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『天麩羅蕎麦』掲示板で、北海道出身のhayashi氏が「絶品」と賞賛した一品。しかも、既に専門サイト『ホンコンやきそば全国販売促進委員会』まであるというではないか。これは食わないわけにはいかない。もっとも、北海道・仙台・大分の限定商品なので、近所のライフに行っても売っているわけはない。促進委員会サイトに紹介されていた北海道グッズ専門店『西田商店』に発注することにした。 注文は30食単位で、1,950円。商品自体は高いものではないが、送料を入れると、3,477円になる。袋麺1個に100円以上払うのには少し抵抗がないわけではなかったが、カナダの馴染みの通販屋さんに古典真空管を二三本注文すると大体これ位かかる。趣味代と考えれば、妥当な出費と言えよう。 西田商店さんは、発送迅速、あっという間に届いた。さすがに5食入×6パックがドンと届くと迫力がある。かすかな後悔の念が頭をよぎる。もしマズかったら...hayashi氏や促進委員会に一杯食わされたのだとしたら...この30食もの麺をどうすればいいのだ。 まずは袋を観察してみる。「完全味つけ」という文句が頼もしい...いや、今どき「完全味つけ」などと表示しているインスタント食品など見たことがない。泥鰌髭の中華コックの帽子には「S&B 中華コック長」と、活字体で書かれている。ヱスビー食品株式会社が、そんな役職の人を雇用しているのか。それなら、絶対、インドコック長もいるに違いない。 ...そんなことはどうでもいい...肝心の中身はどうか。麺は、かなり太い。チキンラーメンと同じように麺に味がついているので、濃い色をしている。調理前から十分香ばしい。粉々にすれば、子供の頃、駄菓子屋にあった「ベビーラーメン」(御存知の通り、後に「ベビースターラーメン」として市民権を得る)のようになりそうだ。黄色い小袋には、青ノリと白ゴマが入っている。このまま囓ってみたい衝動を抑えつつ、袋の裏面にある調理方法を読む。 作り方は至って簡単。200ccの水をフライパンで沸かし、麺を入れてほぐしていく。hayashi氏によれば、水の量は厳格に守るべきであり、また焦げ付きを恐れず強火で通すのがよいらしい。 フライパンの直径が大きいせいだろうか。完全にほぐれる前に水分がなくなってしまったような感じがする。やや焦げ付きはじめた。そろそろ出来上がりなのだろう。皿に移して、青ノリ・白ゴマをかける。 さあ、食べてみよう。調理前の香ばしさが、更に強くなっている。一口...うーむ...うんうん...なるほど。 太い麺を短時間で調理し、液体ソースも入れていないので、他のインスタント焼きそば・カップ麺式の焼きそばに比べて、カラッとしている。芯まで水分が到達していない部分もある。ドライ焼きそばと言ってもいいし、ベビーラーメンのソフト版と言ってもよい。うまいかと問われれば、うまいと言えるだろう。食事としてより、ツマミにいいかも知れない。 食べてみて、ファンが多い理由もわかった。一方、全国区の商品として地位を築けなかった理由もわかるような気がする。ホンコンやきそばは、家庭の食事のベースとしては使いにくいのだ。袋の裏に書かれている調理法をよく読むと「お好みに応じて野菜、肉、貝類、えび、かに等をバターか油で軽く炒めてそえますと」と書かれている。この商品には、何かを「加える」調理法はなく、あくまでも何かを「そえ」ることしかできない。夜食やアテとして、インスタントやきそばを好んで食う人は、全国に何百万人もいるだろう。しかし、その大部分は、少し多めに支払っても、フライパンや鍋を使わなくても済むカップ麺系の商品を選ぶに違いない。 販売地域の家庭の中には、大皿に盛ったホンコンやきそばをおかずにしているという強者一家もあるらしい。だが、その話を一般化して理解するのは、正しくないだろう。関西の家庭が皆タコヤキを夕食のおかずにしている、というのが馬鹿げた誤解であるのと同じだ。 初期のMacintoshもそうだったが、自己完結した商品、拡張性よりも完成度を追求した商品は、一部で強烈な支持を集めつつも、常に少数派の位置に甘んじる運命にある。ホンコンやきそばのファンは、今後も決して減ることはないだろうが、これが大都市のスーパーのチラシに登場することも、やはり考えられないと思う。 とりあえず、一夜明けた今朝の朝食は、ホンコンやきそばにしようと思う。 2002.1.27
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