いろんな星人

- created: 2000.10.08, last modified: 2000.11.24 -

by Rj <mailto:rj-taka@t3.rim.or.jp>
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登場生物


act i - タカシ alias 『いろんな星人2号さん』の部屋


「俺、こないだから『いろんな星人2号さん』になったぞ。」
「・・・え?」
「俺、『いろんな星人2号さん』になった。」
「・・・・・・なに、それ?」
「だから、『いろんな星(せい)』っていう星の人の、2号さん。」
「・・・『いろんな星』って、なによ。」
「牽牛星とかウルトラの星とか、いろいろあるうちの一つだろ。」
「・・・じゃあ、何で『2号さん』なの?『1号』は誰?」
「さあ。俺もそこまでは聞いてないな。」
「・・・誰かに言われたの?」
「うん、かのりんに認定されたらしい。ついこないだ。」
「『かのりん』?認定???」
「うん、認定。誰でもなれるわけじゃないらしい。」
「何でそんなものになっちゃったの?何かしたの?」
「うーん、俺にもよくわからん。突然認定された。」
「・・・ホントは何かあるんでしょ。。。言えないの?」
「何もないってば。俺だって驚いてるんだから。」
「でも・・・おかしいよ、そんな急にわけわかんないものになるのって。」
「俺が決めたことじゃないから・・・かのりんが認定したんだよ。」
「そう、その『かのりん』って誰よ?」
「んー、かのりんはあだ名・・・というか自称。本名は霧島佳乃さん。きりしまのきりはfog、しまはislandで、かののかは『佳境に入る』の佳、のは『陸軍大将乃木希典(まれすけ)』の乃。」
「・・・で、その霧島佳乃さん?って、知り合いなの?」
「えっと・・・まあ、そうかな。知り合い。うん。」
「その間、怪しい。。。どこで知り合ったの?どんな人?」
「別に怪しくないって。知り合ったのは神社に行く手前の橋んとこ。おさんぽが好きで、いっつも地球外毛玉と一緒に散歩してる。」
「ちきゅうがいけだまぁ?なによそれぇ?」
「だから、地球外から来た毛玉だろ。人語を解するらしいぞ。」
「どこが怪しくないのよぉ。わけわかんない。ちゃんと地球語で説明して!」
「日本語で説明してるってば。何が怪しい?どこがわからない?」
「だって、毛玉ってセーターとかに出来るアレでしょ?そんなの、地球外から来ないもん。それに、毛玉は散歩なんてしない。」
「それは思い込みってやつじゃないか?俺も最初はおかしいなと思ったけど、世の中には俺らの知らんこともあるんだろ。ハムレットも言ってたぢゃん、『この天と地の間には我々が夢想する以上のものがある』って。」
「それはそうだけど・・・でも、毛玉は散歩しないもん。。。」
「毛玉ったっていろいろあるだろ。セーターとかに出来るやつは散歩しないけど、散歩する毛玉も地球外にはあった、ってことだな。」
「地球外から毛玉なんて来ないぃ!そんなの落ちてきたらニュースで言うはずだよ!」
「それよりさあ、RhapsodyのLegendary Tales知らない?見つかんないんだけど。
「話逸らしてるぅ。やっぱりその霧島さんって人と何か・・・」
「何もないって。RhapsodyのCD・・・おかしいなぁ。確かこの辺に置いといたはずなのに。。。」
「そんなのどうでもいいでしょ。それより、何で毛玉が人語を解するのよぉ?毛玉だよ?毛玉は言葉なんて話さないもん!」
「だからあ、俺らの知らない毛玉ってのもあるんだろ。あんまりしつこいと『だよもん星人3号さん』に認定するぞ。」
「またはぐらかしてる。何よ、そのなんとか星人3号さんって?」
「はいはい、『だよもん星人3号さん』に認定。CD無いなぁ。。。どうしよう。」



act ii - 翌日、河原崎さん alias 『だよもん星人3号さん』のバイト先


「あのね、私ね、『だよもん星人3号さん』に認定されちゃったの。。。」
「にゃ?」
「『だよもん星人3号さん』に認定されたの、昨日の夜。」
「だよもんせいじん?って、もしかしてアレかにゃ?」
「え?アレって?」
「アレ、知らにゃい?最近インターネットとかに出てるうちうじん。」
「うちうじん?そんなのいるの?」
「にゃ、絵だけどね、その人。」
「絵なの?流行ってるの?」
「うーん、どうかにゃ・・・ごく一部で、だと思うけど。でも、何で3号さんに認定されちゃったにょ?」
「よくわかんない。『1号は瑞佳ちゃんで、2号がうちうじんだ』って言われた。」
「へぇ。じゃあ、アレが2号さんだったのにゃ。瑞佳ちゃんってのは私も知らにゃいけど。」
「で、その2号さんって、どんな人なの?」
「んー、ふつうだよ。あ、いっつも『ぶいっ』ってしてる。」
「ふぅん。。。ふつうなんだ。」
「うん。アレの次で3号さんなら、いいんじゃにゃい?」
「そうなのかな・・・いいのかな。。。」
「うん、問題にゃい。にぇ、誰が認定してくれたの?」
「それがね、『いろんな星人2号さん』なの。」
「誰にゃ?」
「タカシだった人。こないだから『いろんな星人2号さん』になったんだって。」
「うにゃ。。。」
「ところであなた、いつまでその猫言葉使うの?」
「え?そうだにゃあ、飽きるまでかにゃあ。気ににゃる?」
「・・・うん。『にゃあにゃあ星人1号さん』に認定してあげるよ。。。」
「えっ?ホント?やったにゃーん♪1号さんにゃ〜ん☆」
「・・・」
「『にゃあにゃあ星人』にゃ〜〜〜ん♪」
「・・・・・・」



