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[0010]  Danielle Brisebois(ダニエル・ブリスボア)「arrive all over you」(America)
もっとくわしくはこちらのページを参照するべし。

この人のことになると、もう、目がハートマークになって、心臓もハートマーク型にどーんと飛び出して平静でいられなくなるので、ほんとは何にも書けません。「好きです。」...でもきっかけがあったのでこれを機会に挑戦してみましょう。1990年代半ば頃。世は女性歌手、シンガーソングライター大はやりで、CD店の試聴機にはそういう人のCDがあふれておりました。職場で流れていた曲を気にいって、調べて買うといったことはほとんどないのですが、トリーネ・レインというスウェーデンの女性歌手の歌う「Just missed a train」という曲がすごく耳に残って、買おう買おうと思いながら、忘れてました。しばらくしてある日ロックの売り場を何げなく見ていたら「あのJust missed a trainのオリジナル・ヴァージョン収録」と帶解説にかいてあるCDを発見。これがこのアルバムとの出会いでした。簡単にプロフィールを。N.Y出身。幼い時から子役としてTV、映画に出演。向こうの人にしたら、「あーこの娘あのドラマの子役の娘か!」って感じなのでしょう(出演作などはamazon.comなどで調べてみてください。僕はnet上で買える彼女の出演作は全部買いました)。で、1994年この1stアルバムをリリース。僕が最初に買ったこの日本盤には中川五郎氏によるこれまた「ラブレター」のような思い入れたっぷりの解説が付いていました。それによると、この「Just missed a train」は自分で最初にレコーディングしようと思っていたのに、音楽出版社の手違いでトリーネ・レインの目に止まり、先にリリースされてしまったということ。そしてこのトリーネ・ヴァージョンが世界中で大ヒット。作った本人があとでリリースするはめになっちゃったということでした。なんてこと...。これぞ「Just missed a train」、という感じの笑えないエピソード。そして1994年この1stアルバムをリリース。この曲はもう、世界最高峰の「Broken hearted song」。激名バラードです。この曲はトリーネ風のカヴァーが年に1回ぐらい誰かにされていまね。で、1998か'99年にびっくり事件が。職場でリリースされたばかりのUAのライブビデオが視聴機に入っていて、たまたまヘッドホンがこわれていないかチェックしていたらなんと、この曲を歌ってるじゃーありませんか!しかも、みんながよくやるトリーネのヴァージョンではなく、このオリジナルそっくりに!こりゃまいった。少し泣きました。このあとUA好きの若いやつにこの話をすると、前に「この曲のオリジナルを作った人が大好きだ」と、UAが何かのインタビューでいってたらしい。いやーこれは嬉しかったなぁ。UAあなどれん。UAはこの「アメトラ」ツアーの間中、ずっとこの曲を最後の1曲にしていたみたいで、なかなかやりよる。幾多あるほかのカヴァーはトリーネ風のミディアム・テンポのダンス・トラック・ヴァージョンなのですが、オリジナルはピアノ+パッド・シンセ音+タンバリン+多重コーラスという極めてシンプルな編成。歌唱力が問われます。ダニエルさんのを知っていると、UAのはちょっと高いところが苦しい。でも十分すごい。この曲にここまでいれこんでいるというだけでもう、素晴らしい。このライブはNHKの地上波でもビデオと別の日の映像が放送されたので見た方もいるかもしれません。最後のあの曲です。いやーいい話だなぁ。ダニエルさんの待望の2ndアルバムは、ほんとは1999年の終わりごろにでるはずだったのですが、2000年10月現在で2001年に延びています。2001年か...。宇宙の旅ですなぁ。もうプレスできる状態にあるらしく、HPもあります。ここです。僕は毎日チェックしています。なんとこの「Just missed a train」の新録ヴァージョンが入ってるみたい。話戻って、この1stアルバムの素晴らしさについて。...というところでしばらく思考がフリーズ。「どうしたんだ、マロイ(僕の秘書を務めるアンドロイド)」「解析できません。その感情に値する言葉は登録されている136言語体系のどこにも見当たりません。代替ワードリストを出力しますか?」「たのむよ」「では最初の100件です。エキセントリック、素晴らしい、げっさしぶい、唯一無二、ファナティック、ちょー激マブ、ニンフォメイニアック、卓越した繊細な歌唱力、少女から娼婦への一瞬の変貌、ロックン・ローラー、泣かしよる...」「もういいよ、しかし大阪弁とコギャル用語まで対応してたのはすごいが、ソートがむちゃくちゃだなぁ。修理しなくちゃ。じゃあ近似固有名詞を」「はい。ケイト・ブッシュ、戸川順、ローラ・ニーロ、チャラ、吉田美奈子、ケイティ・ガートサイト...」「それ誰?」「デイジー・チェインソーのヴォーカリストです」「ああ、君はよくそこまで覚えてるなぁ。いつ登録してた?」「1997年6月にシングル、ラブ・ユア・マネーを聴きかえしてます。その時の感情振幅グラフを見ますか?」「もういい、下がりなさい。」「はい」(近未来SFに挑戦)というわけで有能な彼にも適当な単語を見つけることはムリみたい。(2000/10/07)

なんだかよくわからないままタイムアップにつきつづく。これで、1/3ぐらい)


[0009]  Y.G. family (korea)
スカパーのgreat country koreaの音楽専門ch(737)「m-net」の「スター・アルバム」というあるアーチストにスポットをあてて紹介する番組で、元ソテジワアイドゥルのヤン・ヒョンソク氏の率いる「Y.G. family」が紹介されていました。HIP HOPにとりつかれたアーチストが集まった、すごい集団です。ヒョンソク氏、Jinusean(ジヌション)、1-TYM(ワンタイム)、Perry、Lexyからなるこのファミリーの関連の音楽や映像作品は、すごいかっこいいと前から思っていたのですが、ヒョンソク氏のインタビューによるとやはり、「他のプロデューサーからバカかといわれるほど」普通の何倍ものお金と暇をかけているとか。やっぱりなぁ。アメリカのものにひけをとらない「高級感」を保ちたい、という言葉が印象に残りました。「まだまだ本場の人たちにはかなわないけど」とおっしゃってましたが、日本のいちファンから言わせていただくと「勝ってますよ」。僕はことさらHIP HOPをばりばり聴くわけではありませんが、アメリカ、日本のHIP HOPシーンの今のレベルはわかるつもりです。特にひどいとも思いません。でもねぇソテジワアイドゥル解散後ソロを経て、パ不・駄ディー(辞書が最初こう変換したので直そうかと思ったが、あまりにぴったりなのであえてそのままにしましょう。ははは)みたいなプロデュース業をしたいと思って始められたというあなたのファミリーの作品は、どう考えても彼のよりカッコイイぞ。「日本のHIP HOPシーンよりは良いと思う」という言葉も、まったくその通り。まず、あなた達にはHIP HOPによって伝えたいメッセージがちゃんとある。僕はぜんぜんハングルはわからないけど、ビデオ・クリップを見ただけでもわかる。歌詞が検閲されるという状況と戦いながらも、僕みたいなファンにも伝わってる。

