■やんばるヤーチャの沖縄旅行
★旅のデータ
期間 :1999年9月20日(月)〜25日(土)
行き先 :沖縄県名護市/沖縄本島
宿泊施設:ブセナ・テラス・リゾート
交通手段:ANA(全日空)
メンバー:私、妻、チビ助(♀/生後7ヶ月)
☆後のサミット(先進国首脳会議)会場となるホテルをミーハー気分で選んだものの、
初めての子連れリゾートはハプニングの連続。おまけに台風直撃で帰れないというピンチ!
◆プロローグ
そろそろどこかの海に行きたいな、という話になり、夏頃から色々と検討を始めた。飛行機に乗っている時間を考えるとサイパンあたりかなとも思ったが、イマイチそそらない。ロタはメシがマズイし、2回も行ってるからなあ…。本当はタイとかに行きたいんだけど、バンコクまで6、7時間、プーケット直行だと8時間のフライトは、赤ん坊連れにはチトつらい。
そこで浮上した有力な案は、台湾の最南端のリゾートに行くというものだった。中国圏なら食事は美味しいだろうし、中華航空は羽田から出ている。色々と調べてみると、海もリゾートもなかなか良さそう。ただし、高雄の空港からバスで3時間くらいかかるらしい。それでは飛行時間が短くても意味がない。追い討ちをかけるように、中華航空機は墜落するは、台湾の国内線は炎上するはで、話題が盛り上がったのは2日間くらいのものだった。
消去法で残ったのはセブくらいのもの。でも、ダイバーやリゾーターなら近くて良いところだと知っているだろうけど、一般的には、『赤ん坊をフィリピンに連れていくなんて』という偏見に満ちた批難を浴びそうだ。まあ、海外に連れ出すというだけでも、保守層や年輩者は目くじらを立てるかもしれないが…。
だったら、国内にいいところがあるじゃないかということで、沖縄に決定。本島なら病院もしっかりしているし、健康保険も使える。羽田から2時間半だし、パスポートもいらないぞ。欠点といえば、海外に比べてワクワク度が少し低いってところかな。
いつもの旅行屋さんにANAのスカイホリデーを申し込んで、9月20日の出発を待つ。いつもなら月曜日から土曜日の5泊6日なのだが、今回は用心して3泊4日の日程だ。中2日はノンビリできるから良しとしよう、なんて思っていたら、出発の前日に沖縄の南の海上で台風が発生した。今年の台風は日本近海で突然に発生することが多いが、小型で弱いのものが多い。それに、沖縄本島の方には進んでいないようなので、最悪でも雨が多いくらいのものだろうと、タカをくくっていた。しかし…。
●9月20日(月)−−第1日目
朝の7時ごろに起き出し、家の中であれこれと片付けをする。トーストとお餅の磯辺焼きという妙な献立の朝食を済ませ、ベビーカーとピギーバッグを引きずって、9時に家を出る。徒歩5分の駅から電車で約20分。車内で中年女性がチビ助をあやしてくれたものの、最後の2駅くらいは退屈して騒ぎそうな気配だった。蒲田駅から京急蒲田までは約500メートルくらい離れているので、ベビーカーを組み立てて、商店街を進む。とても蒸し暑く、京急蒲田に着いたときには汗だくだった。京浜急行の車内は涼しいが、地下が多いのでチビ助は飽きている。ヒヤヒヤもので羽田空港に到着したが、エスカレーターやらエレベーターやらが多く、なかなかチェックインできない。最近起きたハイジャック事件のせいで、セキュリティ・チェックが厳しくなったため、乗客の流れも悪い。ゲートに着いたのは出発の30分くらい前だった。少しだけ眠ったチビ助は、待機中のスチュワーデスがニコニコしてくれたら、ニコニコと愛想を返すのであった。予定より少し遅れて搭乗が始まり、11D&Eの席に着く。11時頃になってNH083便は離陸した。外は雨が降り始めたようだ。
