■はじめてのファミリーキャンプ・榛名山

★旅のデータ
 期間  :2003年8月26日(火)〜28日(木)
 行き先 :群馬県榛名町/榛名山
 宿泊施設:榛名湖オートキャンプ場
 交通手段:自家用車
 メンバー:私、妻、チビ助(4才6ヶ月)
☆アウトドアのエキスパートなのにキャンプ嫌いの父親が、
 はじめて家族連れでレジャーのキャンプにチャレンジだ。

◆プロローグ
 家族が「キャンプに連れて行け」などと世間並みのこととを言う。まあ、義務で過酷なキャンプをすることもなくなったので、それも悪くないのかもしれない。だが、どんなキャンプをすればいいのだろうか。テントで寝て薪で炊事する本格的なキャンプを体験したいのか? 家内の日常を見ていると、テント暮らしに馴染めるとは思えない。だが、焚き火は好きそうだ。でも、ススだらけの鍋を磨くのは嫌いだろう。となると、バンガローに泊まって、バーベキューでもしてお茶を濁すか…。
 キャンプと言えば、涼しい高原が嬉しい。海辺は楽しいのだが、暑くてキャンプには辛い。海に行くなら民宿にしてほしい。関東近郊で高原のバンガローという条件なら、栃木、群馬、山梨あたりということになるだろう。場所や設備、値段や混み具合などを勘案した結果、「榛名湖オートキャンプ場」が魅力的に思えた。標高が高いから涼しいだろうし、上越国境よりもかなり手前なので、それほど遠くもないだろう。湖やロープウェイもあるし、少し足を延ばせば、観光牧場や温泉も堪能できそうだ。時期は仕事の都合で8月の下旬ということに。
 というわけで7月23日に予約が取れたのだが、2003年の夏は何とも皮肉な気候になった。梅雨明けはいつだかハッキリしないし、冷夏と雨で「避暑」という目的の高原も、有り難みが目減りしてしまった。それでも夏はお祭りなどのイベントが目白押しで、それなりに盛り上げるように努力した。だが、キャンプ前日に夜遊びし、山下公園から最終のシーバスで帰って来たのは、ちょっと調子に乗り過ぎだったかもしれない。