はいはい、久しぶりに×をいちおう付けますよ。性格のいい人はこの下の黄色のとこは読まないで下さいね。

×ぱふとかじぶらとか、なにがいいたいねん。なにを「いってんとっぱ」すんねん。ああいう人たちは「ねぇ、俺ってビッグ?」という洒落にもならないレベルのメッセージしかない。メッセージじゃなくて「自己顕示欲」かな。それを茶化してたアラジンのほうがまだまし。そりゃ、貧しくて本当にHIP HOPによってのしあがった貧民街の黒人ヒップホッパーが、心底いう「俺ってビッグだろう」は、わかる。ぐっとくるし、カッコイイけど、そのスタイルをただ「不良のふりしてるぼんぼん」がまねしてやってもねぇ。こどもだまし。MCハマーと同じ。

「HIP HOP」が「パンク」と同じようにただの音楽のジャンルをあらわす名詞でなく「生きざま」とあらわす動詞だとして、やっぱりY.G. familyの人たちはHIP HOPしてる。その上でちゃんと「大衆に受け入れられたい」という目標も達成しているのだから、すごいです。尊敬してます。僕はもう、英語のHIP HOPがだるく聴こえるようにまでなってしまった。たまたまハングルがHIP HOPのフォーマットにぴったりくるものだったのだろうが、それにしてもカッコイイ。とりあえずHIP HOPファンの方は韓国のものを聴かないとソンするぞ。ほんとにすごいから。(2000/10/07)


[0008]  H.O.T. 「5集」にむけて (korea)

あなたは今まで、自分の想像を超えたものすごいものに出会って、自分の持っていた既成概念をぶち壊されたことがありますね。例えば初めてハードロックを聴いたとき。例えば初めてパンクのギグに行ったとき。例えば初めてヒップホップを聴いたとき。例えば初めて本物のゴズペルを聴いたとき。例えば初めてテクノのレイブに巻き込まれたとき...。ものすごいものに触れて、それに巻き込まれる。頭を占領される。そしてその刺激がなければやっていけなくなってしまう。こういう対象に出会うために僕たちはCD店にいく。そういうものに出会って翻弄されたい。「こりゃーすげぇ」と叫んでみたい。そして誰にもそういう対象は突然現れる。なにげなく聴いた1フレーズ。それが頭にスパークする瞬間。彼らに衝撃を受けたのは、ちょうど心の中にぽっかり空いていた部分があったからかも知れない。ずっと気になっていたこと。「ほかがつまらなさすぎるのか?」。僕の大好きなパンク...もうみんな死んでしまった。僕の大好きなニューウェイブ...みんな「変化の連続線」という概念に飲み込まれてしまった。僕の大好きなブリティッシュ・フォーク・ロック(別名ネオアコ)...天才たちはたもとを分かち、残りかすのような凡才ばかりがのさばり続けている。僕の大好きな香港ポップス...みんなバラードかユーロビートばかりを繰り返し、世代交代さえ行われない。「スター不在」。この手垢にまみれた言葉は悪い冗談のように実は僕たちのまわりをゆっくり固めていたのだ。「熱狂」「興奮」「絶叫」したい。何に?この時期僕はずっとMacをいじっていたように思う。音楽を聴くことによる刺激のレベルはほとんどエンプティーかつかつにピクピク振り切れていた。そして僕は「年のせい」「自分が音楽を受け入れる許容量を超えた。」「折り返し地点にきた」などと理屈をこね続け、メーターが壊れたのだ、とさえ思い始めていたのである。そんな僕の前に現れたアイドル。韓国の男子5人組。明るいかわいい服を来て、「愛してる」とシャウトする「ヘンボック(Full of happines=幸福)」のミュージック・クリップ。その楽曲の素晴らしさ、歌のうまさに、まずはスパーク。女の子が感情移入して、「熱狂」「興奮」「絶叫」するために設計された芸能のかたち。そんなフォーマットで作られたものなのに。まさに「なんじゃーこりゃー」である。その時はそれがまだ自分でもはっきり分析できなかったのだが、今ならはっきりと言える。「レベルが高い」からだと。曲の完成度。歌のうまさ。それだけでも僕を興奮させるのに十分だった。そしてそのあと、この人たちがもっとんでもない人たちだと気づくことになる。手に入れた1stと2ndはもう、期待を上回るすごいアルバムだった。たとえば2ndの1曲め、「We are the Future」。なんとサンプリング音源リストには「Bass Patrol」の文字が。そのリズムトラックに乗り、途中のブレイクのところで引用されるのは、あのクラフトワークの「ツール・ド・フランス」!!もちろんこの時は全世界的にこの曲の入ったレコードは廃盤中。1999年にやっと再発されるまではみんなが血眼になって捜していたもの。なんということでしょう!そして僕がファンになってから新譜として出た3集。その1曲めの「ピッ(Hope=希望)」。バロック風のとてつもなく美しいピアノの和声。そしてマイルドだが身体を揺らせるに充分なヒップ・ホップ・ビート。ファンキーにうねりながら「もうひとつのメロディー」を歌うベースライン。シャープなカッティング・ギター。それに抜群の歌唱力のソウル・ヴォーカル+「英語よりもばっちりきまる」ハングルのラップ。それだけで、もう充分なのに最後に「コード進行が似ていたため」たまたま引用されたあの世紀の名曲ベートーベンの「喜びの歌」のフレーズが、この上なく「聖なる」音空間を作り出している。踊れるのに泣ける。そんな、けだし名曲。こんな曲は、どんなに才能のある作曲家にもめったに作れるものではない。ベートーベンはH.O.T.に引用されるためにこの曲を作ったのだ、と僕はマジで信じている。ベートーベンさん、ありがとう。あなたのおかげでH.O.T.の曲がとてもいい感じになりました。この曲を聴いたとき、「あー、いい曲もらったなぁ。」と思ったのだが、これはなんとヴォーカリストのカンタ君の作曲なのだ。このような作品を、「かっこよくて、踊りがうまくて女の子がきゃーきゃー言うために作られたアイドルグループ」というフォーマットの中でポンと発表しているところが、ものすごいのだ。そして1999年の終わりにリリースした4集。これで僕はもう完全にノックアウトされた。スパークどころの話ではない。棍棒で頭をぶん殴られたようなショック。特にアルバム表題曲の「I-Yah!」はもう、この1曲が1つの事件である。モーツァルトの有名交響曲のサンプリング(コンサートではフルオーケストラが用意される)フレーズにデフ・ジャム真っ青のヒップ・ホップ・リズム。オーケストラに重なるヘヴィー・メタル・ギター。そして絶叫。ツェッペリンばりのギター・リフ。ビーチ・ボーイズなみにハモるコーラス(これは5人全員が歌がうまいからできる)。そして絶妙なタイミングで入るばりばりのラップ。とてつもない歌唱力のソウル・ヴォーカル。このような特徴だけを列記すると、なにか「あー、そういうアイデアものね」と受け取られるかも知れないのだが、言っておく。すべてのレベルがそれぞれの1級レベルを超えているのだと。サイプレス・ヒルならもっと努力すればこういう曲を作れるかも知れない、というぐらいのレベル。そして、音楽とは全く関係ない「ルックス」についてもそれだけで好きな人もいっぱいいるであろうハイレベル。かっこいい。踊りもものすごくうまい。振り付けもメンバーがやる。これだけ書いてもまだまだはがゆい。なにか忘れている。いくら書いても虚しい。息苦しい。すごいものについては、すごい。としか言えないのか。すごい、を何千と重ねて書こうか?やはり彼らについてはなにも説明できない。そういう種類の天才アーチスト集団です。もうすぐ5集発売。メンバー全員が何曲かづつ作曲して全曲自分たちで作曲しているらしい(←「ケアレス・ウイスパー」のサンプリング曲があるという情報が!くううーっ!)。また日本に届いたら、レビューを書きましょう。(今日の1曲で書いたH.O.T.の曲についての文章はここ)(2000/10/03)