act iii - その晩、ヒロシ alias 『わるぅわるぅ星人1号さん』の部屋


「にぇーにぇー聞いて、あたしにぇ、『にゃあにゃあ星人1号さん』に認定されたんだよん。」
「にぇーにぇー言うなっての。お前は『寄る贄』か。そのうち『女衒、女衒』とか『ぶいあいごうごう』とか言いながら無敵状態に入ったりしねえだろうな。で、にゃあにゃあ星人?・・・ま、そうだな。認定が遅かったくらいだ。」
「にゃ。1号さんって嬉しいんだにゃ。」
「で、誰が認定してくれたんだ?気の利いた人だ。」
「あにょね、『だよもん星人3号さん』。」
「ああ、だよもん星人さんね。2号がアレだから、その次か。まあまあだな。」
「はにゃ?2号さんがアレだって知ってたにょ?流石だにょーん。」
「世間の常識だろ、そんなの。お前もにゃあにゃあ星人なんかになってにゃあにゃあ言ってないで少しは社会勉強しろ。」
「うにゃん。。。そうするにゃ。ところで、ヒロシは何星人にゃにょ?」
「・・・それ、言いにくくないか?俺なんか鍵盤打ってて手が狂いそうになるぞ、そのにゃにゅにょ攻撃。右手の人差し指が大変なんだよ。」
「にゃにせいじんなのぉ?」
「ヒトの話を聞けっつうの。あ、俺か、聞いてないの。俺な、俺は何星人でもないぞ。ただのちきうじん。」
「うにぃー、そんにゃのつまんにゃいよぉ。じゃあにぇえ、あたしが認定してあげるにゃ。えーっと・・・」
「ところでさあ、このRhapsodyのCDってお前のだっけ?俺、買った覚え無いんだけど。誰かから借りたのかなぁ。お前知らない?」
「・・・知らにゃいよぅ。今にゃにせいじんにするか考えてるんだからぁ。」
「あそ、じゃ、『誰のだかわかんねーRhapsodyのCDを持て余して途方に暮れてる上に隣でにゃあにゃあ星人ににぇーにぇーにゃあにゃあ言われてどんどん困ってる星人』にでもしといてくれ。」
「そんにゃのダメだよぅ。長すぎるにゃ。」
「じゃ、縮めて『誰のだ・ってる星人』にでもしてくれ。」
「意味わかんにゃいにゃ・・・」
「そらそうだ。」
「自分で言っといて、無責任にゃ・・・」
「そうだな。あっ、思い出した。このCD、タカシから借りたんだっけ。」
「・・・タカシはもういないにゃ。。。」
「何?遂に死んだのか?やっぱり・・・」
「チガウにゃ。『いろんな星人2号さん』に認定されたにゃ。。。」
「いろんなせいじん?」
「2号さんにゃ。」
「で、1号さんは誰なんだ?」
「わかんにゃい。」
「そうか。ぢゃあいい。で、俺は何星人に認定されたんだ?」
「・・・まだ考えてにゃいよぅ。」
「のろいな。『にゃあにゃあ星人兼のろのろ星人1号さん』に認定してやろう。」
「にゃー!そんにゃのヤダもん!『にゃあにゃあ星人』だけでいいもん!」
「ついでに『もんもん星人』も足してやろう。『にゃあにゃあ星人兼のろのろ星人1号さん』兼『もんもん星人3号さん』だな。決定。あ、因みに『もんもん星人2号さん』はタカシ・・・で、『いろんな星人2号さん』にもなったんだっけ?じゃあ『いろんな星人兼もんもん星人2号さん』か。略して『いろもん星人2号さん』。」
「『もんもん星人』の1号さんは誰にゃ?」
「そりゃ瑞佳ちゃんだろ、当然。世間の常識。」
[瑞佳ちゃん?それって、『だよもん星人1号さん』じゃにゃいの?」
「あー、そうだよ。『だよだよ星人』兼『もんもん星人』兼『だよもん星人』の1号さん。その筋では偉いらしいぞ、相当。」
「かなわないにゃ・・・」
「敵ってどうする。あ、『かにゃわにゃいにゃ』じゃなくていいのか?俺は鍵盤打つの楽だからいいけど。」
「たまにはいいの!ところで、にゃによ鍵盤って?」
「鍵盤も知らないのか。これだから『にゃあにゃあ星人兼のろのろ星人1号さん』兼『もんもん星人3号さん』は・・・って長くて面倒だな。鍵盤ってのはなぁ、keyがいっぱい付いてるboardだよ。見たことない?ピアノとかパソコンとかに必須。」
「そんなの知ってるにゃ。ヒロシ、関係ない説明して誤魔化してるにゃ。きっとまた何か悪ぅいこと隠してるにゃ。。。」
「かっ、隠してねえってば何も。」
「焦ってるにゃ。バレバレだにゃ。そんなヒロシは、『わるぅわるぅ星人1号さん』に認定だにゃ。。。」
「『わるぅわるぅ星人』は勘弁してくれぇ・・・しかも、1号さん。。。もうダメだ・・・」
「自業自得にゃ。。。」
(ばた)



act iv - 次の週、ヒロシの部屋


(♪ぴろろーぱろっぽ、ぱろっぽ、ぱろっぽ・・・ < でびるまんの主題歌)
タ:「はい」
ヒ:「もしもし、『いろもん星人2号さん』?俺・・・」
タ:「ああ、『わるぅわるぅ星人1号さん』?久し振り。」
ヒ:「・・・って、何でもう知ってんだよそれ?」
タ:「・・・って、何だそのいろもん星人って?」
タ:「『わるぅわるぅ星人1号さん』に認定の件は、昨日『だよもん星人3号さん』から聞いた。『にゃあにゃあ星人兼のろのろ星人1号さん』兼『もんもん星人3号さん』から聞いたって。」
ヒ:「お前、『いろんな星人兼もんもん星人2号さん』だろ。その略。今更とぼけたってダメだ。」
タ:「なあ、頼むよ、『もんもん星人2号さん』の件はまだ『だよもん星人3号さん』には言ってないんだから・・・それと、その略し方はやめろ。俺は色物か。」
ヒ:「色物じゃないとでも言うのか?じゃあ、柄物。ガラモンみたいでいいぞ。それとも『もんんな星人』とでも略した方がよかったってのか?異様に言いにくいぞ。しかも、『悶絶してるおんな』の略みたいでえっちぃだ。」
タ:「お、早速『わるぅわるぅ星人1号さん』の本領発揮だな?」
ヒ:「うるせえ。それより、俺んとこにお前のらしきCDがあるんだけど、Rhapsody、身に覚えある?俺に貸した?」
タ:「あー、お前んとこにあったのかぁ。探してて見つからなくて泣きそうになってたんだよそれ。」
ヒ:「『泣きそう星人1号さん』。」
タ:「黙れ。」
ヒ:「で、どうする?CD。」
タ:「んー、そうだな、『にゃあにゃあ星人兼のろのろ星人1号さん』兼『もんもん星人3号さん』に頼めるかな。『だよもん星人3号さん』に渡してくれ、って。」
ヒ:「OK、そうする。悪かったな、『泣きそう星人1号さん』に認定しちまって。」
タ:「だったら認定すんじゃねー。」
ヒ:「お?しなくていいのか?じゃやめよう。けどそしたら『わるぅわるぅ星人1号さん』は返上だな。やった。」
タ:「『やった。』じゃねー。」
ヒ:「じゃ、そゆことで。またな。」
タ:「・・・人の話を聞け。」
(つーーーーーー・・・)

