2003年5月
     
「四季の風」(短歌集)
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短歌:井草晋一

   <春>
雪解けの滝思わする春雷の春の嵐に梅は散るらむ

萌え出ずる薄紫に囲まるる山ツツジ咲く朝の祈り場

萌え出ずる若葉の梢の紋白蝶フラッシュライトの我が目に眩しき

散り際に紅の色増す山桜笑顔優しきかの人に似て

満開の夜桜打ちし春の雨水玉模様を刻み残せり

イカナゴの釘煮作れる妻の横ふきのとう煮る我も手早く

   <夏>
受難曲知っているかと我に問う上司を想う御巣鷹の夏

打ち寄せる大波かぶりはしゃぐ子の影ひとときも妻の目離れず

湧く霧にすれ違うごと肌寒し碓氷峠の夏の山越え

野辺の道「平和の人」の蒔きし種人知れぬ中微笑みて咲く

黒雲に追われるごとく川を去る父と子の背に天の放水

草刈りにそれぞれ頑張る「トライやる」「バイブル・キャンプ」は夏への支度
 

写真提供:瀧村健彦氏
 
   <秋>
台風の吹き通りたる置き土産「出合いの道」の青きイガグリ

長き影踏みて興じる子供らと遊びし夕日はつるべを忘れり

この色を心に刻めと子に示す播磨の夕焼け高炉の輝き

パパ見てよ叫べる子らのサビキ釣り子鰯踊る秋の夕暮

秋の陽にきらめく妻の黒髪は金木犀のヴェールかぶりぬ

ドングリの屋根打つ音に目をさます夜半の月は冴えて光れり

能勢川の岸辺に織りなす綾錦我が家は今日も秋のただ中
 
   <冬>
瀬戸内のまれな大雪子供らは日射しと競いてかまくら作る

山中の倒れし松に腰かくる我が背に積もれる雪のささやき

夕暮れてリフト止りしゲレンデを必死に降りゆく妻と子と我

息あわせ妻と乗りたるペアリフトしばし心は青春時代

我妻に初めて贈りし白き服元旦の朝輝いて見ゆ

新春のダムの夕日にフォーカスは人知れぬ中我妻に向く
 
ちぬの海短歌会
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執筆者:
「風は己が好むところに吹く。汝その聲を聞けども、何処より来たり何処へ往くを知らず。すべて霊によりて生まるる者も斯のごとし。」  (聖書)

 合同歌集『ちぬの海(2)』は、藤田恒男先生の主催された「ちぬの海短歌会」の歌集「ちぬの海」創刊30周年を記念して発刊されました。
 1992年から加古川市の例会に集うようになった私(井草)も、発行人の伊藤佐重子氏のご指導を頂き、折に触れて歌を詠んでいます。
 神の創造のみ業である身近な自然の美しさと人々の心の動きを心に感じつつ作品を創り出していきたいと願っています。

 左記の「四季の風」は、合同歌集『ちぬの海(2)』に収載されたものです。
 
 


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