空港で眠ってしまったチビ助は、飛行中は眠りそうもない。安定飛行に入ると交代で席を立ち、忙しく働くお姉さんたちを見学。何とか大泣きをせずに1時半ごろ那覇空港に到着し、荷物を受け取ってからスカイホリデーのカウンターを探すのだが、どこにも見当たらない。警備員に聞くと、さっき出て来たドアの内側にあるらしい。戻ろうにも人が多いので、しばし待つ。その間、警備員のお兄ちゃんはチビ助の頬を指で突いたりしてあやしてくれる。男性でそういうことをするのは珍しいなあ。
ようやく送迎バスに乗ると、那覇市内は渋滞。順調に走り出して高速道路に入る頃には、雨が降り出した。この頃になって、我々は非常に腹が減っていることに気が付いた。機内食でパンを1個食べたが、そんなものでは足りない。空港で何か買っておけば良かった。妻はチビ助用の赤ちゃん煎餅を食べたところ、胃が刺激されて、余計に空腹感が増したようだ。
途中、ルネッサンス・リゾートで乗客を降ろし、3時半ごろには我々の宿泊するブセナ・テラスに到着。ロビーはなかなか南の島のリゾートっぽい造りで、海外のホテルのような雰囲気だ。ソファーでくつろぎながらウェルカムドリンクを飲み、チェックインする…ハズだった。後は部屋に案内されるだけだと思って待っていると、マネージャー風の人物が現われて、何やら話があるという。あまり良い話ではなさそうなので、たぶん、海側の部屋が無くて、山側の部屋にでもなるのかな、なんて思っていると、何と!オーバーブッキングで部屋が足りないとのことだ。それで、1泊目だけ「万座ビーチ」か「かりゆしビーチ」ホテルに移って欲しいと言うではないか。条件は、全日程中の夕食代とマリンアクティビティを無料にするらしい。しかし、赤ん坊連れではメインダイニングで高級な夕食をとることもできないし、海で遊ぶこともままならない。第一、台風が来ているんだから、明日以降は海に出れないだろう。ホテル間の移動だって苦労するかもしれない。全く部屋が無いのかどうか尋ねてみると、そういうワケでも無いらしい。しかし、誰かが移動しないと、夕方や夜の飛行機で来る人たちがあふれてしまう模様だ。う〜ん、世のため人のためとも考えたが、ここはやっぱりチビ助に負担はかけられない。断固拒否することに決定。まあ、若い人とか大人だけだったら、無料で食い放題というのも魅力的かもしれないなあ。メインダイニングでドンペリとか飲んでもいいんだろうし…。でも、このホテルを選んだ人は、ホテル自体に魅力を感じて選んだのだろうから、けっこう説得には苦労するかもしれない。
ようやく案内された472号室は、けっこう広くて、海に沈む夕日が良く見えそう。2つのベッドの間が開いていないで、くっついているのはチビ助には好都合だ。そのチビ助は、設備などを説明するポーターさんの金ボタンが気になって仕方がない様子。ちょっとだけダッコしてもらいました。
一息ついたときは4時半を回っていたので、軽食でもという案はボツにして、5時半からの夕食に一番乗りすることに決めた。それまではホテルの敷地内とビーチを散歩。隣接地では翌年のサミットで使う施設の建設が進んでいる。ホテル前には桟橋があって、グラスボートやカタマランヨットなどがある。砂浜からでも小さな魚が泳いでいるのが見えるのだが、しかし、そこには遊泳禁止の看板が! 海では泳げないのかと思ったら、ブイで区切られた四角い場所だけが遊泳区域らしい。クラゲよけなのかなあ。部屋にカメラを忘れたのは失敗だった。
夕食はカジュアルな洋食レストランのメニューを見たら、イマイチそそらないので、和食の店に入った。好都合なことに座敷の個室があったので、チビ助にはラッキー。メニューは、沖縄風の懐石コースとオリオンビールだ。なかなか美味。カブの煮物などは薄味でチビ助にもOK。帰りに、日が暮れた敷地内を散歩していると、ホテルのあちこちに鳥が飼われている。オオムの太郎、サイチョウ、etc.…。
部屋に帰ると入浴と天気予報のチェック。やっぱり風呂は広い方がいい。台風は宮古島付近でゆっくりと西に進んでいるが、北東方向に進路を変える可能性もあるらしい。え〜い、あっち行け〜!
