講義中にあった質問とそれに対する回答 [09/06/12]
Q1. 化学反応を量子化学計算で解析するには、遷移状態の構造最適化が必要であることは分かりました。また、遷移状態構造最適化では、初期構造の取り方が肝になることも理解しています。しかし、初期構造の選び方は、思ったより難しく感じました。遷移状態構造最適化で、いつも計算が上手くいくような便利な初期構造選定方法は無いのでしょうか?
A1. はい。そのような願望は計算化学ユーザーなら誰しもが持つものです。しかしながら、残念なことに、遷移状態構造最適化には、「いつも絶対これで上手くいく!」という初期構造の選択方法は今のところありません。今、量子化学計算分野(特に反応量子化学)の最先端では、様々な物質の化学反応をデータベース化しておき,既知の反応、および対応する遷移構造を基にして、遷移状態最適化を行い易くするという試みがなされています。
講義中にあった質問とそれに対する回答 [09/06/05]
Q1. インプットキーワードの geom=connectivity とは何ですか?
A1. インプットデータとして入力した xyz 座標は、単に、分子内の原子座標を入力したものです。もちろん、xyz 座標だけで計算を進めることは可能なのですが、我々化学者は「結合次数」という概念を知っています。構造最適化等を行う際、xyz 座標に加え,結合次数、たとえば「8番目の原子と10番目の原子は二重結合している」などの追加情報を与えることにより、計算の収束を早めるためにつかうキーワードが geom=connectivity です。つまり、Gaussian03 の入力内にある xyz 座標後のデータは、(授業では説明を割愛しましたが)結合次数のデータが入っているわけです。もし、もっと詳しく情報を知りたい場合は、http://www.hpc.co.jp/hit/solution/gaussian_help/k_geom.htm が参考になるでしょう。
講義中にあった質問とそれに対する回答 [09/05/22]
Q1. エネルギー二次微分計算が振動数計算に対応することは分かりましたが,振動モードの虚数解をもつとなぜ遷移状態なのでしょうか?
A1. ハンドアウト資料 p.51 の図を見て下さい。二次微分が負の値を与える場合は、エネルギー勾配(PES の傾き)が減少していくことを意味するため、右図の様な PES が得られています。つまり、エネルギー極大値を与える分子構造が得られている訳です。化学反応を理解するときのエネルギープロファイルを思い出してみて下さい。化学反応とは、ある安定状態の分子が衝突して、遷移状態を経た後、新しい安定状態へと至る過程です。安定状態を結びつける遷移状態は,「エネルギー極大点」になっているのです。ちなみに、振動数解析の結果、複数の虚数振動解が得られることがありますが、その場合、その構造は遷移状態にあるとは言いません。遷移状態とは、「ただ一つの虚数振動解を与える状態」を言います。
講義中にあった質問とそれに対する回答 [09/05/15]
計算化学特論/量子化学【2009.05.14】
Q1. GaussView の環状分子構造テンプレートを使うとシクロプロペンのような環状分子を簡単に作ることがきることは理解できたのですが,プロペン部分の二重結合が単結合のように表示されてしまいます。どうしたら良いのでしょうか?
A1. GaussView で Gaussian03 の入力構造を作る際、画面上に現れる化学結合次数は、必ずしも正しく表示されているとは限りません。ただし、これは単に GaussView 上での表示の問題であり、生成される Gaussian03 インプットファイル(*.gjf) には影響を与えないので、それほど気にする必要は無いでしょう。もし,二重結合部分を正しく表示させたければ,結合長変更ツールを使って結合長を指定する際、メニューから結合種類を選択できます。なお、アウトプットファイルを GaussView 上で可視化した場合には、大抵の場合正しく結合次数が認識されます。
Q2. 参考書を読んで Gaussian03 の勉強を少ししてみました。参考書では、Gaussian03 のインプットファイルは *.inp のように,拡張子は inp であると説明されていました。そこで qg03 コマンドを使い qg03 *.inp のようにして計算を実行しようと試みたのですが、正しく計算が流れません。これは一体何故でしょうか?