[0007]  Faye Wong(フェイ・ウォン)「夢遊(胡思乳想)」 (Hong Kong/China)
アイドル歌手(このころはまだそういう場所にいた)にあるまじき、活字をあしらった写真なしのジャケットで、いかにアーチストとしてステップアップしたかを示す1枚(このへんのデザインもジャン・ラムでしょうか)。特にこのアルバムはUKギター・ポップ色が強い。あの「恋する惑星」のサントラで大ヒットしたクランベリーズのカヴァー「夢中人」もだが(初出はたしかこのアルバム)、コクトー・ツインズのアルバム「Four calendar cafe」からのカヴァーも2曲。これがまた良い。なんともあの4ADレーベルの雰囲気にフェイの歌声がぴったしである。あとで香港へ行ったとき、このコクトー・ツインズのアルバムのジャケに「フェイ・ウォンの歌った曲がこれに入っています」というシールがはってあったのを見つけて買ったのですが、エリザベス・フレイザー(この人も歌めっちゃうまい)のほうがおとなしくきこえてしまった。このカヴァーがきっかけで、コクトーズは次のアルバムへの参加を依頼。「Milk&Honey」というアルバムに1曲参加(しかし、UK盤の初回だけもう手に入りにくいのでごめんなさい)。この曲で、もうはっきりリズさんより歌うまいことを証明。同じフレーズを順番に歌うのだが、これはもうだれが聴いてもそう思ってしまうのをわかっていて、それでもあえて共演したリズさんが偉いと思います。その後もフェイのアルバムに曲を書き下ろしたり。フェイにカヴァーされたことが、とても嬉しかったのでしょうね。たぶん「この子、なかなかやるわね」って感じで。良い話だなぁ。そしてそういった数々の名曲の中でも1番好きなのが日本盤タイトルにもなったオリジナル曲の「夢遊」。_____なんと書こうかここで3分ほど言葉を探したのですが、思いつきませんでした。無理矢理言うと「広東語の、ばりばり良質なネオアコ・ギターポップ曲。(という言葉でもたとえきれてませんが)。」ほんとに良い曲。そういえば結婚パーティーした時に僕と友達たちのバンドが演奏して、うちの奥さんがこの曲を歌いました。広東語をカタカナに直して歌詞カード作って(たいへんだったなぁ)。そういう思い出の曲でもあります。もうすぐ新譜が出ます(今のところ10月20日に香港盤が輸入される予定)。でも、前にも日記の「今日の1曲」のドゥ・ウェイさんのとこにも書いたとおり、もう彼とのコラボレーションではなくなっているので、ちょっとまぁ、ふつうに楽しみ(←むずかしいニュアンス。)フェイさんについては、また書き足すつもり。(2000/09/26)

[0006]  Plastilina Mosh / Juan Manuel(Mexico)
なんかオヤジの昔話のようなのが多いので、新しいのをひとつ。これはVirgin Mexicoよりメキシコのグループ「プラスティリーナ・モッシュ」の2nd。1stの時からビースティーとかのプロデューサーが手がけているメキシコの変なやつら。ロック・バンドとかラテンとかいう形容がむなしくなるような多彩な、そして非常にひねくれた音楽性をもった人たち。1曲め。ピアノの和音メロが非常に美しい音響系(ていったいなんなんでしょうね)っぽいロック・インスト曲なんですが、ちょっとまって。なにこのへたなドラム。フィルインではしるはもたるはえらいこと下手です。なんか打ち込みのユニットちゃうかったん?硬派やったやんもっと。いや、しかしVirgin Mexicoの人大丈夫ですか?僕がかわりにたたきましょか?というぐらい下手なドラムが、しかしめちゃめちゃカッコイイ!頭から離れません。シャッグスとか昔の少年ナイフとかみたいな魅力。いやー久しぶりに「いい下手」聴かしてもらいました。でも、それはこいつらのほんの1面で、ほかは全部別のジャンルといっていいほどの「持ちネタ満載」の名盤。「めっさファンキーなベースライン」のドファンク・ディスコからzappばりのトーキング・モジュレーターで歌いまくる曲まで、ぜーんぶ僕のツボにはまって、聴く度に「ぎゃははは」と心の底から大笑いしてしまいます。フランク・ザッパさまが「Does humor belongs in music?」というコンセプトのライブをやってらっしゃいましたが、これぞその精神をかたちに出来たものではないでしょうか。1曲ディスコ曲がヒットしている(これをヒットさせようとしている)みたい。その曲ラジオとかで聴いてアルバム買って、1曲目があれやったらやっぱりめっちゃ面白い。ちなみに先行発売された日本盤はボーナス・トラック3曲つき。海外盤のほうは、中のいろんな種類のジャケサイズのカードがランダムに表に見えているので、ぱっと見、何種類もでているように見えますが、内容は一緒のものです(店員)。まるでビースティーが生ドラムをたたきだしたころのあの感じで。もっと混屯としていて、バカっぽいけど実はとても賢い。あえて使うが、とても音楽知能指数の高い「インテリ不良」。音楽をなめてるんじゃなくて、本気でバカにしている。かっこいーのぅ。マニー・マークも参加。

