらされるのはこの国に限ったことではないが、勝率、という数字はそれなりの説得
力がある。もちろん内容がどこまで伴っているのかという点は常も問われるが、相手 が強豪国、中堅国、それ以外のコンカカフの弱小国とバラエティに富んでいるなかで のこの成績はまずまずといえる。

<コンフェデレーションズ杯>
ラボルペのコメントに寄るまでもなく、今年のメキシコサッカー最大の目標は、2006 年ドイツワールドカップ本大会の出場権獲得だった。グループ2位とはいえ、メキシ コサッカー界全体で若手育成と若年層からの世界大会への参加に失敗、ここ数年なか なか世代交代が進まぬ中で本大会出場を果たしたことは十分に評価に値する。
だが、それにもましてメキシコ代表の国際的価値を高めアピールすることに寄与した のが6月のコンフェデレーション杯であったことに疑いの余地はない。本大会予選組 合せのシード権獲得もこの大会での躍進が大きなアピールとなったことも間違いない と思われる。ラボルペはインタビューの中で、2005年一番印象に残った試合としてこ の大会のブラジル戦を挙げ、全ての面でメキシコらしさを出し切り、ブラジル相手に 一歩も譲らずにファイトし、イニシアチブを取り勝利したことを称えた。メキシコら しいパスサッカーでブラジルに丁々発止とやりあったのみでなく、試合中のかなりの 局面で主導権を握りながら勝利した試合は今年のベストゲームにふさわしい内容で あった。その後のアルゼンチン戦でも駒が足りない中で激しい試合を演じ、最後には PK戦でオソリオが外し力尽きたものの、延長戦ではDFサルシードの独走ドリブル シュートで先手を取り、また3位決定戦でも開催国ドイツに最後まで食い下がるな ど、メキシコサッカーの魅力を欧州の目の肥えたサッカーファンに焼き付けた意義は 大きかったし、選手にも大きな自信になったに違いない。

<敗戦の教訓>
 6敗の負けたゲームは、コンフェデでのドイツ戦、コンフェデから帰国後1週間で始 まった7月のゴールドカップでの2敗(南アフリカ戦、コロンビア戦)、予選のア ウェーでの米国戦、TT戦、11月の国際親善のブルガリア戦である。TT戦の負けはどち らかといえば胡散臭さが残るもので、真剣勝負の結果として真に受けるものではない だろう。現にメキシコになじみの深いベーンハッカー率いるT&Tが予選突破して本大 会に出るわけで、裏で何があってもおかしくはない。ゴールドカップの2敗はどうみ ても調整不足とコンフェデの疲労が色濃いシーニャ、ボルゲッティら主力が本来のコ ンディションからは程遠かったことを考慮すれば仕方がない。現在のメキシコ代表は 2チーム同じ実力のチームを作れるほどに層が厚くない。むしろコンカカフ連盟の組 んだゴールドカップの強行日程のほうが責められて然るべきである。『メキシコに勝 たせたくな〜い』というのが見え見えである。
 アウェーで米国に今年も勝てなかったことは、ラボルペでなくともメキシコサッ カー関係者であればみんな失望したに違いない。特に今年はアステカでの試合で久々 にスカッとした勝利を見ただけに、誰もが『アウェーでも…』と期待したはずだ。だ が結果は0−2でスコア以上の完敗といってよい内容で、目前で米国の予選通過祝福 を見せつけられる形となった。
出足で負け押し込まれると、ボールキープもままならず前線と中盤が分断される。そ うした中で早いうちにつまらないところで失点を喫し、何となく焦って行く、はまら ない選手交代策が自分たちのリズムを自ら失うのに輪をかけていき、さらに失点を食 らう、という典型的な自滅型悪循環の試合が多かった。チームとしての経験のなさか ら来る劣勢時の踏ん張りの利かなさ、精神的なリーダー不在というメキシコサッカー の抱える問題もあるが、ラボルペの交代策が悪循環の要素であるという指摘も以前か らなされている。ラボルペに言わせれば『リズムを変えれる選手がいないんだから仕 方ないじゃないか』ということになるのだが、そこは監督の腕の見せ所であろう。

<2005年起用選手とドイツへの展望>
手元の統計では、2005年中にラボルペが試合に起用した選手の総数は55人である。ポ ジション別に行くとGKが5人、センターのDFが13人、アウトサイドを含めたMFが27人 と多く、FWは10人。当初は右アウトで起用されたカルモナやメンデスがDFラインに 入ったり、マルケスがMFでプレーしたりR・モラレスがトップで起用されたりという ケースもあるので参考程度という区分と了解して頂きたい。システムはDFが3人で、 両アウトサイドのうちどちらかが引いてDFラインに組み込まれる3-5-2システムが多 かったと思うが、試合によっては途中で滅茶苦茶になったこともあった。中盤の中は ディフェンシブならボランチ2枚にトップ下1枚、オフェンシブならその逆、という感 じである。