A2. はい。実は一般的には Gaussian03 の入力ファイルでは,*.inp, *.gjf, *.com など複数種類の拡張子がサポートされています。本講義では授業時間の都合上、Linux に余り慣れていない人でも比較的簡便に Gaussian03 を使った量子化学計算を体験してもらえるよう、サポートプログラムとして qg03 コマンドを準備しています。実は,計算が *.gjf でしか上手くいかなかったのは、この qg03 コマンドが *.gjf 拡張しだけに対応するように作られたものであるからです。本講義では *.gjf 拡張子を使うようにしましょう。
講義中にあった質問とそれに対する回答 [09/04/24]
今日の講義で使ったハンドアウトは、先週(第一回講義)分と重複していたので、ハンドアウトの確認をしたい人は、下から第一回分資料をダウンロードして下さい。
Q1. qg03 コマンドで Gaussian03 のジョブを投入することができません。
A1. Gaussian のインプットファイル(*.gjf)の名前が「数字」で始まっていないかチェックして下さい。全ての計算環境で数字から始まるファイル名を受け付けてくれない訳ではないのですが、本講義で使用している Linux マシン環境では、インプットファイル名は「半角英語」で始める必要があります。
Q2. qg03 コマンドでジョブを投入したつもりなんですが、less コマンドで log ファイルを確認すると、%chk の部分まで出力されたのち、異常終了していました。
A2. チェックポイントファイルの名前(と場所)の指定ミスです。Windows 版 GaussView を使って Gaussian03 の gjf ファイル(インプット)を作成すると、%chk=*.chk の * 部分に,Windows のフォルダ情報まで含まれて gjf が作成されています。本講義では、チェックポイントファイルは、*.gjf ファイルと同じ場所に作るため、%chk=*.chk とします。例えば、benzene.gjf の中身の第一行目は、%chk=benzene.chk とします。
Q3. grep コマンドで必要情報を抽出して表示させたいんですが、大文字と小文字の区別はありますか?
A3. はい。あります。例えば、Gaussian03 で Hartree-Fock 計算を実行した際、繰り返し計算(SCF; Self Consistent Field 計算と言います)が収束すると、SCF Done という文字列と共に、Hartree-Fock 法により見積もられた分子系の全エネルギーが出力されます。この部分だけを log ファイルから抽出表示させたい場合、
grep "SCF Done" benzene.log
のようにコマンドを打てば Hartree-Fock エネルギーが表示されるのですが、"SCF Done" 部分を "scf done" や "SCF done" のようにすると、大文字と小文字が区別されているため、検索に引っかかってくれません。大文字・小文字の区別なく検索・抽出を行うには、grep -i "scf done" benzene.log のように -i オプションを付けると良いでしょう。
計算化学特論/量子化学_2009【2009.04.17】
講義中にあった質問とそれに対する回答 [09/04/17]
Q1. GaussView を使って作った Gaussian インプットを保存するとき、ファイル名に日本語は使っても大丈夫ですか?
A1. 一般に日本語の使用は Linux <--> Win 間でファイルをやり取りして計算をすすめる際にトラブルの原因となりがちです。フォルダ(ディレクトリ)名を含め、ファイル名は半角英数字を使って定義する事を推奨します。
Q2. コンピューターの説明で、CPU と一緒に Core っていう知らない概念が出てきたんですけれど…。
A2. Core とは CPU の中にある、演算装置のことだと考えて下さい。従来は、1つの CPU に対して1つの Core しか存在しないという仕様がメインでしたが、近年開発されている CPU パッケージは、1つの CPU 内に複数の Core をもつものがあります。例えば、本講義で使う Linux Cluster 計算機システムは、下に記すような CPU/Core をもっています。Cluster 計算機システム全体として 32 Core、つまり 32 個の頭脳をもった計算機になっています。(参考のため、メモリの情報も一緒に載せました。)
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本講義で使う Linux Cluster ★

- Glu(Quad-Core AMD Opteron; 4CPU 16Core/128GB Mem)
- Glu01(Quad-Core AMD Opteron; 2CPU 8Core/32GB Mem)
- Glu02(Quad-Core AMD Opteron; 2CPU 8Core/32GB Mem)