おーっ初めて出ました×マーク、毒をはいておりますので、性格のいい人は読まないで下さい。
読んでからおこらないで下さい。「本当の私を知っても、嫌いにならないでね。(二宮繭)」

×こういう色んなことをやってるアルバムを「とっちらかった印象」とか「的をしぼれば方向性が見えやすいのに」とか評する人がよくいますが、うるせー。自分でやってみろ、といいたい。こういうバンドのやつらはこんだけいろんな音楽が好きで、自分でもそれを具体化できて、いろいろとっちらかして、かっこいいこと全部やりたいんじゃい!、とこんなイヤミの一つも言いたくなるほど、こういう音楽はそんな風に論じられやすい。あーゆー言い回しを使うやつは自分の音楽を感じる幅が狭くて理解しきれず、なおかつ自分のそういうところを隠して偉そうにしていたいだけの低レベルな論者なので、無視するべし(けなしたら偉そうに見えるし、またほんまに偉いと思ってしまう読み手もいる)。がるるー。結論「音楽について、ジャンルがどーだのウダウダいってる奴らってサイテー」と言ってるような音楽だな。(自戒もこめて。)(2000/09/24)


[0005]  Todd Rundgren (America)
↓2000/09/26ここに付け足し
↓2000/10/10ここに付け足し
↓2001/01/29ここに付け足し

↓2001/04/01ここに付け足し←NEW

歌や楽器が、ただただうまいだけの人もいます。へただけどとても個性的な表現したいことを持ってる人もいます。そういう才能は持ってないけど、録音機材や電子楽器、コンピューターなんかの使い方にとても秀でた人もいます。とっても良い詩を書ける人もいます。そして、とてもやさしい心を持った人もいます(これはちょっと関係ないかも)。とっても人よりすぐれた、こういうところ(ルックスの良さとか、ファッションセンス、などは音楽とは何の関係もないが、場合によっては大事なこともあるのでカッコつきで書いとく)を人よりたくさん持っていたり、1つのことがものすごく秀でていたら、それだけでも十分世に出る才能として機能するでしょう(めっちゃ早弾きとか)。思い浮かぶ人達をあてはめてみてください。「この人は〜はあるけど〜はない」というのがでてきませんか?それで普通。たとえば、「歌はうまいが、曲は作れない」という人。「歌は歌えないが良い曲を作る人。」「曲も作るし歌うし演奏もするが、機材に弱い人。」「録音技術はあるが音楽はできない人。」出来上がった作品にはそういったことは全く関係ないのですが、僕の経験ではそれを「より一人でやっている」人の作品に、より感動することが多い。それぞれの作業で、人との共同作業で妥協したりするところが少ないからだろうか。全体を見わたして、完璧な完成図をより精密に描けるからだろうか。そして、さっき書いたような特別な才能を、全部一人で持っているような人がたまにいる。そんな人の作品は、もう、特にものすごく素晴らしかったりする。僕の知っている中でいちばんすごいそういう人が、Todd Rundgren(トッド・ラングレン)なのである。サエキケンゾウ氏が中心となって出版されたトッドの研究本の名前はずばり「万能の人」だし、僕の持っている名ブートレッグで「Todd is God」と書かれているものもある。そういう人なのである。わしもそう思う。こんな人が本当にいるのだ。さっきカッコ付きで書いたファッションについても奇抜な格好トメイクで話題になった時期もあり、ちゃんと評価されているし(インパクトありあり)、「他人とのコラボレーションで触発されあって素晴らしい作品を作る」ということもちゃんとバンド「Utopia」でやっている。XTCや他の数々の名盤を担当したプロデューサーでもある。独特のサウンドで定評のあるスタジオも持っている。コンピューター・グラフィックにも早くから取り組み、ソフトも作る。多重録音で1人で作品を作る、というのもこの人が草分けである。と思えば大人数のバンドで完全ライブ録音のアルバムを出したりもする(ライブ盤ではなく)。「孤独な宅録野郎」という1面もあるが、ライブでは「踊りまくるエンターテイナー / ロックンローラー」。涙ちょちょぎれる名バラードも作れば、ギンギンのハード・ロックもやる。(はー疲れた。「もーちょっといくぜー」「おー!」。)リズムマシンとシンセサイザーでいわゆる打ち込みの曲をやったのもこの人が最初。サンプラーを駆使してアカペラ・アルバムを作ったのもこの人が最初。聴く人が曲をミックスしながら音楽を楽しむという「インタラクティブ」CD-ROMを作ったのもこの人が最初。インターネットを通じてしか音楽を発表しないと言ったのもこの人が最初(「この人が最初」を辞書登録しとけば良かった)。まるでアイザック・アシモフ並みのすごさだなぁ。(2000/09/23)(つづく)

(はー、今日はこれぐらいでつづきはまた今度。これでもまだこの人について書きたいことは10分の1も書いてませぬ。続きをまたこんど。)

そろそろこの人のアルバム「サムシング/エ
ニシング」について。オリジナルは2枚組のLPでA,B,C面が一人多重録音でD面がバンドとの一発どりという構成。まずはキャロル・キングに影響を受けたといわれる名曲「I saw the light」が幕開け。このアルバムはどうやらクリックなしで多録していったようで、この曲でも自分でたたいてるドラムが、特にフィルインでずれる。でもアレックス・チルトンのとこでも書いたけど、これが味。高橋幸宏さんがカヴァーしたのとか、カッチリすぎてなんか変だもんなぁ。そういえば、元シュガーベイブの村松邦夫さんが昔だした「アニマルズ」というアルバムで、この曲を完コピ(完全コピーのことね)しています。それはもう、音質からなにからそっくりそのまま。歌が入るまでは、かなりのファンでも気づかないでしょう。そういえばトッドにも自分の好きな曲を完コピしたのがあって(faithfulというアルバムのB面が全部完コピのカヴァーになっている。もひとつついでにそういえば、友達からきいたちょっといい話を...。あるTV番組で、海外のどこかとそっくりの町を作ったのを紹介している時に、このアルバムのトッドがカヴァーしたビートルズの「ストロベリー・フィールズ」がBGMでかかってたんだって。「偽物だが、そっくり」という意味で。←柴山、教えてくれたの覚えてる?ほとんどの人はたぶん普通にビートルズが流れていると思ったんだろう。この選曲した人、しぶいですね。)。村松邦夫さんにとってはこの「トッドが好きな曲をこういう風に完コピしている」ことも含めての完コピなのか。いま気づいた。いい話だなぁ。で、トッドのカヴァーといえば僕が知ってるだけでも、いっぱいあるなぁ。トリビュート盤を除いても。ロバータ・フラック、ロッド・スチュワート、マンハッタン・トランスファー、ロバート・パーマー 、yes mama ok(←トリビュート盤にはいる前に自分たちのアルバムに収録していた。)トッドの曲をそっくりに多重録音するのが趣味というミュージシャンはたくさんいるらしい。さっきの村松邦夫さんもそうなのだと思うし、あのXTCのやめたギタリストだったデイブ・グレゴリーもそういってたな。で、日本ででたトッドへのトリビュート・アルバム(これについてもまた書きます。)に参加してる人とかもそういう感じじゃないだろうか。特にコーザ・ノストラの桜井鉄太郎さんは自分のスタジオ名がこのアルバム名らしい。「サムシング・エニシング・スタジオ」か。(2000/09/26)