●9月21日(火)−−第2日目
朝7時ごろに起きてみると、雲の流れは早いものの雨は降っていない。台風情報をチェックしようとテレビをつけると、台湾で大地震が発生したとのことだ。う〜ん、台湾に行かなくて良かった。行こうと思っていた最南端のほうは被害が少なかったようだけど、それでも道路や空港とかが混乱するだろうし、のんきに泳いでいられる気分じゃないだろうから。台風の方は宮古島付近でほとんど停滞しているらしい。
朝食はとりあえずカジュアル洋食のバイキングへ。やっぱりチビ助は落ち着かず、慌ただしく済ませた。味の方もイマイチだったなあ。土産屋の前で朝市をやっていたので、黒砂糖の飴を購入。バナナは熟していないので、滞在中にチビ助に食べさせられそうもないということで断念。
雨も降っておらず、時折陽射しも見える天気なので、午前中はプールに行くことにした。まずは屋外プールに行ってみる。水温は28度といったところか。チビ助を乳幼児用のお尻が抜けない浮き輪でプールに入れると、「なに?」っていう感じ。お風呂とは違うらしいと思ったのかな。やはり少し水温が低いようなので、室内プールへ移動。こちらは32度くらいはありそう。10分も遊んでいるとチビ助もリラックスしてきて、休憩しつつ30分ほど泳いだ。
その後で、水中展望塔に行こうと思って、マリンアクティビティの受付の表示を見たら、強風のため中止らしい。そのまま散歩がてら、イタリアンのレストランに行く。席に着いたとたんに土砂降り。スパゲッティとピザを食べた後、売店で沖縄限定「梅味カール」などを購入した。土砂降りは続き、ホテルのパラソルを借りて場内移動用のシャトルバスでフロントまで送ってもらう。
部屋に戻ると、ハウスキーピングが終わっていない。昨日の部屋のやりくりで混乱しているのだろうか。泳いだせいかチビ助は良く眠るので、ごろごろして過ごす。夕方、ホテルショップで買い物をして戻ると、ようやく部屋の片付けが入っていた。各部屋にビニールの雨ガッパと台風の注意書きが配付されていたのには感心した。やっぱ、慣れているのかな。サッシの溝にはスポンジがはめてあり、海では浮桟橋やブイなどを撤収している。
昼食時の教訓から、そのカッパを来て飲茶レストランに夕食をとりに行く。テキトーにコース料理を頼んだら、冷凍食品ばかりのようで、あまり美味しくない。同じ料理がバーミヤンなら安く食べられそうだった。やはりチビ助は落ち着かなかったが、隣の席に来た赤ちゃんを見て楽しそうだった。帰りがけ、雨が降っていないので、ゲームセンターに寄ってプリクラを撮影した。フレームを選ぶのにあれこれ悩んで、「ゴーヤ」のものにしようと思ったら、なぜか「ミス沖縄」のハイビスカスになってしまった。偶然、チビ助の帽子にハイビスカスを差していたので、まっ、いいか。ついでに、売店でオリオンビールを購入し、台風に備える。
入浴後にニュースをチェックすると、あいかわらず台風は宮古島付近で停滞しているらしいが、今後はゆっくりと北東に進むらしい。NHK沖縄のアナウンサーの何気ない「あさっては大荒れですね」という一言が不安をあおる。まあ、これから速度を上げるらしいし、飛行機は午後だから、何とか帰れるかもしれないなあ。でも、どこにも行けず、何にも見れないで帰る感じだ。
●9月22日(水)−−第3日目
朝起きると、風は強いが意外に天気は荒れていない。困ったな。天気予報を見ると、台風は沖縄本島に向かって非常にゆっくりと進んでいるらしい。時速10キロ未満ということだ。計算してみると。明日の昼までに暴風圏から抜けるのは微妙な状況だ。少しはスピードアップしてくれないとなあ。AFN(米軍の放送)のテレビでは、「スーパータイフーン・バート」とか言っている。学校の休校や公官庁の休業、バスの運休などが、早々に決まっている。もちろん、飛行機は全便欠航だ。
朝食は、初日に夕食を食べた和食レストランに行ってみた。意外なことに朝食でも座敷の個室が使えたため、楽に食事ができた。けっこう子連れの客が多いので、座敷は重宝されているようだ。メニューにはお粥や卵豆腐も入っていたので、洋食バイキングよりもチビ助には何倍も良い選択だった。朝市で天然塩を購入。
