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【序章】

 どうしてこんなに嫌われるのだろう。オーツはそんなにまずいのだろうか。 かつて、のらねこ商会千里店でオートミールについて書いたとたんに、 「悲しいほどまずかった」「そんなものを食べられるのは君だけだ」「どうやっても まずいものはまずいの!」と、散々な反響だった。おかげで千里店は一時閉鎖に 追い込まれた程である。

 これほどまでにオーツが破滅的食品とされるようになってしまった原因は何か? ひとつの原因は、そのパッケージにある。表の写真を見よ。これではまるでふやけた コーンフレークである。御丁寧にもパッケージの側面には、こともあろうに「おいしい オートミールのつくり方」と称して、その「ふやけシリアル」の作り方が図解されて いる。すなわち、煮上がったオーツに牛乳と砂糖をかけると言うのだ。

 それは、なるほど伝統的な調理法を反映しているのであろう。伝承されたスタイル こそが人間にとって本質的な最善解の表現である、とする立場からは、このパッケージ 側面の記述は、疑いもなく正しい。しかし、しかしだな、コーンフレークは、砂糖と 牛乳でも、冷たくてクリスピーだから食えるのである。暖かくてべたべたした所に そんなものかけたら、そらまずいで。

 オーツは、本当はもっと自由な発想を許す食物なのではあるまいか?さっきテレビ 見てたら、浅田美代子がオートミールの溶いたのを巨大な哺乳壜に入れて、子象にやって いたぞ。何、所詮は動物の餌だろうって?そんな心の狭いことを言ってはいけない。 パッケージの表で微笑むクェーカー教徒の長老も、人間は些細なことにこだわらず、 広く大きな心で生きよと言いたげな様子ではないか。

「砂糖とミルク」の固定観念から解放された時、人ははじめてオーツの素朴で深い 味わいの、無限に拡がる可能性を知ることになる。世の偏見を払拭し、オーツの真の 実力を知らしめるには、新たな調理法の開発と、それらの宣伝普及活動が必要だ。

 広範な同志諸君、今ぞ日は来たれり。隠れオーツの徒は、すべからく当協議会に 結集せよ。無知と欺瞞と偏見とに塗り込められたオートミールの真の輝きを宣揚し、 人類の食文化の向上発展のために、固く団結せん。


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