ガイア理論
雨は雲から降ってくる。正確には、地上から蒸発した水蒸気を含む大気が、上空で冷やされて飽和状態となり、水の微粒子
を創り出す。これが雲である。微粒子は大気中のほこりなどを核にして成長し、一定以上の大きさになると落下する。これが
雨。このように、雨は地表から大気中、そしてまた地上へと繰り返される水の循環のひとつなのである。
地球上にはこれと良く似た循環が多数存在する。黒潮などの海流や、偏西風などの大気の流れは、赤道付近にたまる太陽
からの熱エネルギーを北へ南へ運ぶはたらきをするし、生き物の世界の食物連鎖は、バクテリアを底辺として、完全に閉じた
サイクルとして循環している。物理学で言うところの、質量保存の法則ではないが、これらのシステムはそれ自体驚異的なま
でによくできているといえる。
これまでの科学では、これらの循環はそれぞれ独立して考えられてきた。しかし人間の生活が豊かになるにつれて発生して
きた公害などの環境破壊は、生態系に代表されるように、自然の循環機能が個々別々に存在しているのではなく、かなりの部
分で密接に関連していることを現実として認識させた。人間の手でコントロール可能と考えられてきた自然は、実は手に余るし
ろものだったのである。そこから出てきた1つの仮説が「ガイア理論」。これは、地球上の全ての自然は、人間を含めて1つの大
きな生命体である、と考える仮説である。そこでは、いわば海や川、生物などすべては、地球という生物の1つずつの細胞のよ
うなものであり、全ては密接にリンクしているのだ。
この環境保護運動の申し子のような理論は、暗喩的にもうひとつの仮説をほのめかす。地球が生命ならば、増えすぎた人類と
はあたかもその身に巣食うガン細胞のようなものである。ガンは自身から生まれ出で、やがてその身を死に至らしめる、と。
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