(と、どんどん脱線しているうちにまたまたつづく)


さて久しぶりに続きを。僕がこの人のことを知ったのはTubesの「Remort Control」というアルバム。A&MレーベルつながりでYMOがアメリカか公演で共演したことが雑誌で取り上げられ、それを見た友達がこのLPを買いました。そのころの僕らに大ヒットするピコピコビュンビュンのシンセ音満載というのに加えて、とてもバラエティーに富んだ曲がすごくかっこよくてメロディーも良い曲ばっかりで、テープにとってもらい愛聴してました。チューブスはシアトリカルなステージで話題になっていて雑誌にも取り上げられることが多かったように思います。YMOとの共演時には、あの「勇者ライディーン」のかぶりものをしていたり、ステージにでかいバイクが置いてあったり。当時は特に「シンセばりばり」といった雰囲気があり、テクノ・ポッピスト(?)だった僕たち中学生に気になる存在だったのです。このアルバムがあまりに素晴らしいので、次にでたアルバムを今度は僕が買いました。このころよく友達と交代で好きなアーチストのアルバム買ってお金を節約していたなぁ。で、このアルバムは名前も忘れるほどの大駄作。もろただのアメリカン・ロック。プロデュースがデヴィッド・フォスターだった気が。「sushi-girl」なんてタイトルの曲があったりして「とりあえず、こざっぱりストレートなロックをやって、もっと大衆受けを」みたいな「ひとつもパンクしていない」眠たいアルバム。初期、アル・クーパーがプロデュースしていたときは「お前より前に俺達はパンクだった」なんて曲をやってたくせに。で、大失敗のあとチューブスのことはもう忘れていたのですが、そのあと何年かしてでた「Love Bomb」というアルバムの裏ジャケをレコード店で見てピンときた。「これはいいかも」。前とは違ってちょっとムリがあるが、いかついニューウエイブな格好をしたメンバーが写っていたのだ。その予感は的中し、これはすごく良かった。「Remort Control」の雰囲気を持った名盤。で、ここで初めて気がついた。これにもプロデューサーとしてまたクレジットされているこの「Todd Rundgren」とが偉いんじゃないかと。長い道のりでした。この2枚はもう、今になって考えるといわゆる「オーヴァー・プロデュース」というやつで、演奏と歌をチューブスにさせて作った、自分のソロ・アルバムのようなもの。このアルバムには「Come as you are」という名バラード曲が入っており、のちのちトッドがセルフカヴァーしている。「Love Bomb」のほうはたぶんCD化されていないが、チューブスのベスト・アルバムの中には全時期のものが混在しているものが出ているので、このへんをチェックしてもらえば、このバンドがプロデューサーによってどれだけ変わるかということがわかると思う。(ちなみにチューブスのドラマー「プレイリー・プリンス」はトッドのバンドのドラムをやったり、デヴィッド・バーンとブライアン・イーノの名盤「ブッシュ・オブ・ゴースツ」でもドラムを叩いてる、名セッション・ドラマー。)

しかしこのころトッドのアルバムはほとんど全部廃盤中で、このころちょうどファンになった人たちはプレミア付きの中古盤を苦労して集めていたらしい。このときもう僕は大学生。バイト先の友人でトッドのレコード集めてるやつと知り合って、聴かせてもらいに家まで遊びに行ったなぁ。そこで初めて聴いたトッドの曲が「I saw the light」初めて頭の中に花束がさしだされた瞬間でした(EV師匠の日記参照)。さてレコード欲しいがどうしよう。その友達の話をきくと、彼が探してた「The ballad of」を¥19800で見つけて、そんなにお金持ってなかったので銀行に行って、戻ってきたら売り切れていたとか。それぐらい手に入りにくい、と。しかーし、そう思っていると、なんと全部再発されるという噂が。ちょうどいいときに出会った、ほんとに幸せものでした。どとうの再発をなんとかやり繰りしてほとんどそろえ、そのあとCDもだいたい買いなおし現在にいたる、というわけです。この人のベスト盤というのはほとんど毎年いろんな形で出るのですが、目の届くかぎり買ってます。毎回ほとんど定番曲が中心なのですが、「おっ」という曲が入っていっていたり、曲の並びがなんとも素晴らしかったり、どれも甲乙つけがたいものばかり。というか、この人の曲ですもの、どれを選んでもいいに決まっとるわな。僕はアナログ盤/カセット時代から、ベストテープを作るのが大好きで、トッドのもよく作ったなぁ。このへんの話はこちらに書きましょう。(2000/10/10)

「Demos and Lost albums」について。
 このシリーズについても、早く書かないと、と思いつつ。日本でしか出ていない「トッドのレア音源シリーズ」で、これはその最新のリリース。去年からアナウンスされていた日付から少し延びて最近出ました。僕はもう、ある意味このシリーズで盛り上がるために生きているのかも、とか(大げさですが)半分ほんとにそう思っています。

 新譜案内に載ってるのを見ただけで「この曲がついに!」と失神しかけていたのが「Umbrella Man」という曲。前に手に入れて愛聴している「Todd is God」というタイトルのブートレッグ(LP)に入っていて、僕はてっきり今まで未発表の曲だと思っていたのですが、このCDの解説を読むとUtopia(トッドのバンド)の「Adventures in Utopia」というアルバムからシングル・カットされた「Set Me Free」という曲のシングルのB面だったそう。知らんかった...。しかもそのデモ・ヴァージョンだということで、「レア×2」という感じ。そのブートレッグに入っていたのがそのオリジナル・ヴァージョンだとすると、確かに歌っているのが「オリジナル=カシム・サルトン(Utopiaのベーシスト)」「デモ=トッド」だし、解説にもあるようにいろいろ違っている。んーこの曲のこんなヴァージョンがこんなかたちで聴けるとは。長生きもするもんですなぁ。