「なぁ『にゃあにゃあ星人兼のろのろ星人1号さん』兼『もんもん星人3号さん』、このCD、明日『だよもん星人3号さん』に渡してくれる?『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』に渡してくれ、って。」
「にゃ?いいよ。」
「あっそれから、俺もう『わるぅわるぅ星人1号さん』じゃなくなったから。」
「にゃ?どうして?」
「わるぅくなるべきところでそのわるぅ性を十分に発揮出来なかったということだろう。」
「にゃ・・・寂しいにゃ。。。」
「ま、それがただのちきうじんとしての宿命なんだろ。」
「・・・もうダメかもしれにゃいにゃ。。。」
「えっ?・・・何がだよ?」



act v - 一ヶ月後、繁華街の居酒屋


「ねえ『にゃあにゃあ星人兼のろのろ星人1号さん』兼『もんもん星人3号さん』、この頃あいつどうしてんの?ほら、あの『わるぅわるぅ星人1号さん』だったやつ。」
「そうそう、私も気になってる。最近『にゃあにゃあ星人兼のろのろ星人1号さん』兼『もんもん星人3号さん』、あんまりあの人の話しないから。」
「にゃ・・・あたしも知らないにゃ。。。もう別れたにゃ。。。」
「げ、そうなの?何で?」
「・・・ただのちきうじんとはやっていけないにゃ。。。」
「そう・・・だよね、やっぱり。」
「んー、やっぱりそういうもんか。確かに厳しいものがあるだろうな。この頃めっきり見かけなくなったし。。。」
「でも、どうして『わるぅわるぅ星人1号さん』じゃなくなっちゃったのかにゃ。結局最後までちゃんと教えてくれなかったにゃ。。。」
「えっ・・・」
「何?どうしたの?『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』、顔が凍ってるよ・・・」
「い、いや、酒がちょっと気管の方に入りそうになって・・・」
「・・・もういいにゃ。あたしも忘れたにゃ。もう名前すら思い出せないにゃ。。。」
「・・・」
「・・・」
「・・・ちょっとトイレ行ってくるにゃ。。。」

「ねえ、ホントは何か知ってるんでしょう?『わるぅわるぅ星人1号さん』が『わるぅわるぅ星人1号さん』じゃなくなった理由。」
「え・・・っと、まあ、な。。。実は・・・」

「ひどいよ。。。『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』って、絶対そんなことしない人だって思ってたのに・・・」
「俺だって・・・あの時はそんなつもりじゃ・・・」
「もういい。どういうつもりでも、そんなことするなんて。最低だよ!」
「ちょっと待てよ。おい・・・」
「来ないで。もうわかったもん。貴方も結局、ただのちきうじんなんでしょ?それを今まで騙して・・・」
「おい、それどういう意味・・・」
「さよなら!」
「待てよ、俺はただのちきうじんなんかじゃ・・・」

「はにゃっ?『だよもん星人3号さん』は?」
「・・・帰ったよ。。。」
「にゃんかあったのかにゃ???」
「・・・・・・」


act vi - 次の週、タカシの部屋


(♪ぴろろーぱろっぽ、ぱろっぽ、ぱろっぽ・・・ < でびるまんの主題歌)
タ:「はい」
ヒ:「もしもし、『いろもん星人2号さん』兼以下略さん?俺・・・」
タ:「ああ・・・ヒロシか。・・・久し振り。どうしてたんだ?」
ヒ:「あれ?お前、俺の名前が分かるのか?」
タ:「ああ。俺も、もう『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』じゃなくなった。。。」
ヒ:「・・・そう、か。。。ただのちきうじん、か。」
タ:「皮肉だよな。あの時俺がああ言ったせいでお前は・・・」
ヒ:「えー、アレはもういいよぅ、かっこまるしーうつるんですのかえるくんかっことじ。」
タ:「ははは・・・余裕だな。俺はまだダメだよ、立ち直れてない。」
ヒ:「いつから?どうして?」
タ:「一週間位前かな。。。理由は・・・自業自得だよ。お前が『わるぅわるぅ星人1号さん』じゃなくなった時のことを話して、それで・・・おしまい。」
ヒ:「ちょっと待てよ、俺が『わるぅわるぅ星人1号さん』じゃなくなったのはお前の所為じゃないぞ。あれは俺が・・・」
タ:「いや、俺があの時あんな風に言わなければ・・・だからな。やっぱ自業自得。」
ヒ:「なんだ、お前らしくないぞ。たられば殺法なんて。」
タ:「そうかな・・・そうかもな。。。まだ滅入ってるのかな。。。」
ヒ:「まあ、俺がああなった時より更に世の中が進んでるし、お前のダメージもその分でかいんだろうな。。。けど、またやれるさ、ただのちきうじんとしてだってお前なら立派に。」
タ:「だといいけどな。。。ありがと。」
ヒ:「しかし、難しい世の中になったもんだ。昔の、もっと混沌としてた頃が懐しい気もするよ。」
タ:「それこそお前らしくないぞ。懐古趣味なんてあったか?」
ヒ:「う・・・そんだけ歳喰ったってことだろう。。。喰いたかないけど。」
タ:「歳喰った、か。。。そういや、お前と会って何年だっけ?」
ヒ:「えーと、そろそろ1X年、かな?」
タ:「もうそんなになるか。歳も喰うわけだ。最初会った時は・・・」
ヒ:「おっさんくせえぞ、昔話。」
タ:「むはは。そうだな。おっさんくせえ。けど、実際もうおっさんだもんなぁ。」
ヒ:「老け込んでどうする。ただのちきうじんに戻ったんだったら、気合い入れていかないとダメだぞ。」
タ:「そうだったな。。。気合い入れていかないとな。」
ヒ:「・・・景気付けにどっか行かないか?久し振りに下北のあの店でも。」
タ:「いいねぇ。行こうか。いつなら空いてる?」
ヒ:「今ってのは?」
タ:「俺は・・・いいけど。じゃ今から行くか。」
ヒ:「そうしよう。んじゃ・・・俺、場所覚えてねえから、南口の階段下でいいか?」
タ:「おう。時間は・・・七時でいいかな。」
ヒ:「OK、じゃ、七時に。」
タ:「了解。」