 ポジション別に少し細かく見ていくと、GKはサンチェスが不動のレギュラーでまず 間違いない。怪我に見舞われるようなことがなければ本大会も守護神の座は不動だろ う。サブの座をコロナとムニョス、オチョアらが争うことになりそう。
 DFはラボルペ就任以来ずっと召集され続けているマルケス、オソリオ、メンデスら に加え、成長著しいサルシードとF・ロドリゲスがほぼレギュラーを掴んだ感があ る。メンデスとロドリゲスは右のマーカーが定位置だが、オソリオはセンターと右サ イド、サルシードはセンターと左サイドがこなせるため、DFの組合せの幅が非常に増 えたのが大きい。マルケスが欠場した試合が何試合かあった中、マルケスがいなくて も一定の守備のレベルを保てるようになりつつあるのは明るい材料だ。新鋭のウィ キーらもハンガリーとの親善試合で得点を挙げるなど少しずつフィットし始めてお り、左のマーカーのバックアップに入ってくる可能性もある。またオソリオやサル シードには大きな怪我が少ないことも心強い。

 MF陣は本大会までにまだ動きがありそうだ。現時点で本大会のレギュラー確実なの はボランチのパルドとリンクマンのシーニャくらいか。左のアウトサイドは昨年、今 年とG・ピネダが頭角を現し、本大会へのレギュラー争いに名乗りを上げそうだ。元 来4人ラインの左サイドバックの選手だが、代表では左アウトサイドとして定着しつ つある。今年今ひとつ調子の上がらなかったロサノらを尻目に、安定した守備力と疲 れを知らない走力で先発の試合も多くラボルペの期待の高さを伺わせた。DFの選手な がら最前線まで攻撃に出ることも少なくなく、時折集中力を欠くことがあるものの貴 重な戦力となる。左のアウトサイドはベテランのR・モラレス、J・ロサノも攻撃の駒 としては重宝するが、ポルトガルのように右ウィングに好選手を擁するチーム相手に 様子を伺うにはピネダを当てる方がベターだろう。
 また、2005年前半コンスタントに起用され監督の信頼も厚かったカルモナの離脱に より、右サイドは混乱した感が強い。後半に入ってメンデスを筆頭にアルタミラノ、 R・メディナ、新鋭のロハス、J・A・カストロ、復帰のD・マルティネスと様々な選手 が起用されているが各選手の経験不足も明らかで、今ひとつ答えが出ていない。ある 程度守備が出来てタイミングよく前に出て行け、攻めの起点にもなれる選手となる と、前への強さと突破力の目立つロハス、ドリブルの上手さと中へ入っていく動きに 独特のリズムを持つカストロ、といった若手の定着もあり得る。ロハスはアメリカで は左アウトサイドであることからもわかるように左右両翼を努めることが出来るのも 魅力だ。他方安定感を望むならベテラン勢の起用もあるだろう。今後残り少ない強化 試合の中で如何に解決策を見つけるか、ラボルペの手腕が問われる。
 ボランチはキャプテンでもあるパルドがほぼ決定で、2枚の場合にはそのパート ナーをスペインでもプレーしたトラド、I・ロペス、G・ガリンド、ベテランのJ・P・ ロドリゲスらが争う。このポジションもやはり決定打に欠ける選手が多く、他の中盤 の選手とのバランスを考慮して決めることになりそうだ。トラドは所属するクルスア スルでも今ひとつの出来で、国際レベルではつなぎや攻撃力の面で物足りない。ロペ スはFKという飛び道具はあるものの、やはり攻撃面で今ひとつ雑。黒子に徹すること が出来、攻撃のセンスもまずまずのガリンドが定着すれば攻撃面でのサポートもス ムーズになる可能性があるが、今年は7試合程度しか出場がなく、しかもその半分が チームのコンディションの落ちたゴールドカップでの試合であり評価材料が少ない。


 オフェンシブなMFは2枚ならば今年の実績ではシーニャとL・ペレスということにな る。特にゲームメーカー役のシーニャはコンフェデ杯でもジーコにお墨付きをもらう など自信をつけ、チームメートとのコンビも向上している。レギュラーに一番近いと いっても過言ではないだろう。ペレスも左右どちらのインナーMFも器用にこなし、得 点力あるところも見せており、本大会へのメンバーから漏れるとは考えにくい。だが それに続く選手の層が今ひとつ薄い。アメリカで円熟期を迎えているブランコが復帰 すればグランド上ではそれなりに計算できる駒になるであろうが、他の選手が萎縮す る可能性も否定できない上に、グランド外での言動や行動が全く持って未知数という のが大きなネックとなる。ハンガリー戦ではバウティスタがトップ下で起用された。 所属のグアダラハラではガリンド監督がトップ下での起用を試みたが実戦では今ひと つ結果を残していない。前への強さ、豪快なドリブルとシュートに加え、パスセンス も非凡だが、MFとしての運動量や組織的な動きにまだ難があり、そもそも元来のFWで もいいんではないの?という事実や本大会までの時間のなさを考えると、トップ下で の代表定着は難しい。今年デビューした五輪組のサンドバルやグアルダドら若い選手 は可能性を感じさせるものの定着までにはまだ先が長いことを考えると、やはりブラ ンコを含めた中堅からベテランの経験豊富なMFの選手を年明けからテストすることに なるのかもしれない。

