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| 写真との出会い その2 |
| 出足をくじかれてしまうとめろめろになりやすい私としては、これだけで十分めろめろ。もう立ち直れません。 私がたどり着いたエルミタという街はかつては歓楽街として一時代を築いたらしいのですが、そのときはもう宴の後のように廃虚の匂いがする街へと変貌していました。後から昔の映画を観て、エルミタにこんな時代があったのかと驚きました。 とはいえ賑やかなゴーゴー・バーがこの街を去ったというだけで、それに附随する危なげな輩や詐欺師達はばっちりとしがみついているとみえ、安全どころかよけいに危ないような気がしないでもありません。昔を知らないのでなんとも言えませんが、怪しげに声をかけてくる男の腰には拳銃が、セブン・イレブンのレジの横にはショット・ガンを持った警備員が、タクシーに乗ればダッシュ・ボードにが運ちゃんの拳銃がドーンと置いてある(今はもう慣れましたけど・・・)。 別にあからさまに銃口をむけられたりしたわけではないのですが、いきなり飛び込んでしまった銃社会に意気消沈という感じで、日本に帰る日を着いた瞬間から指折り数える。そんな冴えない「はじめての海外旅行」にもうへこむ場所がないくらいにへこんでしまいました。 そんなときに夕暮れどきにマニラ湾へと足をむけたのです。マニラ湾の夕陽は世界一美しいと昔の本に書いてあったのを思い出したわけではないのですが、他に行きたい場所も行ける場所もなかったので、とりあえず足を運んだわけです。そこで見たマニラ湾はゴミの山、ホームレス(そのときの私の目から見れば)の山、娼婦、ぽん引き、詐欺師、ヤク中のたまり場、そしてドブのような海。まあ、唯一夕陽だけが美しいといえば美しいのですが、こんな環境の中で夕陽だけを切り取って愛でるなんてことは不可能ってものです。 防波堤に腰を下ろして泣きたい気分で夕陽をみつめる私に、上記した人々が浜辺から群をなして飛んでくるハエと同じような数だけ、あれこれ声をかけたり、手を出したり、隙あればポケットにさぐりをいれたりなんだかんだしてきます。まさしく嘆くひまもない有り様。 そんなとき池辺さんからもらったカメラをみつけた子供たちが「写真撮って、お願い!」と騒ぎだしました。ああ、面倒くさいな。とそのときは正直思ったのです。騒ぐなよ、と。あまりにしつこいものだから2・3枚ろくにファインダーも覗かずにシャッターを切りました。ただ、その場をやりすごしたかっただけでした。 やれやれ。そんな感じで日が暮れようとしていたので私は防波堤から腰を上げ、ホテルへと戻りました。はやく寝てはやく帰ろう。そんな感じです。 マニラ湾にはそれっきり足を向けることはありませんでした。やがて待望の帰国日がやって来て、空港職員の金くれの手をはらいのけながら搭乗機に乗り込んだ時は、本当にほっとしました。飛行機が離陸した時には眼下に見えるマニラの街を見下ろして、「二度と来るもんか」とつばを吐くようにつぶやきました。 |