朝食後は室内プールに一番乗り。後から来た子連れの人は、昨日、福岡から着いたそうだ。明後日に帰る予定だそうだが、沖縄を離陸はできても九州に着陸ができないかも、と心配していた。だんだんと天気は荒れてきて、窓には×印にテープが貼られ、デッキチェアやテーブルなども軒下でロープをかけられている。
やはり、チビ助は泳ぐと良く眠る。ふだんは30分以内しか昼寝をしないのに、ここでは1〜2時間は眠る。売店にタバコを買いに行ったついでにチェックすると、和食レストランで「沖縄そば」をやっている。これを食べない手はないので、「うちなーランチ」とともに食べることにした。
午後は大荒れになってきて、何もできそうにない。一応、荷造りなんかもしてみるが、明日帰れるかどうかわからない。延長戦に入ったら、衣類が足りなくなるなあ。海用のTシャツを使わなかったから、上半身は大丈夫だけど、下着のパンツが不足しそうだ。洗っておかなくっちゃ。
夕食は選択の余地がなくなってきたので、またしても和食レストランへ。強風のため、テラスを通って行くことができないので、売店の中を通り抜けて行く。選択したメニューは琉球薬膳料理のコースと握り寿司、それに泡盛を少々だ。だんだん店員達と顔馴染みになってきてしまった。薬膳は少しクセの強い料理が多いが、いかにも沖縄っぽい。握り寿司の方は少しハズレかな…。
台風の方は今夜が峠だと思われるが、あいかわらず「ゆっくり」とか「時速10キロ」とかで進んでいる。高速道路も通行止めになったようだし、停電も増えた。南東の風なので、ビーチ側は建物の陰であまり風がひどくないのだが、ロビー側はすごいことになっている。我々の部屋の廊下は半屋外になっているので、飛ばされた葉っぱと雨で少し危険な状態だ。時折、部屋の中にいても風圧で耳がツーンとする。地上で「耳ヌキ」をすることになるとは驚きだ。
●9月23日(木)−−第4日目
朝起きてみると、風雨が弱まっているようには見えない。ただ、風向きが西寄りに変わっている。ピークは通り過ぎたということだろう。ニュースを見ると、全世帯の4分の1が停電しているらしく、復旧が遅れると電話も不通になる可能性があるらしい。風速も返還後最大を記録したようだ。那覇は昼前には暴風圏を抜けるらしいが、空港の映像は人間が外出するのに適しているとは思われない。午前中の飛行機は欠航が決まっているらしい。午後はどうなのだろうか。
朝食のために和食レストランへ行こうとすると、通路代わりに使う売店が開いていない。何とか屋外を通らずに行こうとするが、あと1歩。いつもとは違う場所で準備をしていた朝市のお姉さんに助けられて、迷路のような従業員通路を使い、何とかレストランへ。平常心を失っていたのか、朝食券を部屋に忘れてきたが、とりあえずそのままOKということになった。帰りは売店が開いていたので大丈夫だったが、部屋の前の廊下は浸水していて、土嚢なんかが積んであるる。フロントで尋ねてみると、今日は部屋に空きがあるそうだ。
8時ごろスカイホリデーに電話してみると、3回目で通じた。やはり帰りの飛行機は欠航らしい。キャンセル待ちで行列せずに乗れるのは、2日後の午後になるとのこと。仕方なく予約を入れて、今度は部屋の手配だ。2泊の延泊はすぐにおさえることができ、とりあえずは一安心。台風の特別割引料金があるらしい。チビ助を連れて空港で待ち続けるような事態だけは避けられた。明日になれば、どこかに出かけることもできるだろう。早速、従業員が2日分の朝食券を届けに来た。代わりに今朝の分の朝食券を渡す。
午前中は日課になった室内プールに行く。プールの中で別の親子連れに水中カメラのシャッターを依頼すると、少し変な顔をされた。本当は今日帰るはずだったが明後日になったと言ったら、「思わぬロングバケーションですね」と言われた。こんなことなら、朝市でバナナを買っておいても良かったなあ。
部屋に帰ると、これまた日課のようにチビ助は眠り、フロントからの伝言で、部屋を移動しろとのこと。確かに、あの廊下の有り様じゃあ、部屋掃除もままならないだろう。荷物を整理し、チビ助が目覚めたところで本館の9階へ。途中、ロビーには出発待ちの人々が疲れた顔で座っていた。9階の廊下は建物の中なのだが、やはり浸水している。オープンエアーな雰囲気が売りの建物の構造が、アダになったようだ。サミットまでには何か対策をした方がいいぞ。今度の932号室は、少し狭い。窓が南西向きのため、今の風をモロに食らうので、ヒューヒューという音もすごい。
