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メキシコ代表まっしぐらっ!


<改コーナー御挨拶>


だんだん名前負け+リード文負けし、風化・風前の灯火と化しつつあった、というかW杯以降既に消火してしまった前コーナー『アネクドタ』から改題して『メキシコ代
表まっしぐらっ!』にしました。売れなくなったシャネルズがモチベーションUPのためにラッツ&スターになったような、気分転換とでも申しましょうか。 (2003年10月)
 
<ウルグアイ戦レポート>

メキシコは10月15日、4万人超の観衆の下、シカゴのソルジャーフィールドでウルグアイ代表と対戦した。欧州がクラブチームレベルでの試合を優先した為双方とも欧州組は欠場し、試験的な色合いの濃いメンバーでの対戦となった。



メキシコのスタメンは以下の通り。

GK O・サンチェス/DF H・サンチェス、スアレス、I・ロドリゲス/MF メンデス、ガリンド、バルデス、モラレス、J・P・ロドリゲス/FWバウティスタ、ブラボ


メキシコは『実力の分かっている選手は招集しない』とラボルペがコメントした通り、若手に経験を積ませることを重視したメンバー選考であったが、ソルプレッサ(驚き)のひとつが“皇帝”スアレスの復帰。今年35歳のスアレスは昨年のW杯本大会への出場を怪我により断念して以降代表からは遠ざかっており、ラボルペが就任後世代交代を匂わせ、DFラインも積極的に若い選手を起用してきた経緯から、代表復帰はないのではないかと思われていたが、ラテン的気紛れとでもいうのであろうか、代表コーチ陣がティグレスを視察に訪れた際に太鼓判を押されて、久々の復帰となった。さらにDFラインにはウーゴ・サンチェス(ティグレス)、イスマエル・ロドリゲス(モンテレイ)が並び、中盤の底にはこれまた初キャップのガリンド(UNAM)、左サイドのMFに復帰のモラレスと、DFラインを中心に新鮮なメンバーで試合に挑んだ。左右MFにラテラル・タイプの選手を起用したことから、意図したシステムはおそらく両翼が開き気味の3−5−3であったろう。

試合は立ち上がりからメキシコが完全に空回り。中盤でパスが繋がらず、ウルグアイのチェックの網にかかっては中途半端な位置でボールを失いスピードのあるサンチェス、ペロネらウルグアイFWに振り回される場面が続いた。初のコンビとなったDFラインは立ち上がりからちぐはぐでH・サンチェスの軽率なプレーからピンチを招くなど不安定。攻めもFWの2人にボールがわたる前にパスミスが多く、チームの指令塔であるはずの“チャト”JPロドリゲスがドリブルでかわそうとしてはボールを奪われる場面が続出、この日もブレーキとなったように見えた。それでもメキシコはこの日初めてフル代表の中盤の底に入ったガリンドが献身的な守備で奮闘、スアレスやO・サンチェスも若いメンバーを経験でカバーし失点をきわどく防いでいた。前線を任されたボフォことバウティスタとブラボは動きはまずまずで、14分にはセンターサークル付近から強引なドリブルで突破したボフォから右のブラボにボールが出ると、ブラボはこれを受け2人をかわしてシュートに行くなど質のよい動きを見せた。その後も18分にやはりバウティスタのドリブルからブラボがDFの裏に抜け出しかける等可能性を感じさせるシーンがあった。が、リズム感あるショートパスとサイドからの崩しに代表されるコレクティブなメキシコサッカーらしさは皆無で、経験不足からくる不用意なミスでウルグアイにペースを握られ続け、26分にはFKからのオフサイド崩れから失点する。メキシコ左サイドのエリアの角付近で得たFKをウルグアイが蹴ると、逆サイドのFWのケアの為に残っていたスアレスが完全に上がり遅れ、ニアで飛び込んだペロネがフリーのヘディングシュート。これはGKサンチェスがよく弾いたが、こぼれタ球ペロネに再度蹴り込まれ先制を許した。その後30分以降はやや全体的にラインが前に出だし、選手の配置のバランスもよくなってパスいでウルグアイゴール前に迫る場面も出てきたが、ほとんど可能性は感じさせないまま0−1で前半を終了。


後半は立ち上がりから、動きに全く精彩を欠いたモラレスに代えオソルノ、メンデスに代えマルティネスとより前に出ていくタイプのアウトサイドに変更しバランスの改善をはかると、チャンスも徐々に増え出したが、16分にラボルペは何故かいい働きをしていたガリンドに代えてロサノ(UNAM)を、ボフォに代えてアルセを起用し、結果的にこの直後に失点してしまう。17分、スローインを受けた途中出場のエストヤノフに対しロサノと I・ロドリゲスがチェックに入りながら淡白な守備で安易に突破を許し、エストヤノフが中央に折り 返したボールをやはりペロネがダイレクトのボレーで決めた。完全にスピードで振り切られたI・ロドリゲス、中央のマークを全くはずしてフリーでのシュートを許したH・サンチェスと、致命的なミスが重なっては失点は防げるはずはない。

