星野くんの二塁打
小学校の道徳の時間に、「星野くんの二塁打」という話を読んだ記憶がある。話の内容は、以下のような感じ。少年野球チームでレギュラーの星野くん。近ごろ打撃不振。そんな星野くんに9回裏、一打逆転のチャンスで打順がまわってきた。監督は星野くんの打撃の調子が悪い事を考え、星野くんに送りバンドを命じる。星野くんはバッターボックスに立ったら、打てそうな気分になった。監督の命令を無視して、バットを振った。結果的に星野くんの予感は当たり、星野くんは見事にサヨナラ二塁打を放った。ところが、喜んでベンチに帰ってきた星野くんに対して、監督は怒った顔で「おまえなんか二軍行きじゃい〜」と言い放った。星野くん、号泣。(かなり、うろ覚え)勝てばいいってもんじゃない、ということだった気がする。最近、仕事でちょっとした変化があって、なんとなくこの話を思い出した。小学校当時は、わかったような、わからんような気持ちでいたのだけど、今さら思い返してみるに、なかなか考えさせられるお話であります。意図的なのかもしれないが、短いストーリーの中で多くが語られないので、いろいろな想像ができてしまう。統制主義のトルシエジャパンと放任主義のジーコジャパン。どちらが良いか議論になったりしますが、個人的には勝てばどっちでも良いと思う。勝つためにはどっちが良いか?というほど、サッカーに詳しくないし。それはともかく、じゃあサヨナラ二塁打を放って勝ったんだから、星野くんが正しいのかといえば、それは違う。監督の方針次第だと思うわけです。話の流れからするに、トルシエタイプの監督だったのだろう。ということは、やっぱり星野くんが悪いのか?星野くんは確かに監督に逆らっているわけですが、それは星野くんだけの問題か?という気もするわけです。監督のビジョンが星野くんに伝わっていない、ディスコミュニケーションが一番の問題なんじゃねえの?と思ったりして。いきなり二軍行きを命じられた星野くんは可哀想だ。フェアじゃない。監督は、もっと自分の方針を星野くんに叩き込んでおくべきだったのだ。命令に逆らったら、お前は二軍行きだぞ、と。2005.6.18
以下、追記選手の信頼を得るためには、監督は普段からどのようにして選手と接しておくべきなのでしょうか。選手と監督のディスコミュニケーションが問題だと書いたのは、もう少し突き詰めて書けば、主人公が最終的に泣いてしまっているからです。監督もプンプン怒っている。二人とも不幸になっている。主人公は、それぐらいの罰を受けてもしょうがない悪さをしたのかどうか、したのかもしれないし、しなかったのかもしれない。本当は、道徳の時間では、そこを考えさせたかったんだと思うけど(組織行動を学ばせる、というテーマ)、それは自分としては今やどっちでも良くなってしまった。この物語の中では判断材料が少なすぎる。それよりも、試合に勝っているにもかかわらず、主人公と監督は、いわゆるLose-Loseの関係になってしまっている。今は、そこのところに、一番興味がある。最近、思うのは、やっぱり人間は自分の責任で、自分の納得した行動を取る、というのが大事だということ。明らかに主人公は、そこまで覚悟して行動したわけではなかった。自分のヒラメキで行動するのは、絶対悪ではない、人の考え方による。ヒラメキの行動を許すか、許さないか、というのも監督の方針しだい。どちらが戦略的に正しいか間違っているか、確実な答えはなくて、確実な答えがないだけに人によって色々な考えがあるんだ、ということも監督はきちんと把握しておく必要がある。他人に命令を強制するからには。主人公が打席に立つ前に、監督は日頃から、俺の野球とはどういうものか、こういう場面では絶対に送りバントなのだ!というのを教えておかなかったんじゃないかと。そして、監督の命令に逆らったら、酷い目にあうから覚えとけ!というのも、そんなに主人公に伝わっていなかった。こうなってしまうのがわかった上での命令違反なら、多分、二軍落ちになっても悔いは無かったんじゃないかと思うのです。もしくは後で自分の判断が間違っていた、と反省できる余地もある。やっぱ、あの時、バントしときゃよかった、と。ただ、今回の場合、主人公は、自分の取った行動に対して、そんなにいろんな覚悟をしていなかった。思いもよらない二軍落ちを命じられた場合、人間は一体どんな気持ちになるんだろうか。結果的に、主人公は泣いてしまった。いろいろな選択肢があるなかで、どの選択をしたらどんな結果が起こるか想像してみる。そして、メリットやリスクを判断した上で、一番自分の納得した行動を取る。その結果、起こった事については自分の責任だ。監督が悪いというわけでもなければ、自分がとりわけ他人より不幸なわけでもない。自分の責任。人間が後悔する時というのは、自分の覚悟が足りなかった時じゃないだろうか?自分の責任で自分の納得した行動を取ったんだったら、それでいいじゃないですか。そこまで覚悟して野球できる小学生はいないと思うけど。そういえば、かつてマーチ伊藤さんの言葉で「後悔と反省は違う」というのがありました。新選組の隊則では、士道不覚悟は切腹だったという。かく言う自分もマダマダ覚悟が足りませんな。長文、最後までお読みいただきありがとうございました。星野くんの二塁打
Posted: 木 - 6月 16, 2005 at 10:25 午後