和食のメニューは食べ尽くしたので、昼食はカジュアル洋食へ行き、カツカレーとハンバーガーを注文したのだが、やはりチビ助が落ち着かず、食べ終わったときには何だか疲れてしまった。午後は新聞などを読んでだらだらと過ごす。明日は晴れるかもしれないので、どこかに出かけられないかとパンフレットなども検討した。かといって、あまり遠くへは行けないだろうなあ。天気は一進一退を続け、夕方には少しマシになってきた。本当は最も客が多いハズの飛び石連休初日に飛行機が欠航し、ホテルはガラガラのようだ。ニュースを見ると、沖縄ではケガ人は出ても、死者が出ていないのは感心だ。
さすがに気疲れが蓄積したので、夕食はルームサービスを注文し、待つ間に入浴していると、旅行屋の加藤さんから電話が入った。聞けば、我々の予約していた飛行機の次の便から飛んだらしい。「レンタカーを借りていないから、どこにも行けませんねえ」とか言うので、「あっても恐くて運転なんかできない」と答えると、「そんなにすごいんですか」と驚いていた。その他、オーバーブッキングや延泊料金の話などをするうち、クサクサしていた気分が少しずつ晴れてきた。
ほどなくルームサービスが届くと、チビ助は働くお姉さんを興味津々で見ている。聞けば、昨夜も午前2時まではルームサービスをやっていたそうだ(本来は24時間)。それで、夜中に台車のようなガラガラいう音が聞こえたのか…。台風で中止だとばかり思っていた。メニューは、カルパッチョと海老フライとシーフードサラダ、それにパン。オリオンビールを飲みつつ、他人に気兼ねなく、ゆっくりと食事ができた。
●9月24日(金)−−第5日目
沖縄は台風一過で晴れてきたが、九州では大変な被害になっているようだ。この日も朝食は和食レストランへ。ビーチでは桟橋の復旧作業が始まっている。せっかくの好天なので、どこかに行きたいが、オープンしているかどうかが問題だ。熱帯植物園とかパイナップルパーク、ハーブ園などは荒れてしまっている可能性が高い。コンシェルジュに聞いてみると、「琉球村」は営業しているらしい。沖縄らしい雰囲気を味わうには悪くない選択だろう。タクシーで30分ほど進む間、道路では倒木などの片付けが進んでいる。店の看板を直しているので、飛ばされたのかと思ったら、台風が来る前にあらかじめ取り外してあったらしい。さすが、台風慣れしている。だが、砂糖キビやバナナの被害は大きいようだ。昨夜は、午前3時頃まで飛行機が飛んでいたそうだ。
琉球村は、沖縄の伝統的な生活や芸能を紹介するテーマパークだ。まずは太鼓の歓迎。少し進むとハチドリを発見。花の密を吸う姿は、本当に大きな蜂のようだ。妻は、おばあちゃんの手作りの「げんこつドーナツ」を100円で購入。そのウマさに感激して、台風や食事でクサクサしていた気分を吹き飛ばした模様。確かに、ホテルの売店で購入した袋詰めのものとは大違い。やっぱ、手作りの揚げたてにはかなわない。妻は次に通りかかった客にまで「美味しいですよ」とか言って宣伝しており、売り子のおばあちゃんは大喜びだ。ヤギや鶏が歩き回る伝統家屋の庭で三線(蛇味線)を聞き、再度、入り口に戻って、今度はエイサーのパフォーマンス。間近で大きな太鼓の音が鳴ってもチビ助は動じない。最後に太鼓手にダッコしてもらって記念撮影。ついでに入場券確認のおじいさんとも記念撮影。その後、売店でアイスを食べようと思ったら、停電で全滅しているそうだ。ジュースを飲み、我が家の怪しい神棚用にシーサーを購入。伝統舞踊のステージを見ようと思ったが、チビ助が飽きてきたので離脱、お土産の泡盛などを購入して帰ることにした。
途中、コンビニに寄って食料を購入する。妻は何を思ったか豆腐を買っている。まあ、チビ助も食べられるからいいか…。ホテルのロビーには赤絨毯が敷かれ、祭壇が出来ている。今日は結婚式があるそうだ。部屋でコンビニのパンやオニギリを食べようとして、醤油を忘れたことに気が付いた。すかさず、妻は和食レストランにチビ助を抱いて行き、「スルメを食べる」と偽って、タッパーに醤油をもらってきた。和食レストランには何度も行っているので、従業員と顔馴染みになっており、更に、客がいなくてヒマだったようだ。