が、解せないのはその直前の選手交代。結果論といえばそれまでだがそれまで効果的に汚れ役をこなしていたガリンドを外して左の攻めの駒であるロサノを入れた判断は不可解だった。勝負に出るんだろうな、という意図は感じたが、この日の中盤のバランサーが間違いなくガリンドだったことを考えれば、オソルノ、バルデス、という左サイドの選手と共に左利きのロサノを投入し、中央のMFが結果的に不在となったことは采配ミスとしか思えない。アルセやその後入ったルビロサについては一長一短かもしれないが、いずれにしてもこの交代→失点の後は、個々の役割が混乱し、中盤での秩序だったプレスが完全に消え、ウルグアイに立て続けにチャンスを作られ完全にゲームを支配された。

総じてテスト起用のDFが90分を通じて不安定だった上、いつものように中盤の構成力や攻撃時の厚みに欠いた。中盤から前線にかけてはガリンドとロサノ以外は既にこのチームで何試合となくこなしているメンバーだが、みな大人しくバックボーンとなる選手ががはっきりしない。中盤を引っ張れる強いキャラの選手がほしい。



選手評

GK
O・サンチェス
ピンチを再三防いでチームを鼓舞した。失点の場面は仕方なし。

DF
H・サンチェス
戸惑いからか再三マークを外されピンチを招き失点した。スアレス、メンデスとのコンビも未熟 で及第点は付けられない。

スアレス
冷静沈着なプレーは相変わらずだがやはりスピードの衰えは見える。若い2人を精神的にもリードしようとしたが失点の場面では自らがトラップをかけ損ねるなど空回り。珍しくうつむくシーンも。

I・ロドリゲス
マークを振り切られる場面が目に付いた。緊張からかミス多く安定感を欠いた。

MF
メンデス
攻守両面で何も出来なかった。もう少し強引で目立ったプレーをしてほしい。現状では定着は難しい。

ガリンド
危険なエリアのカバー能力、球際の強さ、攻守におけるバランサーとしての優れた能力等、コンスタントに能力を発揮した。激しいプレーと汚いプレーの混同は気に なるも、今後の成長次第では定着も。

バルデス
目立たなかった。攻守に中途半端なプレー。自分からイニシアチブを取るタイプではないので周囲の出来不出来に左右される。

モラレス
疲労からか動きに全く切れがなかった。調子が戻ればチーム のプレーメーカーになれる可能性を秘める。

J・P・ロドリゲス
完全に指令塔としての役割を担っているはずだが、期待に応える動きは全くなし。周囲ともかみ合わずトップ下でもボランチでもミスを連発した。ポテンシャルやフル代表キャップ数を考えると、なぜコンスタントに能力を発揮できないのか不思議。

FW
バウティスタ
前を向いたときの視野の広さ、ストライドの大きい強引なドリブルといった特徴を発揮した場面があった。が、代表レベルで相手DFに脅威を与えるほどではない。ポストもよいがもっとゴールへ向かってよい。

ブラボ
ラインぎりぎりでDFの背後へ抜ける動きがよかった。ドリブルで強引に突破を仕掛けるなど動きのよさが目立った。この試合1番よかった選手のひとり。ゴールに結びつかなかったのは中盤の不出来による面が大きい。

交代選手(コメント可能な一部のみ)
マルティネス
スケールを感じさせる選手だがまだ粗削りすぎる。

オソルノ
うーむ。期待にこたえる回数が少なすぎる。



< ちょっと小話(テレビサのコメンテーター)>

この試合の38分、ウルグアイのソサが危険なファウルを犯したときにテレビサのコメンテーターであるオルバニャノスがソサのことを『この選手に言いたいことが2つある』と言った後で、『こうした汚いファウルも嫌だが、こいつの髪型も大嫌いだ〜!』というすごいことを言っていた。ソサは確かにその日長髪を金色に染めていたが(敢えて言えば似合わず)、そんなの本人の勝手なのである。赤い髪のモヒカンの戸田とかがいてファウルしてた昨年の日本とW杯で対戦しなくてよかった、と胸をなで下ろした次第だ。この人は自身がサッカー選手だったこともあってサッカーをよく知る情熱的なサッカーコメンテーターのひとりだが、日本なら放送コードにひっかかるか、放送後に視聴者から非難が来そうな目の玉の飛び出るような発言をすることがある。W杯予選で不調のメサ代表がホンジュラスで0−3と完敗したときの試合の実況中のこと。メサの信頼篤かったMF、V・ルイス(現ネカクサ)に対して『この選手は代表にいるキャパのある選手なんかではな〜い!!!』と喝破(?)なされた。V・ルイスのゲームメーカーとしての能力には皆が疑問を呈してい
たから心 の底ではみんな同感だったとは思うけれど、『そんなことお前が公共の放送で言うなよ』、なのである。