緑風讃歌  2008.12.1.


『緑風讃歌』 (2008.5.31. 応募作品 50首)
                        風讃(井草晋一)
      

我が妻のきらめく髪に風を見る草引く我が手をしばし止めて

薮の中切り出し分けたる紅梅は三つ年数えて満開となる

フィーロロロ春風に乗り聞こえ来る鳶の声聞くキャンプの幕開け

ヒイラギの中より飛び出るモンシロチョウ羽の黄色の我が目に眩しき

赤枯れの松の大木切り倒す芽生え出でたる若木探しつ

コバノミツバツツジの花萌えている赤紫の屏風のごとくに

信仰の末裔住みたる千堤寺クルスの山里今年も尋ねて

雪深き但馬の村里尋ねゆく迎え待つ友吹雪の中に

大雪の朝の時間は止まって見える養父の旧家の庭の日だまり

水仙の花はチョット笑ったよ雪降る夜に肩寄せたから

モグラ君って働き者なんだね芝生の土はふっかふかだよ

山アリの手足を封じた小アリたち協力すれば必ず勝てるよ

里山に鶯たちのキャッチボール選抜の声も窓より聞こえて

朝明けを告げる鶯ケキョケキョと重ねる歌に我は目覚めり

足しげく通いつめたる我ゆえに桜は囁く開花の朝を

カメラ持ち見上げる我らを包み見るエドヒガンの樹今や満開

新緑の木立に風は吹き通る若葉の合唱背中に乗せて

台風を五月の嵐は連れ来るサイクロン禍の援助を求めて

キャンプ場黒き葉影のベンチより見渡す里山緑七色

蛍光灯のノイズか我の耳鳴りかオケラの合唱今、夏が来た

教育隊の記念写真をじっと見る班長の君は入隊五年目

レンジャーの訓練終えた帰還式ファインダー越しに君を見つめて

一本のロープに託す谷渡り写真は静かに訓練語りぬ

我が心背広の下にいつもある迷彩色の携帯ケース

ドンブラをグリーンバザールに求めゆく友と楽しむカザフの一日

手を引かれ我も踊りに加われり歌声溢れるカザフの歓迎

笑い声ユルタの中でわき上がる皿の上にはラクダの頭が

若人の踊りはどこかペルシャ風シルクロードのカザフの教会

カザフより持ち帰りたるドンブラを受け取る君に秋の陽輝く

草原の風は疾駆しやって来たドンブラ奏でる君に答えて

ドングリの屋根打つ音に目覚む我夜半の月は冴えて光れリ

銀竜草(ぎんりょうそう)刻みを詰めたキセルに似ている雨の上がったクヌギの森に

綾色の紅葉の栞に結ぶ影頭上の若葉を重ね合わせて

一日の成果を語るか小鳥たちクヌギの森の塒(ねぐら)にお帰り

鶯の声は日ごとに深みゆく梅雨入り前の緑の谷間に

蛍呼ぶ我が手のライトに答えつつ川辺に流れる光一筋

真夜中の瀬々の流れは静かなりゲンジとヘイケの結ぶ光に

キャンパーの帰りし夜のルミナリエオオマドボタルの黒き幼虫

ヒグラシは朝一番に歌い出す闇打ち破る光に感じて

ニイニイにアブラにクマにミンミンにツクツクまじる温暖化の夏

我が手取り剣の握りを伝授せる師範を想う礼の一時

両腕に赤子を抱く構えせよクリスマスに聞く師範の一言

戦いの意欲取り去る剣の道剣を鞘にと我も覚えて 

八十路越え郷里に帰る我が父は手伝う私の背中を見ている

フィンガーピッキングの大会迫りギター弾く息子の気迫よ

我妻の父母の依頼のセンサーライト玄関照らす光に喜ぶ

穀物の価格上がりし故なるか畑も消えて田植え終わりぬ

鶯は完成ライブで歌い合う梅雨入り前の緑のステージ

梅雨の空キャンプ場で綱引きか近畿中部の梅雨入り宣言

ドクダミの白い十字架咲いている病を癒す静かな花園






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