act vii - 同日、下北のあの店


ヒ:「しっかし、妙なことになっちまったなぁ。。。まず俺が、そしてお前も。」
タ:「そうだな。。。そもそも、ちょっと前まで『なんとか星人』なんて無茶苦茶マイナーだったのにな。」
ヒ:「それが今や、ただのちきうじんなんてもう絶滅寸前、ってわけか。。。」
タ:「マダガスカル辺りにアフリカの残党が結集して結構頑張ってるらしいけど、所詮無駄な足掻きだろうな。もう復権は望めない。」
ヒ:「ああ。俺達だって、いつまでこうしていられるか。。。そのうち『ただのちきうじん狩り』とかいう物騒なことになるんだろうな。」
タ:「いや、そんなことをするまでもないかもしれない。大体、今日本に残ってるのって・・・もう1%切ってるくらいなんだろ?この短期間にそれだ。negligibleになるのも時間の問題だろ。。。」
ヒ:「けどさあ、俺達みたいに、一旦『なんとか星人』になったけど戻っちゃう人間って他にいないのかなぁ?そういう連中が増えれば、まだどうにか・・・」
タ:「・・・そうか。。。復帰率は移行率に到底敵わないけど、一旦なって戻ったやつはもう二度となれない、か。確かに。」
ヒ:「そうすると、あとは・・・復帰率の問題、か。高けりゃいいけど、低いとやっぱりあっち側の連中が組織的に弾圧とか始めるんじゃねえかな。。。」
タ:「やだな、そんなの。ただでさえこんな肩身の狭い思いをさせられてるってのに。」
ヒ:「どうにかなんねえのかな。。。」
タ:「けどさ、今ここで考えてもしょうがないか。少し忘れて飲もうぜ。」
ヒ:「お、そうだったな。今日は景気付けだったっけ。」
タ:「おう。じゃ、哀れな残党にカンパイ。」
ヒ:「ちーす。」
(ちん)

(ひそひそひそ)
「・・・あいつら、ただのちきうじんらしいぜ。。。」
「おい、聞こえるぞ・・・」
「けどよお、何で俺達があんな連中と同じ店で・・・」
「お前ちょっと酔ってんだよ。もう出ようぜ、夜風にでも当たれ。」
「何で俺達が出なきゃいけないんだよ、あいつらを追い出せば・・・」
「だから聞こえるって。。。ほら、出るぞ。」
(ぶつぶつぶつ)

「ありがとうございましたぁ。」

タ:「感じわりぃよな。。。」
ヒ:「まあしょうがねえさ。どこ行ってもこんな感じだよ。」
タ:「・・・くそ。」
ヒ:「まだ法的に弾圧されてないだけマシじゃねーの?」
タ:「・・・それも時間の問題かもしれないんだろう?どうすりゃいいんだ?」
ヒ:「少し忘れて飲むことも出来ない、か。確かにな。どうすりゃいんだろな。」
タ:「出るか、俺達も。人のいるとこじゃくつろげない。」
ヒ:「どっかの公園にでも行くか?缶ビールでもコンビニで買って。」
タ:「お、それいいねぇ。そうしよ。」
ヒ:「おっけ・・・ところでさあ、俺達二人の時って何か気にならない?何かが『ヒタヒタヒタヒタ』って迫ってるような。。。」
タ:「ん?気のせいだろ。」



act viii - 数日前、千紗 alias 『にゃあにゃあ星人1号さん』の部屋


「教えてくれてありがとにゃ。。。」
「結局、『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』だったあの人も、自分がただのちきうじんでしかいられないって思ってたからだと思うの、無意識にでもそんなことしちゃうなんて。」
「そうかにゃ・・・あたしにはよくわかんにゃいけど・・・でも、『わるぅわるぅ星人1号さん』だった彼が『わるぅわるぅ星人1号さん』じゃなくなっちゃったのって、『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』だった人のせいじゃにゃいって気もするにゃ。。。」
「どうしてよ?だって・・・決定的じゃない?」
「でも、あたし覚えてるにゃ。『わるぅわるぅ星人1号さん』だった人、その電話の後で、『わるぅくなるべきところでそのわるぅ性を十分に発揮出来なかったということだろう。』って言ってた。その時は意味がよくわかんにゃかったけど、今は少しわかる気がするにゃ。。。」
「どういうこと?」
「『わるぅわるぅ星人1号さん』でいるためには、無理をしなきゃいけにゃかった、ってことにゃ。」
「でも・・・だからって・・・・・・」
「『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』だった人は、そんな無理なところから『わるぅわるぅ星人1号さん』だった人を助けたのかもしれないにゃ。。。」
「助けた?どうしてそうなるのよ?だって、『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』だった人さえその電話であんなことを言わなかったら・・・」
「言わなかったら、『わるぅわるぅ星人1号さん』だった人は、まだ『わるぅわるぅ星人1号さん』を続けてにゃきゃいけなかったかもしれないにゃ・・・それは辛いにゃ。。。だって、無理してないと続けられにゃい状態にゃ。」
「でもでも、無理って言うけど、そんなのみんな同じじゃないの?あなたはどうか知らないけど、私は・・・私だって、『だよもん星人3号さん』でいるためには・・・」
「・・・そう言えば、さっきから『だよもん星人3号さん』、全然『だよ』とか『もん』って言ってないにゃ・・・」
「えっ、ちょ、ちょっと・・・だよ、もん!」
「もう遅いにゃ。。。認定、取り消しだにゃ。。。」
「そんなっ・・・」
「もう帰って下さいだにゃ。。。」
「待ってよ、私そんな・・・ねえ!」
(ぐいぐい・・・ばたん)



