群ようこ「無印OL物語」
実家に帰省すると、まず物置や本棚を漁ることから始める。適当な本を見つけて読んでは、暇をつぶすためだ。この本も、盆休みに帰省して、いつものごとく暇だったので本棚から見つけてきて、読んだ。妹か母親が買ってきた本だろう、たぶん。
この本は、OLを主人公にした12編の短編からなる。「ある、ある、ある、ある〜」と思わず「クイズ100人に聞きました」の観客になってしまいそうな、ありふれた物語がコミカルなタッチで描かれている。
しかしながら、主人公の心理描写はあるものの、物語を支配しているのは、基本的に冷徹なまでの客観的視点である。文体はコミカルでありながら、描いている内容は、かなり残酷だ。物語の主人公たちは、この客観的な視点を持たず、当たり前だけど自分たちが主人公であることに気付かない。ましてや自分たちが生きている物語を、一歩引いて眺めたりしない。例えば、自己肯定の相手を自己否定の主人公達が観察し、怒りや苛立ちを覚えている、という構図である。筆者は、もう一段階上の立場になって、淡々とその構図を描く。善人が悪人を裁くようなストーリーは無いし、それに対する筆者の「人間かくあるべし」という主張も書かれていない。「あなたがたはこういう世界にいるのだぞ」と、その構図のみを突きつけるのだ。恐ろしぇ〜。
15年前に出版された本だ。日本がバブリーだった時代の面影が、本の至る所に見受けられる。しかし、15年経った今、一体何が進化したのだろう。気軽に読んで、軽い笑いと結構な絶望を味わえる本だ。「羊の皮を被ったオオカミ」とは、こういう本を言うのだろう。
いかにして頑張っても、「無印」から脱却できないもどかしさ。オリンピックで金メダルを取っている選手達を横目で見ながら、考え込んでしまった。
Posted: 月 - 8月 16, 2004 at 08:13 午後