 この曲は(未発表と思っていたので)なんでアルバムに収録されなかったのだろう?と怒りさえ覚えていたほどの「超名曲」。しかし解説にもあったが「Adventures in Utopia」の時の録音と言うことで、このアルバムのSFチックな雰囲気には確かに合わない。だからシングルのB面としてリリースされていたのか。納得。しかしこのシングル「アメリカでチャートのTop 40に入ったというのに日本では未発売」と解説にあった。まぁ、これだけ世界的にもトッド人気が高いといわれる今の日本でもこと「Utopia」になるとみんな「イマイチ」とかいってほとんど無視してるからなぁ。確かに全部を総合して「いい曲の存在度」を比べるとソロ・アルバムのほうが圧倒的に多いと思うのだが、Utopiaにもねぇ、とっても大事な曲はあります。評論家が「Utopiaはいまいち」とか書いてるとか多いけど「違うぞ」。気を付けましょう。「Utopiaのすごさ」についてもまた書きたいと思っています。

 電車で聴いていて、あまりの感動で一人で遠くを見つめて「あかん...。ゆるして...。」とつぶやきながら泣いてしまった1曲目は、「ミンクホロウ」の「ラッキー・ガイ」のデモ・ヴァージョン。キーボード類がピアノのみ。この曲には珍しい特徴があって、そのむかしあのグレアム君に教えてもらいました。何でしょう?言われてみると「あーなるほど!」なのですが、「トッドの曲のなかで唯一コーラスの入っていない曲」だということです。と言われて頭の中で1stから1曲づつ検証してしまうあなた。あなたは僕とかグレアム君とかの仲間です。おめでとう(←めでたいのか?)。イヤ、僕も一応激レアな曲以外は(日本でふつうに手には入るものは)全部手に入れて聴いてるつもりで、全部どんな曲か思い出せるつもりです。んで、最初にこのことをグレアム君から聞いたときしばらく思い出して「そうだな」と納得したのを覚えています。こういう一言って大事よね。僕なんかそういう「どうでもいいけどちょっといい話」だけはなんかで読んだり聴いたりしたときに「絶対に忘れない『頭の大事箱』に入れる」という特技だけで生きているようなもんですから。

 実はこのアルバム2枚組で税抜き価格¥3.333。まだ2枚目は聴いてません。とりあえず今日はここまで。(2001/01/29)

UTOPIA / Live At The Royal Oak (DVD)について

 このライブ・ビデオを初めて見たのは大学に入ってすぐぐらい。大学時代に実家に最寄りの阪急豊中駅前の商店街にあったレンタル・ビデオ店になぜか置いてあったのを発見。そのころちょうどトッドやユートピアにはまっていたので、見つけたきにはものすごく嬉しかった。レコード店とかでも売っているのも見たことなかったし、こんなビデオが出ていることすら知らなかったので。その後大学を卒業してから働き始めることになる京都の輸入・中古レコード屋さんにはこういうビデオがいっぱいあったので、こういうビデオをそれこそ見まくりましたが、大学入りたてのころはレンタル屋さんもあまりなく、あっても音楽物は少なくて、そんなときこんなのが家の近所の駅前にあるというのはびっくりしました。動いているトッドさま見たのはこれが初めてでした。

 このコンサートでの迷彩柄のコスチュームでそろえた4人のユートピアは、なんせかっこいい。うまい。4人だけで、ギター/ベース/キーボード/ドラムだけの、ごくシンプルな編成でこれだけ出来るという見本。お手本。そしてやはり特筆すべきはメンバー全員が歌えるというところ。ベースのカシム・サルトンはジョーン・ジェットのグループのベーシストとして有名ですが、もともとはシンガーソング・ライターで「ポール・マッカートニーとビリー・ジョエルの中間の声を持つ」と評されたほどの美声の持ち主。歌がトッドさんより、うまい。例えば「Oblivion」というUtopiaのアルバムのB面の1曲目「Maybe I could change」という超激名曲や「Adventures in Utopia」というアルバムの「Love alone」というこれまた超激名曲では、この人のものすごい歌唱力を堪能できます。これだけのベース・テクニックといい声、歌唱力、作曲能力を持ちつつ、ジョーン・ジェットのバック・バンドでただニコニコとベースを弾く彼の姿を見ていると「器用貧乏」という言葉が頭をかすめます...。キーボードのロジャー・パウエルもそう。ものすごいキーボードの演奏テクニックと歌唱力の持ち主で、おまけにMOOG社の研究員。自分で設計したカスタムメイドのショルダー・シンセを使ったりしてました。そういう、それだけでもすごい人が曲作って、歌って、演奏して「ロックする」わけです。すごいことです。
 
 トッドさんのこと、本国アメリカ人に訊いてもほとんどの人は知らないんじゃないでしょうか?トリビュート・アルバムなんか作ってイベントまでやって、本人まで出てくるなんて、日本だけです。日本にファンが多いというのは、なんでしょう、おそらく日本人の心の琴線に触れるあのメロディーのあたりに理由がある気がします(カナダ盤のトリビュート・アルバムが日本のやつの前に出ていたが、「いい曲をいいアレンジで」という普通のものだった。もちろんこれも素晴らしかったが)。「ミュージシャンズ・ミュージシャン」の典型的な人という感じですが、特に日本の「しぶい」アーティストに人気が高いのもなんとなくわかります。

 さて、このコンサート僕の好きな曲がまた目白押しで、まいります。泣けます。まず僕の「人生の1曲」といっても過言でない超メタ・ウルトラ・スーパー・アルチメイト激名曲「Timeheals」。前に1982年のサタデー・ナイト・ライブでの演奏がNHKのなんかの番組で流れていましたが、その時は大人数のバンドと一緒でほぼ「アルバムの音の再現」という感じでした。これはこれですごく良くて、何度録画したビデオを見たかわかりませんが、このライブ・ビデオでの演奏はシンプルに4人だけでギターのパートもオブリガードを少しはしょったバージョンで、これまた良い。そしてやはり「何度聴いても泣ける・ハマる」トッドさんとユートピアのコンサートでほぼ毎回ラストに演奏される「Just One Victory」と「Love Is The Answer」これがまた、このライブのヴァージョンは素晴らしい。最初にビデオを借りた時に録音したカセット(そのころはHi-Fiのビデオ・デッキも持ってなくて、もちろん1台しかなかったのでダビングできず、音声だけカセットに録音して何度も聴いていた...)を死ぬほど聞き返しました。そんなテープもどっかいって、その何年か後にこのような形でまた見ることができるというのは、なんだか夢のよう。