 FWはメキシコ代表歴代得点王となったボルゲッティが浮動のレギュラー。もうひと りはフォンセカが現時点ではレギュラーでここに帰化した“ギジェ”フランコが挑 む。サブでA・メディナ、O・ブラボ、これで十分。この5名しか2005年メキシコ代表 のFWは点を取っていない、という事実もそうだが、MFに得点力があり、ロサノやモラ レスが状況によっては左のトップでプレーできることを考えるとFWの数は足りてい る。帰化したガイタンを加えたい気がしないでもないが、帰化外国人が3人となると 誇り高き国粋主義者たちの批判を受けることも考えられ面倒くさいのも事実。 ちなみに2005年メキシコ代表FW陣がマークしたゴールは22点で、そのうち実に19点を フォンセカとボルゲッティで挙げており、この2人の得点力は群を抜いている。MF陣 の得点は合計12点でFWの半分ほどだが、シーニャとペレスとロサノで3点ずつ取って おり、FWがガチガチにマークされる試合ではMF陣の得点力も期待される。 

こうして見るとGKサンチェス、DFマルケスまたはオソリオ、ボランチがパルド、トッ プ下にシーニャ、FWボルゲッティというバックボーンとなる選手はほぼ確定してい る。加えて左サイドのラインともうひとりのFWも駒は十分でほぼ確定。未確定な駒は 右アウトサイドとボランチ、インナーMFのオプションの駒、そして怪我などにも備え たバックアップの選手の見極めということになる。既に複数のポジションを一定のレ ベルでこなす選手が少なからずいることは心強いが、これらをこれから半年の間にど のようにレベルアップしていくのかラボルペの手腕が注目される。


 さて、本大会予選の組合せ抽選会が終わり、栄えあるシード国メキシコはDグルー プでポルトガル、アンゴラ、イランと戦うことになった。ブラジルやアルゼンチン、 オランダ、イングランド、フランスといったシード国の強豪と当たらなかったのは幸 いではあるが、それは同グループの中に入った他国にとっても同じなのである、とラ ボルペが言っていた。ポルトガルにとってもイランにとってもアルゼンチンやブラジ ルよりはメキシコのほうが組し易しなのは間違いない。が、メキシコにとって勝ち目 のない相手はいない。幸か不幸か対戦歴がほとんどないもしくは皆無なチームばかり なので、冷静に試合を運べばグループリーグ首位突破も十分可能であろう。世界ラン ク10位前後のポルトガルはどちらかといえば体格がそう大きくなく、ボールタッチに 時間かけるチームでメキシコにとってはやりやすい。確かにデコ、パウレタ、C・ロ ナウドが揃う攻撃陣はいやらしい。欧州でのゲームだからポルトガルサポーターがス タジアムを埋める可能性もあろう。だが所詮ポルトガルとて最近のW杯でたいした成 績は残していない。欧州の国の中では比較的やりやすい相手と見る。メキシコとの対 戦が第3戦であるというメリットもある。むしろパワーとドリブルで押されるとやり づらいのが緒戦で対戦するイランだろうが、レベル的にはメキシコのほうが間違いな く上であり、そう簡単に負けるとは考えにくい。ドイツでプレーする選手が多いこと はメキシコにはハンデになる可能性があるが、積極的に勝ちに行きたい。初出場のア ンゴラはカモにしなくてはならない相手だ。どのチームもアンゴラ相手に勝ち点を稼 ぎに来ること間違いない。と、楽観的に見ていくとメキシコの1次リーグ突破はほぼ 間違いないと言えなくもないのだが…。

2006年のメキシコ代表の活動はキャンプの後、1月25日のノルウェー戦で始まり、2月 15日に韓国戦、3月1日にガーナ、29日にパラグアイと予定されている。その後4月の 頭に登録メンバーの発表、4月12日から強化合宿に入り、5月20日に国内で壮行試合が 組まれ、その後欧州へ移動、フランスとの試合が大会直前の5月27日に予定される。 これ以外にもいくつか試合が入る可能性はあるようだが、現時点では詳細は不明である。