フライトジャケットと私
空を飛ぶ人の衣料。
私は、フライトジャケットが好きです。それはもう、昔っから。いまでこそアメカジという枠の中で一定のポジションを占めるジャンルの衣料ですが、それはきっとヴィンテージ衣料ブームなどとともにリアルマッコイズ、バズリクソンズなどが誕生し評価されていった結果なのでしょう。それまではどちらかと言うと一般の方達がキモチ悪いと考えるようないわゆるオタッキーな人たちのための趣味の対象でした。
世界的に見ても、これほど忠実なレプリカジャケットの供給と需要のある市場は、日本だけではないのでしょうか?日本と同じようなオタク文化の根付くイギリスにはイーストマンやエアロレザーといったリアル・レプリカを製造するブランドがありますが、アメリカ本国や英国以外のヨーロッパで、私たちがマッコイ、バスを着るような感覚でフライトジャケットを着ている人たちはほんの一握りではないのかと思います。(そのためにアヴィレックスなどは、そういうニーズに即した”演出”を施した製品を作るのだろう、と思えます)しょうじきね、せんそーの服ですよ。そんなもん嬉しがって着ているのは、そりゃもうちょっとアレな人たちでしょう。ふつうは。フライトジャケット好きの間で好まれる中国義勇軍”フライング・タイガース”のカスタム(っていうのはジャケットに当時の部隊のパッチや階級章を張付けるようなこと)などに至っては、じっさいに数十年前にこの日本の戦闘機を撃ち落としていた人たちの服ですよ。どーなんですか?それって。(>じぶん)衣料としての機能性とその歴史的背景が持っている物語性が、フライトジャケットの魅力であるのは間違いないところですが、この”物語性”の部分については、突き詰めて考えていくといろいろいろいろ複雑な想いが湧いて溢れてきます。じゃぁね、トレンチコートは?デザートブーツは?ピーコートは?これらも元をただせば戦争の装備として開発されたものが一般の市場に流れ出て定着したものだと思います。日本で作業員の方達が着用するいわゆる”ドカジャン””カストロ”(注:”スカトロ”ではないですよ!念のため…)と呼ばれているような作業用防寒着は、間違いなく駐留米軍のB-15系ジャケットに影響を受けているでしょうし、そもそも現代の生活を成り立たせている様々な科学技術なんかも、元々は軍事目的に研究された成果を反映しているものは多いです。そういうふうに考えると、フライトジャケットであんまり悩む必要も無いのかな、とも思ってみたり。業が深い、というのは生きていくうちで歳とともにどんどん感じる場面の増えていく心の在り様だと思うのですが、身近な細々したことの中にも、そういうことは多いものです。そして、その業の深さや矛盾を取り込んで、消化して生きていかなければ、偏った考えを持ったり強情になったり他者を否定したり、また逆に卑屈になったり自己否定してみたり、といったことが起きてくるのではないかと思えるのです。私は、「バイクは空を飛ぶ乗り物だ」と考えているので、これまでも、これからもフライトジャケットを着ていくでしょう。そしてそれは、私という浅い人間の抱える矛盾の象徴でもあるのです。↑こんなこと突き詰めて考えていくと、「じゃー洋服は?」みたいな答えのでないお悩みループに陥ってしまうので、ヒマでヒマでしょうがないといった人以外は、考えないようにしましょう。ヒマなのか?>じぶん
Posted: 木 - 2月 10, 2005 at 11:50 午前
Comments