 このライブには何か、特別な雰囲気がある。「品がある」といってもいい。迷彩服でけっこういかついのだが、それとこの「ロイヤル・オーク・シアター」の大阪のフェスティバルホールのようなしっとりとした雰囲気がいいミスマッチになっていて、なぜだか「ホーリー」な雰囲気。結局は「楽曲の完成度」と「高度な演奏能力」のなせるものなのですが、この「品」というのはやはり「志し」というか「センス」というかそういう「魂」の問題なのだな。何度見聴きしても飽きないという作品には、そういう技術を越えた何かがこもっています。そういうものは、それこそその音楽でしか表現できない。こういうものをどれだけ持っているか?そのへんが「天才と秀才」の差なのでしょうか。しかしトッド・ラングレンという人はその量がすごい。そしてそういう選ばれた人には、想像を絶するほどの凡人の持てる何倍もの「特別なもの」が授けられている。そう考えなければ納得できない程に。たまーにいるんですよ。そういう人が。ほんとにねぇ。

 ということで夜な夜なこの「シンプル&ホーリー」な名演を見つつ、涙する日々が続きそうです...。(2001/04/01)

(果てしなくつづく)


[0004]  鷺巣詩郎「EVANGELION-VOX」 (UK/Japan)
それこそいくら書いても書ききれないほどの経歴をお持ちなのでお名前で検索していろいろ調べて下され。ニュー・アルバム「Shiro's Song Book 2」が出たとこなので、ぜひ聴こう。こちらについてもまたゆっくり聴きこんでから書きたいと思います(吉田美奈子さんまで参加してる!)。僕が鷺巣さんの名前を知ったのは多分中学生のころ。「笑っていいとも」のエンディングロールのお名前を見て、「この番組の音楽作ってる人名前なんて読むんだろう」、と思ったのが最初。その印象が強くて、それから買ったレコードのクレジットでお名前を見つけると「あ、これもこの人なんだ」とチェックするようになりました。みなさんの持ってるレコード、CDにもおそらく何枚かには鷺巣さんの名前があるのではないでしょうか。そのお仕事の幅広さに驚いたあとにあの、「新世紀エヴァンゲリオン」というアニメの音楽で完璧にノックアウトされました。アニメのサントラを買ったのは何年ぶりだろう。しかし、この完成度はなんだ?なぜここまで...。というクオリティーの作品群。TV版のときもそうでしたが、いちばんどーんと僕に大ヒットしたのが最後の映画作品「The End Of Evangelion」の(2部構成の)まん中で流れるあの「Thanatos(タナトス)-If I Can't Be Yours」という曲。映画館で最初に聴いたとき、ものすごく感動しました。その歌声、歌唱力、リズムトラック、ウッドベース、ギター、エレクトリックピアノ、ストリングス、すべてが完璧なジャジーなソウル・バラード。特にスクエア・プッシャーばりの打ち込みドラムソロはこの部分だけ何回リピートして聴いたかわかりせん。アーチスト名が「Loren&The Mash」になっていたので、Mashが鷺巣さんのユニット名だとわかるまでこれは誰だろう、と思ってました。ちなみにこの曲は、エヴァの大ブームも手伝ってオリコン1位に。こんなにレベルの高い曲が若い人にたくさん売れたのは史上初ではないでしょうか(マジで)。で、それも入ったこのアルバム。「乗せてください!」など本編のセリフやSEなどをサンプリングし、ヒップ・ホップ、ソウル、ファンクビートにのり、スクラッチ、ラップが入り、オーケストラがどん、とフィーチャーされ、エヴァに使われたあらゆる音源(予告編のジングルでさえ)がアバンギャルドかつポップに再構築された奇盤。もちろん普通のサントラ盤もでているが、ここに書いたように、ほんのBGMのような曲でさえもが少しの手ぬかりもなく高いレベルで作られていたことが、この盤によってより明らかにされている。映画の終盤ハイライトシーンで流れる王道ポップソング「Komm,susser Tod」もここでは本物のゴスペル・ヴァージョンに変身。かくも「凝り凝り」の壮大な音絵巻は、ただただ中高生たちのアニメの思い出になるには、惜しすぎる。近田春夫さん(この天才についてもまた詳しく書きたいと思っています)が週刊文春に連載していた「ヒット曲を斬る」コラムをまとめた本「考えるヒット」(最初に出たほう)の中で「Thanatos」が取り上げられている。小室哲也全盛のころなので彼やAVEXのものが多く論じられている(というか彼独特のあの本質をずばっと突く「言葉のナイフでぶったぎる」ということなのだが)。「良い音楽をやるのに、努力は入らない」など音楽好きにはたまらなく刺激的な文章が並ぶ。そんな中、ある見開き2ページだけ、全くの別世界のようなところがある。それが、「Thanatos」を論じたところなのだ。他の全てが、良くて「ま、いーんじゃない」「けっこう好きだよ、オレ」といったアプローチなのだが、この曲に対する文章だけが浮いているのである。とても面白い本なのでぜひ読んでもらいたいのだが、一言で書くと「ただただ大絶賛」しているのだ。「人工美の極致」というたとえで、近田氏がどれほどの賛辞をこの曲に捧げているかがお分かりいただけるだろう。この曲はそういう曲なのである。(この本の近田氏のこの賛辞ついて、ご存じでたか、と鷺巣さんに尋ねたら「御礼状を出しました」とおっしゃってました。いい話だなぁ)この本を読んだとき、僕は本当に嬉しかったです。両方ともすごく好きなアーチストだったので。というわけで鷺巣さんとお会いできたときの話はまた書きたいと思います。(2000/09/22)