act ix - 数日後、千紗の部屋


どうしてこうなっちゃったんだろうにゃ。
結局みんなただのちきうじんだったんだにゃ。
世の中の人はみんなそうじゃないけど、仲よかったあの四人の関係にはもう戻れないんだにゃ。
今思うと、『わるぅわるぅ星人1号さん』だった人とか『だよもん星人3号さん』だった人とか『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』だった人って、いい人たちだった気もするにゃ。
四人でいろんなとこ行ったにゃ。
あたし、それまであんまりいろんなとこ行ったことにゃかったし、みんな面白い人たちだったから、あんな風にいろんなとこ行くのって楽しかったにゃ。
銚子のおさかな、おいしかったにゃ。
下田の先の海も、キレイだったにゃ。
箱根の山道は・・・酔ったにゃ。
酔ったと言えば、あたし山中湖で酔いすぎたにゃ。
花火持って振り回してたら、『わるぅわるぅ星人1号さん』だった人の鼻に刺さって大変なことになったりしたにゃ。
富士山の遊歩道は寒かったにゃ。
霧で何も見えなかったにゃ。
こわかったけど、ちょっとどきどきして楽しかったにゃ。
もう行けにゃいのかにゃ。
寂しいにゃ。
どうしてこうなっちゃったのかにゃ。
あたしが悪いのかにゃ・・・そんなことないにゃ。
あたし何もしてないにゃ。
みんなが勝手にただのちきうじんに戻っちゃっただけにゃ。
でも、あたしだけ仲間外れみたいだにゃ。
寂しいにゃ。
どうしてかにゃ。
あたしはどうすればよかったのかにゃ。
どこかで間違ったのかにゃ。
わからにゃいにゃ。
どうしてあたしは『にゃあにゃあ星人1号さん』ににゃったんだっけにゃ。
あっ、『だよもん星人3号さん』だった人が認定してくれたんだっけにゃ。
でも、『だよもん星人3号さん』だった人は、自分だけ勝手にただのちきうじんに戻っちゃったにゃ。
ひどいにゃ。
あたし、寂しいにゃ。
『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』だった人は、どうしてただのちきうじんに戻っちゃったのかにゃ。
やっぱり『わるぅわるぅ星人1号さん』だった人にあんなこと言ったのがいけにゃかったのかにゃ。
でもでも、そんなふうには思えないにゃ。
『わるぅわるぅ星人1号さん』だった人は、『わるぅわるぅ星人1号さん』じゃなくなった方がよかったんだにゃ、きっと。
『わるぅわるぅ星人1号さん』だった人、今頃どうしてるのかにゃ。
独りで寂しく暮らしてるのかにゃ。
だったら、あたしと一緒にゃ。
でもでもでもでも、もうただのちきうじんにゃ。
『わるぅわるぅ星人1号さん』だった人も、『だよもん星人3号さん』だった人も、『いろもん星人2号さん』兼『泣きそう星人1号さん・・・に認定されかけたけど、辛うじて免れた1号さん』だった人も、みんなみんなただのちきうじんに戻っちゃったにゃ。
世の中の人はみんなただのちきうじんじゃないのに、あたしだけ仲間はずれになった気分にゃ。
四人で遊ぶの、楽しかったのににゃ。
でもでもでもでもでもでもでもでも、あたしにはどうしようもにゃいよね、そんなの。
どうしてこうなっちゃったんだろうな。。。



