中村文則「土の中の子供」
根がミーハーなので、芥川賞受賞につられて読んでみた。自分に向けられた回避できない暴力に対して、一体どういう風に捉えたらよいのだろうか?さらにそれが天災や事故ではなく、他人が意図的にふるった暴力だとしたらどうだろう?↑みたいなテーマ。主人公の意識は、自分自身や世界の構造全体に向いている。加害者に対して怒る、といった段階は超えた状態。「虐待」に関する書き方が典型的で乱暴な分、単に「虐待」は一つのモチーフであって、それ自体は他の何かでも良かったのかもしれない。ここらへん「グランドフィナーレ」と似たような印象。ただ、「グランドフィナーレ」の「ロリコン」と比べると、そういった道具として使うには重すぎるテーマだから、そこがどうなんだろうなぁ。あまりにヒドい境遇にある人が、だんだん無感覚になる、というのが、生物としての防御本能だとしたら、これに逆らって意味があるのか。逆らうことができるのか。どうなんだろうなぁ。ここは一発、ヒューマニズムで解決、でいいんだろか。無感覚と引き換えに人として強くなり、妥協と引き換えに人生が安定する、のはなんとなく解せないけど、じゃあ解せない理由って一体なに?あまりに自分とかけはなれた境遇なので、うーん、何とも言えない…。中村文則「土の中の子供」
Posted: 木 - 9月 8, 2005 at 10:47 午後