[0003]  Alex Chilton / Loose Shoes And Tight Pussy(America)
今世紀における最後の、そして最高のロックン・ロール(ブルースの名曲カヴァーアルバムなのだが、まぎれもないロックンロールにきこえる)。Box Tops〜Big Starを経てだんだんへなちょこになっていくこの人のギターは、はっきりと何かに反抗・逆行している。その何かをはっきりと言葉にするとめちゃめちゃダサイが、あえて言うと、「ロックじゃなくなったロック」「ロールしなくなったグルーブ」である。なにをいまさら、である。ここ何年か、クリック制御していない音楽にふれることが少なくなった。計算されたゆらぎ。ある一定の拍子の中で考え抜かれ、緻密にずらされたノリ。こういったことを何百回もプレイバックしながら再編集し、だんだんと偏執化していく今の音楽界に対して、この人はチューニングのずれた、へなちょこギターでトドメをさすのだ(打ち込み野郎だけじゃない。いまほとんどの音楽があとでデジタル矯正されているのだ。パンクでさえ)。Big Starのスタジオ録音の名盤の数々を聴くと分かるが、そのころは決してへなちょこではない。全ての若きロックバンド野郎どもの憧れななほどかっこいいのだ。すごく上手いのだ。いや今が下手だといってるわけじゃないけど。ものすごく複雑で高度なコード・ワークも使い、抜群にかっこいいのだがしかし、下手に聞こえるかもしれないぐらい、このアルバムでのギターはリズムがずれる。どんな素人でも後で聴きなおして、「もーいっぺん!やり直そう」と思うであろうところがたくさんある。でも、そのずれはどうやら間違えたずれではないようなのだ。どう考えても。だって歌はリズムずれないんだもん。リズム感がないわけでは絶対にない。わざとなのか?このギターを聴いていちばん最初に思ったのが「あーこれは打ち込みでは絶対再現できないだろうなー」ということだった。誰にも、どんな技術を使ってもこれは再現不可能な演奏。唯一無二。孤高。「プログラミングできない演奏。」「何かに置き換えられない演奏」やっぱりそういう域にまで達していらっしゃる。僕はこの彼のグレッチの「かっこいい・へなちょこ」なギター音を聴いてそういう種類の快感を得た。...でもこの人ただ飲んだくれてるだけだったりして。

なぜかこのアルバムはフランス盤とそれに帯と解説を付けた日本盤しか出てなくて、なにしとんじゃ、アメリカ人は。自分の国のこんな偉い人のアルバムをどっかリリースせんかーい!僕は去年の冬、フランスにたまたま行ってて、買いました。でもフランスでも、僕が行った何軒かの中で一軒しか置いてなかったなぁ。フランスの「LAST CALL」レーベル、偉い!拍手!ほんでそれを日本で出したとこ(どわすれした。また調べて後日ここに書いときまする。)あんたも偉い!ぱちぱち!(2000/09/21)


[0002]  Dry & Heavy / Full Contact(Japan)
びっくりした。久しぶりにいいレゲエを聴いた。前から良いという噂はは聞いていて、CDは手に入れていたのだが、なぜか2ヵ月ほどほーっておいた。帰宅中の電車の中で、ふと持っているのを思い出して聴いてみたら、もーびっくりした。これは完璧な本物のルーツ・ダブだ。やっぱり2ヶ月ほっといたのは、日本のグループだし、という偏見があったからかもしれない。まず、ダブのトバシ具合が半端じゃない。最近マッド・プロフェッサーものをよく聴いてたからもしれない。マッド先生のは非常に「綺麗に繊細に」トバす。しかしドラヘビはもっとバシバシに荒っぽくトバすトバす...。曲も良い。いろんな古いダブものの音源からセレクトしたテープのようである。そう、アナログからおとしたレゲエのベスト・テープ。ばちばち針音がないのがふしぎなくらい、そんな音なのだ。僕はほとんどでっかい音で音楽聴くのはディスクマンで、なのだが、こんな太いベースは初めて聴いた。ヘッドホンはインナーイヤー・タイプのイヤホン(経験上これが一番太い低音がでかく聴ける)で、いつも特にレゲエ(特にダブもの)を聴く時は低音がものたらず、ぎゅーっとイヤホンを耳の中に押し込んだり、ベースブーストボタンを押したりして、しかもあんまし満足出来ないのだが、このCDはすごい!そのままでドーンとくる。高域(特にハイハット)もちょーど良い。だいたい、CDで聴くハイハットのおとは、しゃりしゃりしすぎていやなのだが、これはばっちり。この人たちは、コンプレッサーを最後にかけずにミックスやライブをする、と何かで読んだ。ぎりぎまでコンプをかけずに、ひずむ寸前にしたらこんな迫力ある音になるのか...。それか、マスタリングがめっちゃうまいのか。偶然僕のディスクマンとイヤホンに合っている音質なのか?どれかは判らないが、とりあえず自分の持ってるディスクマンが「お前もなかなか良い音出すじゃないか」と初めて思えたCDでした。女性ヴォーカルも非常にすてき。リバーブの選び方、かけ方に非常に凝っている。だから音も良いのかな、とも思います。イギリス盤も発売されるようで、むこうの人たちも恐らくかなりびっくりするでしょう。ひょっとっすると、日本のダブ/レゲエ・グループで一番だった(と僕は思う)MUTE BEATの存在に近い評価がこれからなされるべきグループとさえ思います。マイキー・ドレッドが手がけたUB 40の「Present Arms In Dub」が今まで僕がいちばん好きな「バシバシのダブ」アルバムでしたが、それと並ぶような名盤が日本から出たとは嬉しいことです。ちなみに「バシバシじゃないダブ」のいちばん好きなのは藤原ヒロシの「Dub Conference」。あっ、これも日本人だ!(2000/09/20)
[0001]  P-MODEL / Virtual LIveシリーズ(全3枚シリーズ)(Japan)

ピーモデルって、これ見てる人は知ってるよね?でも知らない人にはここでいちおう説明しとく。)

これは、僕の好きだった頃のP-MODELのその当時に行われたライブを今の平沢さんが再現しているというもの。再現というのは昔のテープの音をきれいにしてっていうのではなくて、録音し直してるってことです。つまり昔のテープを聴いて、完コピしてるってことですね。曲順、アレンジはもとよりMCや観客のヤジまでを再現しているのがすごいところ。もーねー、泣けます。「あーこの頃見に行ってたなぁー」という深い感慨と甘酸っぱい青春の日々の思い出がどんどん溢れてきて、キューンとしてしまう。よく聴きますよ、このCDは。駅から家への帰宅途中にバイクに乗りながらこれ聴いて歌いまくる、というのがひと頃流行っていました(^。^)。この頃(1st〜パースペクティブまで)のP-MODELファンは絶対聴くべし。特記事項は、

・ドラムが打ち込みで田井中さんよりうまい。(ということはあの独特の走るノリがないということで、これは減点要素と認識されたい。

・平沢さんによるMCや、ブックレットの解説で当時の裏話がわかる。 (←詳しくは書きませんが例の「ヒカシューとの不仲説・あるタイバンしたライブでの喧嘩事件」の真相がご本人から説明されています。これは非常に面白かった。) の2つ。「あの頃のファン」のとっては、とても喜ばしい天からの贈り物のようなアルバム(3枚シリーズ)です。そういえば、インディーズ・レーベルからの発売なので、大きいCD店でないと売ってないかも。(2000/09/20)


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