act x - 「下北のあの店」の後、夜の公園


タ:「こんなとこで月見ながら酒飲むってのも悪くないよな。」
ヒ:「ああ、しかも、猫と一緒に。」
タ:「そういやお前昔っから猫好きだったよなぁ。」
猫:「にゃ〜」
ヒ:「お前なんて昔は猫を目の敵にしてたよなぁ。」
タ:「それを言うなや。」
ヒ:「猫を見かけると怒って蹴飛ばそうとして・・・」
タ:「だからもういいっての。それよりさあ、お前・・・やっぱり千紗ちゃんって猫だから好きだったのか?」
ヒ:「バカ。んなわけあるか。あの子は人間だ人間。いや、今はもう『にゃあにゃあ星人1号さん』以下略だったっけ。」
タ:「バカって言うな。で、『にゃあにゃあ星人1号さん』だったから好きになったのか?」
ヒ:「アホ。チガウよ。俺と知り合った時にはまだ『にゃあにゃあ星人1号さん』じゃなかっただろ。」
猫:「ごろごろ」
タ:「アホって言うな。じゃあ、どこが気に入ったんだ?」
ヒ:「さあな・・・もう忘れちまったよ。。。それより、お前こそどうなんだよ。河原崎さん alias 『だよもん星人3号さん』のどこが気に入りだった?」
タ:「んー、そうだな・・・正直言うと、最初は見かけかな。」
ヒ:「ぬはは。バカ正直だ。でも、確かにあの子はキレイだよな。」
タ:「だからバカって言うなっての。けど、千紗ちゃんだって可愛いと思うぞ。」
ヒ:「じゃあ、アホ正直。んで、可愛かったっけ?もう忘れちった。」
タ:「ウソこけ。忘れるわけねえだろ、そんな簡単に。」
ヒ:「そうかもな。忘れたいだけだろ、言わば単純に。で、見かけの次は?」
タ:「んー、そうだな・・・気を遣わなくていいところかな。」
ヒ:「は?なに?お前が誰かに気を遣ってるとこなんざ見たことねえけど。」
猫:「にゃ〜」
タ:「うるせー。こう見えても俺は『気配りのタカシ』と・・・」
ヒ:「一生に一度でいいから言われてみたい、と。ハイ。頑張れよ。」
タ:「片付けるな!」
ヒ:「で、自分が楽だったから付き合った、と。」
タ:「あ、ひっでえ。。。人が真面目に話そうとしてるのに。」
ヒ:「あれ、そうなのか。じゃいいよ、どんどん続けて。楽ってどういうこと?」
タ:「楽ってのはお前が勝手に言ったんだろが。俺は気を遣わなくていい、って言っただけだぞ。」
ヒ:「同じだ同じ。で、気を遣わなくていいってどういうこと?」
猫:「ごろごろ」
タ:「・・・まあいいや。つまりだな・・・」
ヒ:「楽ってことだろ?分かったよ。楽をしたかったんだ。誰でもそうだよな、しょせん人間。怠け心は万人共通。くよくよすんな。」
タ:「だー!話の腰を折るな!しかも、勝手に結論づけて慰めに入るな!」
ヒ:「何怒ってんだよ突然。お前、もしかして怒り上戸?」
タ:「突然じゃねー!おめーが・・・今のは、誰が見ててもお前が悪いと思うと思うぞ!」
ヒ:「はいはい、ややややこしい表現ご苦労様。で、彼女といると自分が自分らしく自然にいられた、と。そう?」
タ:「・・・・・・まあ、そうだよ。そう。」
ヒ:「だったら何であんなことになったんだと思う?『騙してた』まで言われたんだろ?自然にいられるんだったらそんなことにならんような気もするが。」
タ:「そんなの俺にもわかんねーよ。なんでああなったんだか。」
ヒ:「楽だったような気がしてただけじゃねえの?色香に迷って。」
猫:「にゃ〜」
タ:「やや古風な言い回しで人を中傷すんな。」
ヒ:「じゃあ、色気に溺れて。」
タ:「中傷がひどくなってるぞ。」
ヒ:「ん?違うのか?真実なら中傷にはならないと思うが。」
タ:「お前と話してると疲れるよ、まったく。」
ヒ:「ってことは、お前ってそう見えても俺に気を遣ってくれてるんだなぁ。あ、やめろよ、俺にはそっちのケは無いからな。」
タ:「・・・死んでろ。」
ヒ:「変わった気の回し方だな。どういう意味だかわかんねえや。」
タ:「気なんか回してねーっての。言葉通りじゃ、ボケ。」
ヒ:「あそう。やっぱり他人に気を遣ったことなんてないんだろうな、お前は。ところで、俺達何でこんな話してんだっけ?」
猫:「ごろごろ」
タ:「おめーが話逸らしてんだろう!」
ヒ:「えっ?そうなのか?いい加減俺との会話に慣れないお前が悪いのかと・・・あっ」
タ:「ん?何だよ?」
ヒ:「あれ、もしかして・・・」
タ:「ん?・・・ぁ」
ヒ:「お〜い!『だよもん星人3号さん』さ〜ん!」
タ:「ばっ、バカ!呼ぶなよ!」
ヒ:「もう遅い。おしさひぶり〜っ!」
タ:「ぐあー・・・」
猫:「にゃ〜」

「あっ・・・」
「おしさひぶり。反応してくれるんだ。」
「こんばんは・・・ヒロシさん、と、タカシ。。。」
「え?タカシ・・・?って、何で・・・」
「私、もう『だよもん星人3号さん』じゃないから。。。」
「そ、そうなのか。。。」
「ねえ、じゃあ河原崎さん、おしさひぶり。」
「あ、お久し振りです、ヒロシさんも。」
「おしさひぶり!」
「はい・・・。・・・?」
「頼むからつっこんで・・・」
「えっ?」
「だぁ!こんな状況でしつこくボケてんじゃねー!」
「ごろごろ」
「ごろごろ」
「お前までごろごろ言って誤魔化すな!」
「あの・・・」
「あ、河原崎さんゴメン。今のはね、俺が、普通なら『おひさしぶり』って言うべきところで、わざと間違えて『おしさひぶり』って言うという、所謂『ボケをかます』って技のうちやや変則的なものを試してみたところなんだよ。で・・・」
「解説すな。」
「あー、なるほど、そうだったんですか。私全然気がつかなくて・・・すみません。」
「納得するな。しかも、謝るなっ。」
「なんだタカシ、調子戻ってんじゃねえか。俺のお陰だな。」
「それであの、今の場合私はどうすれば・・・」
「あ、そうだねぇ、普通は・・・」
「教え込もうとするなっ!河原崎、無視しろ無視。」
「え、でも・・・」
「にゃ〜」
「にゃ〜」
「おめーは一生猫やってろ!」
「にゃ〜」
「あの・・・今のはどっちでしょうか。猫?ヒロシさん?」
「構うな!放っとけ!」
「にゃ〜」
「うるせー!だぁってろ!」
「・・・タカシ、今のは猫だぞ。」

「ふぅん、じゃあ、結局その晩千紗ちゃんとこでそうなっちまった、ってことか。」
「そうなの。」
「で、どうなの?キミら、別れた原因はタカシがただのちきうじんだったってことでしょ?それがどうでもよくなった今、やっぱり・・・」
「あ・・・」
「いきなり話を核心に持っていくな。まだ心の準備が・・・」
「あれ?そうなの?さっきまではあんなことやこんなことまで言ってたのに。」
「え・・・どんな事ですか?」
「おめーは黙ってろ!話をややこしくすんな!」
「何かお前さっきから怒ってばっかりだな。折角の再会なのに。」
「タカシ、どんな事を言ってたんですか?」
「ええとね、実はこいつが河原崎さんに惚れたのは・・・」
「やめろっ!」
「ね、すごい慌てようでしょ。つまり、そんだけ惚れてたってこと。」
「・・・そう・・・なの?」
「っだーーー!」
「お前、何ひとりでパニクってんだよ。もっとしゃんとしろ、しゃんと。」
「っ・・・」

