二色テスト(赤と緑の視力検査)
2008年1月5日 (土)
視力検査のときに、赤と緑に光る2色の背景と黒の輪を用いた「二色テスト」を行うことがあります。

「赤と緑、どちらがはっきり見えますか?」と聞かれるこのテストは、メガネやコンタクトレンズの度数を微調整するためのもので、人の眼の水晶体で光が色収差を起こす現象を利用しています。二色テストは「レッドグリーンテスト」や「赤緑テスト」ともよばれるようです。
人間の眼には下のような400 nm〜800 nm程度の波長をもつ電磁波が見えます。

これらは可視光線(光)とよばれます。
今、人間には「白」に見える光を考えます。これは上の波長400〜800 nmの電磁波を重ね合わせた波の群になります。そして、この波をレンズに入射することを考えます。
レンズによく用いられるガラスの屈折率は、656 nm(赤)で1.51、486 nm(水色)で1.52というように波長によって異なっています。このことによって、一般的にレンズには色収差と呼ばれるものが存在します。色収差とは、レンズの屈折率が波長によって異なる(下の枠内参照)ために、色によって像面の位置が前後にずれる(焦点距離が異なる)現象のことです。例えば下の例では、波長の長い赤の光は奥で、波長の短い青の光は手前で像を結んでいます。

人間の眼も色収差を起こします。そして、人間の脳は黄色の光の屈折を基本として焦点を結ぶように(黄色の光が交差するポイントが網膜上にくるように)水晶体を調節するそうです。すると上の可視光の帯図から分かるように、赤と緑の光は網膜から同じ距離となります。つまり、二色テストで用いられる赤と緑の光を見ると、網膜をはさんで赤と緑が同じ距離になるように水晶体が調節され、その結果、赤・緑の◎どちらとも同じくらいはっきりと見えるわけです。(正常な場合)
…【正常】
一方、近視の場合、水晶体は網膜より手前に焦点を結ぶように調節されます。すると下左図のようになり、赤い光がよりはっきりと見えます。また逆に遠視の場合は下右図のようになり、緑の光がよりはっきりと見えます。
…【近視】
…【遠視】
これらのことを利用して、例えばメガネをつくる場合、ランドルト環(C)で度数の見当をつけ、最後に二色テストで微調整を行います。赤と緑の光がどちらも同じくらいはっきり見えた、その時に試着しているレンズの度数が、その人にもっとも適した矯正度数となります。
電磁波は空間を振動しながら伝わっていきます。何もない真空中であれば電磁波はそのままの状態で伝わっていきますが、物質中では物質を構成する原子や分子と電磁波が相互作用するために、真空中よりも位相速度が遅くなります。この効果は屈折率n、真空中の位相速度c、物質中の位相速度vを用いて、以下のように表されます。
n = c / v …(1)
例えば、屈折率が2の物質中の位相速度は、真空中の位相速度の1/2になるわけです。
ここで、電磁波の位相速度vは、角振動数ω(k)、波数kを用いて、次のように表すことができます。
v = ω(k) / k …(2)
角振動数ω(k)は波数kの関数になっており、波数kが決まれば周波数ωは決まるという関係をもっています。この関係を分散関係とよびます。真空中では分散関係が存在しないのでω(k)は定数ωとなり、真空中の位相速度cは以下のように表されます。
c = ω / k (真空中) …(3)
しかし、たいていの物質では分散関係が存在し、ω(k)は定数となりません。したがって、波数kの値によって位相速度vが変化することになります。ここで、波数kと波長λには次の関係があります。
k = 2π / λ …(4)
つまり、物質中の位相速度vは波長λによって異なってくるわけです。
式(4)(2)(1)から、式(1)中の位相速度vが波長λによって変化することが表され、屈折率nもまた波長λによって異なってくることが分かります。
コンタクトレンズはもう完全に体の一部に。