花村萬月「笑う山崎」
あまり理由無く買った本で、予備知識も何も無かったので新鮮に読めた。最初は極道のお話であることすら知らなかった。暴力表現と性描写に溢れており、とてもエンターテイメントな作品です。多分、嫌いな人はとことん嫌いであろう表現が満載です。映像にはちょっとできないかも。
文章は、一文一文が短い。風景描写?なんじゃそりゃ?とでも言わんばかりのぶつ切りの文章がつながって、物語が進んで行きます。折り紙を無造作にちぎって作った貼り絵のようです。男の文章です。
全編を通してコテコテな雰囲気が漂う中、主人公の山崎が、時々、決め台詞を放つ。この小説は、その普段のコテコテ感と決め台詞が突きつける哲学の激しい落差がカタルシスを生む構造になっている。
美意識を持つ、という事と、その美意識を全うする、という事は、ぜんぜん違う次元の話だ。後者の方が圧倒的に難しい。今の自分に決定的に足りないものを目の前に突きつけられたような、そんな小説でした。
Posted: 月 - 3月 15, 2004 at 11:53 午後