「ま、二人のことは二人で話してくれ。俺は消えるよ。じゃな。」
「貴様、ここまで掻き回しておいて・・・そこで消えるか?」
「・・・」
「ん?俺がいると話が進むのか?俺は化学反応に於ける触媒だったのか?」
「ごろごろ」
「あ、今度のは猫ですよね?」
「そう、猫。」
「わ。当たった☆」
「にゃ〜」
「・・・じゃ、今のはどっちだ?」
「えーと・・・・・・また猫?」
「外れ。今度は俺。」
「えー・・・全然わからなかった。。。」
「まあ、俺みたいな奴も少ないだろうから気にしなくていいよ。」
「そう・・・ですか。」
「ん?どしたの?」
「あ、いえ。ヒロシさんって猫すきなんですね、ホントに。」
「まあね。それだけが取り柄みたいな奴だしな。ははは。」
「ははは、じゃねー!それに、取り柄でもねー!」
「あれ?タカシじゃないか。いつからそこに?」
「いい加減にしろ。。。」
「にゃ〜」
「・・・今のは、俺じゃないぞ。」
「にゃ〜」
「猫・・・あれ?猫は?」
「あ、ホントだ。いないな・・・ぉわっ!」
「何?」
「あっ」

「こん・・・ばんは。」
「千紗ちゃん・・・じゃなくて、」
「『にゃあにゃあ星人1号さん』兼・・・」
「ごろごろ」
「い、いつからそこに?」
「今。。。」
「こんなとこで何やって・・・いや、猫を抱いてるのは見ればわかるけど、どうしてただのちきうじんな俺達に声を?」
「もしかして、『にゃあにゃあ星人1号さん』も・・・?」
「うん。。。」
「千紗、も、か。。。一体どうして?」
「あのね、あたし・・・」

「なるほどねぇ。そんなことがあったんだ、千紗ちゃん。。。」
「なあ、冷え込んできたしさ、場所変えないか?」
「そだな・・・キミら、どう?時間だいじょぶ?」
「うん、あたしはいいよ。」
「私も。」
「じゃ・・・俺の部屋にでも行こう、近いし。」
「にゃ〜」
「あ、お前さんとはここでお別れな。ばいばい。」
「にゃ〜」
「そう言うなって。な。また来るから。今日はゴメンな。」
「にゃ・・・」
「ありがと。じゃな、風邪引くなよ。」
「にゃ。」

「・・・お前、猫語分かるのか?」
「えっ?お前、分からないのか?」



act xi - 同日、ヒロシの部屋


「酔った。眠い。おやすみぃ。」
(ばた)
「何だこいつ。おい、勝手に寝るな。客に茶くらい出せ!」
(ぐうぐう)
「・・・もう寝ちゃったね。ヒロシさん、寝るのの達人?」
「昔からこうにゃ。。。」
「あれっ?そういや千紗ちゃん、もう『にゃあにゃあ星人1号さん』じゃないのに、何で?」
「にゃ・・・これは関係ないみたい。」
「そうなの?でも、私は『だよ』とか『もん』って言わなかったから・・・」
「にゃ・・・それは、表面のことらしいにゃ。」
「うーん、難しいな。どういうことなんだ?」
(ぐうぐうぐう)
「・・・鼻にピーナツでも詰めたろか、コイツ。」
「そんなことじゃ起きないにゃ。。。」
「そ、そうなのか。。。えっと、それで、どういうことなの?」
「うん、私も知りたい。」
「あのね、そもそも、なんとか星人っていうのは、・・・が・・・ってると・・・んだって。それで、なんとか星人になってる人が、・・・ると、・・・に・・・って、ただのちきうじんに戻っちゃうんだって。」
「・・・へぇ。。。ホントかね?」
「それ、意外だよね。普通そんなこと絶対気付かないと思う。」
「うん。あたしもすごいびっくりしたにゃ。」
「でもさあ、そんなこと、千紗ちゃんどうして知ったの?」
「それは・・・」
(ぐうぐうぐうぐう)
「・・・耳に冷たい水注いだろか、コイツ。」
「それもダメにゃ。」
「千紗、もしかして、やってみたことあるの?」
「もちろんやったにゃ。でも起きなかったにゃ。」
「ある意味、すげえなそれ。で、何だっけ?えっと、」
「どうしてわかったの?」
「うん、あのね、あたしがただのちきうじんに戻った時の話はさっきしたにゃん?その時、・・・が・・・って・・・ったにょ。それで、もしかしたら・・・を・・・ってるのが・・・んじゃないか、って思ったにゃ。だから、・・・の・・・に、・・・を・・・ってみたんだけど、そしたら・・・が・・・って、それでわかったにゃ。驚いたにゃ。」
「・・・しばし絶句、だな。。。」
「ホント。絶句。。。」
(ぐうすぴーすぴーーすぴぃーーー)
「・・・脳天に包丁突き立てたろか、コイツ。」
「それもダメにゃ。」
「え・・・ま、まさか、千紗ちゃん、それも試したとか?」
「何言ってんのよタカシ、そんなわけないでしょう!」
「脳天に包丁突き立てたら死んじゃうにゃ。そしたら、もう起きられないにゃ。・・・タカシ君、ちょっとヒロシに似てるにゃ。。。」
「し、しまった、俺としたことが。。。」
「いつもそんな感じのくせに。」
「・・・二人、もう仲よしにゃん。」
「え」
「あ」
(すぴぃーーーすぴぃーーーーーーすぴぃーーーーーーーーーーーーっ)
「・・・コイツ、実は起きてんじゃねーのか?」
「かも。。。」
「ううん、それは絶対ないにゃ。熟睡してるにゃ。」
「そ、そうか。。。」
「と、ところで、千紗はどうなのよ?ヒロシさんと、また・・・」
「それはまだわかんないにゃ。あたしひとりで決められないから。。。」
「でも、千紗ちゃんとしては・・・どうなの?」
「えっと・・・ホントは、・・・てから・・・に・・・るのがいいと思うんだけど、でも、・・・は・・・から、それがどうなのかがはっきりしないと。。。・・・てみても・・・だと思うにゃ。。。」
「まあ確かにな。そうかもしれない。けどさ、ヒロシはさっき俺と話してる時・・・」
「あーっ、そうだ。ねぇタカシ!」
「は、はいっ?」
「にゃはは。タカシ君、実は尻に敷かれるタイプかにゃ?」
「ちょっと千紗、変なこと言わないでよ・・・ね、タカシ、さっきヒロシさんと話してた時、私のこと何て言ってたの?」
(むにゃむにゃむにゃうーん)
「こら、てめっ、突然起きそうになるんじゃねー!」
「タカシ君、大声出すと起きちゃうかもしれないにゃ。」
「そ、そうだな。。。」
「で、私のこと何て言ってたの?」
「ええと、それは・・・」
「また『それはヒミツでぃす』とか言って誤魔化すのは無しだよ。」
「・・・ぐ」
「厳しいにゃーん。タカシ君、ぴんち。」
「何て言ってたのぉ〜〜〜?」
「そっそれより、ほら、千紗ちゃんのこと、さっき俺がヒロシと・・・」
「ご・ま・か・さ・な・い・の!」
「ちが・・・だって、そもそも話の本筋はそっちで、俺がお前のこと何て言ったかってのの方が脇道じゃんかよ、お前が割り込んできて・・・」
「・・・苦し紛れにうまいこと言うわね。。。」
「タカシ君、ぴんち脱出☆」
「ねえ千紗ちゃん・・・もしかして、楽しんでない?」
「にゃ?楽しいにゃ。あたし、楽しいの好きにゃん☆」
「そう開き直られても・・・」
「千紗って昔からこうよ。ね。」
「うん♪」
「・・・俺、今一瞬だけヒロシを尊敬しそうになったかも。。。」
「あ、ひどい。友達なんでしょ?」
「友達っつーかなー、どっちかっつーと腐れ縁って気が。」
「まあいいわ。じゃあ、ヒロシさんは千紗のこと何て言ってたの?まずそれから。」
(うーん・・・むく)
「・・・おはよう。」
「・・・」
「・・・」
「あ、ヒロシ起きたにゃ。」
「あれ?みんな何やってんの、こんなところで・・・ここ俺の部屋?だよな?」
「・・・」
「・・・」
「うん、ヒロシの部屋にゃ。」
「ぉわっ!・・・・・・千紗っ?何でここに・・・?」
「・・・」
「・・・お前、一遍死ね。」
「ヒロシ、いつもこうにゃ。」
「・・・私、今一瞬だけ千紗を尊敬しそうになったかも。。。」
「河原崎、お前も相当ひどいぞ。」
「・・・何かよく分かんないけど・・・どしたの、みんな揃って。」
「ヒロシが『俺の部屋にでも行こう、近いし。』って言ったにゃ。公園で。」
「そう・・・だっけ?でも・・・何で千紗がここにいんの?」
「もう『にゃあにゃあ星人』じゃなくなったにゃ。」
「えっ?・・・そう、なのか?でも・・・あれ?えっと・・・・・・ん?」
「・・・お前、頼むからまた寝ててくれ。」
「えー、面白いよぉ、ヒロシさん。」
「寝てていいにゃ。」
「・・・ん???何かよく分からんけど・・・そう?じゃ、おやすみぃ。」
(ばた)
「おい、寝るなよっ!」
(ぐうぐうぐう)