午後は結婚式の見学に行く。時間になると正門にストレッチ・リムジンが到着し、ドレス姿の花嫁が登場。迎えた花婿と共に、パイプオルガンの演奏の中、赤絨毯を進む。両親や親戚などの参列者は居ないようで、友人が1人だけ写真を撮ったりしている。我々も南の島で2人きりで式を挙げ、他の宿泊客に参列してもらった経験がある。そこで、マネージャーの勧めに従って、3人で列席することにした。他にも若いカップルが1組だけ参加。途中、チビ助が飽きてしまったので、妻は周囲を歩き回りながらあやすが、さすがに中座するのは失礼だろうから、最後まで見届けた。
まだ海の波は荒いので、その後は最後のプールへ。夕方は夕陽を見ながら岬の突端まで散策した。海中展望塔の入り口は封鎖されており、ホテル前と違って風もまだ強い。この日、チビ助の便秘の事態改善を図る。すごく怒りながらも、いくぶんスッキリしたようだ。
夕食は入浴後にルームサービス。メニューはスモークサーモンとカモのコーヒー風味、それにビーフカツレツとパン。ミニバーのドイツ白ワインと、琉球村で買ったオリオンビールも開ける。そういえば、ホテルの部屋着は麻のような素材のシンプルなもので、なかなか快適だ。売店でも売っているようなので、お土産にしようかとも思ったが、値段が高いので断念。まあ、デザイン的にオウムの信者と間違えられる危険性もあるかな。
●9月25日(土)−−第6日目
今日も晴天。朝は和食レストラン。ビーチの方は復旧が進んで海水浴も可能なようだが、チビ助を抱いて入るには少々波が高い。フロントの情報では海中展望塔も休みだとのことだが、とりあえず、そちらの方面に散歩。入り口は封鎖されていないので、桟橋を沖に向かって歩く。途中、海中にダツやベラの仲間が居るのが見える。最先端まで行くと、展望塔への降り口が開いている。復旧作業中の係員に尋ねてみると、ほとんど何も見えないので、半額で営業しているらしい。階段を降りると、水深4メートルの部分に船のような丸窓があり、透明度は2メートルといったところか。それでも先程のリュウキュウダツやハマフエフキ、オヤビッチャなどが群れている。黄色いヤガラやツノダシなんかも見える。まあ、少しでも海の中が見れて良かった。帰り道、後から来る若人がダツを見て、「サンマみたいなのがいる」と言っていたのが可笑しかった。
10時半ごろにチェックアウトして、シャトルバス代わりのタクシーで空港へ。チビ助が飽きそうなので高速道路に入ってもらったのだが、料金が安いので驚いた。最近、値下げしたらしい。往路の教訓から空港で軽い食事を取り、その後で売店をチェック。ウコン茶や砂糖キビを購入したが、花パイナップルは断念。セキュリティ・チェックを通る前に懸案のブルーシール・アイスを購入したのは失敗だった。X線検査に通そうとすると、係員から「それは手に持ったままで」と笑いながら指摘されてしまった。何と、その先でもアイスを売っていたのだ。
搭乗までの時間は交代でチビ助を抱いて歩き回る。チビ助は「電池切れ」間近のため元気いっぱいだ。まあ、飛行中に寝てくれたので良しとしよう。離陸直後の飛行機の窓からは万座やブセナが見え、進むにつれて西南諸島の島々も見下ろせる。そのウチにウトウトしてしまい、気が付いたら房総半島の南端付近だ。東京湾に沿うように降下し、ディズニーランドや臨海副都心も見える。レインボーブリッジも見えたが、ANAでその件に触れるのは禁句かもしれない。
4時半ごろに着いた羽田では、バゲッジ・クレームから逆行できないように監視が厳しく、立ち止まったりトイレに入るのも容易ではなかった。後はエスカレーターやエレベーターを乗り継ぎ、京浜急行で蒲田へ。京急蒲田からの徒歩行程では、ベビーカーに乗ったチビ助が泣き叫ぶが、周囲が静かでないのが救いだった。台風の影響で南風が入っているため、東京は沖縄よりも蒸し暑い。ヒヤヒヤもので電車を乗り切り、6時頃に下車。途中でパンとジュースを買って、何とか帰宅した。沖縄滞在中に「お座り」が上達したチビ助も、我が家に戻ってリラックスしたみたいだった。
折中 良樹