「・・・何だったんだ今のは一体?」
「深く考えない方がいいにゃ。これがヒロシにゃ。」
「やっぱり、達人?」
「そうにゃ。」
「・・・私、前言撤回する。千紗をホントにホントに尊敬する。」
「それより、俺が今夜受けた衝撃はどうしてくれるんだよ。。。」
(ぐうぐうぐうぐう)



act xii - 一ヶ月後、とある街角


「おぅい、『ダメダメ星人4649号さ〜ん』!」
「バカ、恥ずかしい名前で呼ぶなよ。俺はもうただのちきうじんだ。」
「えっ?何で?」
「っていうか、お前まだ『ゲヒャゲヒャ星人』やってんのかよ?」
「うん・・・そうだけど。。。」
「バッカじゃねぇの?今どきそんなことやってる奴なんて化石だぜ、化石。」
「え?そうなの?でも何で急に・・・」
「・・・これだからなんとか星人は困るんだよなぁ。正に化石じゃん。」
「で、でも、お前だって先月会った時は・・・」
「ったく、いつの話してんだよ?先月?いい加減にしてくれ、俺は忙しいんだ。」
「だけど・・・だって・・・・・・」
「あーあー、付き合い切れねぇよ。じゃあな!」
「あっ、ちょっと待ってよ、おい、おーい・・・」
(ひゅるるるr・・・)



act xiii - ヒロシの部屋


「『・・・というわけで、その後タカシと河原崎さん、ヒロシと千紗ちゃんは末長く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし』っと。」
「ヒロシ、何してるの?」
「あ、河原崎。丁度いいや。コレ読んでみてくんない?」
「ん?なぁに?」
「今書き上げた笑い話。お前も出てくるぞ。」
「え、あたしも?」
「うん。俺とお前とタカシと千紗ちゃんが出てくる。性格そのまんまで・・・や、あとは読んでからな。」
「うん。。。」

「どうだった?」
「ねぇ・・・これ、タカシさんとヒロシが立場逆じゃ・・・」
「ん?ああ、そう。俺とタカシなんて半分コンパチみたいなもんぢゃん?んで、いたづらして組み合わせを入れ替えてみた。」
「そうなの・・・何かよくわからない設定だけど・・・」
「謎すぎ?暴走しすぎ?」
「ううん、それもあるけど、そうじゃなくて・・・」
「何だよ。はっきり言ってくれ。」
「・・・何か、私とヒロシとか千紗とタカシさん、っていうのよりも、このお話の組み合わせの方がしっくりはまってる気がする。うまく行きそう、っていう感じ。。。」
「えっ・・・」

(終)


Rj's Chaotic Page
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mailto:rj-taka@jeton.or.jp
antithesis