●8月26日(火)−−第1日目
 初めてのことなので少々支度に手間取って、自宅を出発したのは9時45分くらいだった。首都高の湾岸線は大して混んでいなかったのだが、中環はひどく渋滞していた。朝の第三京浜の上りの渋滞と都内の一般道を避けて大回りしたのが、思いっきり裏目に出てしまったようだ。ようやく外環の新倉パーキングでトイレに入って一息ついたものの、今度は大泉ジャンクションが渋滞で、関越の上里サービスエリアにたどり着いたときには、早くも疲れ果ててしまっていた。
 本来ならば高速を下りて渋川あたりでの昼食を予定していたが、既に昼時を大きく過ぎていたので、仕方なく上里SAで食べることにした。いい加減、狭い車内に閉じ込められることに飽きていたという事情もある。まず、焼きたてパン屋さんでピザトーストとジャーミードッグを買い、キャフェテリアでラーメンとうどんを注文。とりあえず腹が落ち着いたので、生き返った気分だ。トイレの前では草津温泉の広報部隊がパンフレットと温泉の素、それと手ぬぐいを配っている。霧雨の中、PA付属の公園でしばし遊んでから出発。
 渋川伊香保インターで関越自動車道から下りると、榛名山方面に向かいつつ買い出しのスーパーを探す。途中、サティの看板を見かけたのだが、しばらく進むと、閉店して廃墟のようになったサティが見つかった。他のスーパーを探そうと思って走っていると、偶然に西友の入沢店を発見。お酒も売っているので助かる。その他アレコレと買い物をして、この時点で午後3時を少し過ぎていた。
 その後は一路、榛名山を目指して進む。途中、伊香保の温泉街を通り抜け、草原の一直線の道路を過ぎると、いよいよ榛名湖畔だ。最初なのでキャンプ場へ直行するルートは取らずに、湖を時計回りに周遊するコースを選ぶ。湖の北側で湖畔に下りれそうな場所を見つけたので、車を止めて休憩。相変わらずの霧雨が恨めしい。
 チビ助は水遊びをしたいとか、泳ぎたいとかタワゴトを言っているが、肌寒いような気候だし、もう夕方も近い。無視して車に戻ろうとしたそのとき、水の中で光るものが目に付いた。何だろう? 落ちていた木の枝で引き揚げてみると、それはバーベキュー用の焼き網だった。たぶん、1回しか使用していない感じだから、誰かが不法投棄したか、誤って落としたものであろう。我が家は買うかレンタル品を借りようと思っていたので、「湖の精」が気をつかってくれたのかもしれない。ただし、金や銀の網ではなかったが…。
 キャンプ場に到着したのは、だいたい4時頃。場内はナカナカいい雰囲気で、ログハウス風のバンガローも真新しい。チビ助は「シルバニアのおうち!」と言って喜んでいる。確かにちょっと似ているかもしれない。私が荷物の整理などをしている間、チビは広場で遊ぶ。丸太とロープのワイルドなブランコなどが楽しそうだ。一方、家内はせっせと薪拾いをしているのだが、今年はやめておいた方が無難だ。ずっと続いた長雨のせいで、たっぷりと水を含んでいる。バーベキューは持参の木炭でやるにしても、焚き火をしたいのなら薪を「買う」しかない。
 木炭が充分に燃えるまでは少し時間がかかるので、なし崩し的にバーベキューに突入する。次の予定とイベントの切れ目がわかりにくいので、娘は気分的に落ち着かないようだ。昼寝をしていないのと、長旅の疲れもあってか、少しハイテンションになりながらウロウロしている。それでもまあ、楽しそうではあるのだが、あまり食は進まない。慣れないメニューということもあるかもしれない。
 そのうちに雨がひどくなってきたので、適当に打ち切って管理棟のコインシャワーに行き、早めに寝ることにした。部屋に除湿器が付いているのが有り難い。

●8月27日(水)−−第2日目
 深夜に強い雨が降ったが、朝は薄曇りで悪くなさそうな天気。朝食は自堕落にカップラーメンで済ませる。本日の目的地は観光牧場と温泉プールだ。昨夜のシャワー時に、受付でパンフレットや割引券はゲットしてある。
 榛名山を下る道は、カーブの連続でなかなか楽しい。たぶん、ここはマンガの「頭文字D」の舞台になった道なのだろう。上りだと我が愛車はパワー不足だが、下りなら問題ない。途中、雲間から下界の展望が開けたので、しばし休憩と記念撮影。
 伊香保の温泉街の少し下にある「グリーン牧場」は、都会育ちの子供には良さそうな場所だ。パンフレットの案内図を見ながら場内の位置関係を把握しようと歩いていると、10時からアヒルのレースがあるそうだ。見学するだけのつもりだったが、参加者が少ないらしく、盛んに勧められる。お嬢様の状況認識力に不安があったので、黒子として父親が背後に付く。要するに小さな旗の付いた棒で、自分のアヒルを追い立てるのだが、アヒルの首輪の色と旗の色が一致するようになっている。案の定、姫はゲームの主旨が理解できずにボンヤリ気味。まあ、普段から「急ぐ」とか「競走」とかいう概念とは馴染みがないからなあ…。当然、結果はビリ。参加することに意義があるということで、まあ良しとしておこう。
 11時からは牛の乳搾り体験教室があるのだが、まだ少し早いので、近くの牛舎を見学する。ボチボチと歩いて乳搾りコーナーに行くと、既に短い行列ができている。子供たちがワイワイと騒がしく、母親たちの会話もかまびすしいのだが、それより何より、急に陽が差し始めて、暑くなってきてしまったのだ。いいんだか、悪いんだか…。乳搾りそのものは、ものの数十秒で終わりだが、これはチビ助に強烈な印象を残したようだ。以来、小僧が乳搾りマニアになってしまうとは、このときはまだ知る由もない。
 暑くなったので、はやり牧場と言えばアイスだろう。ノンビリと名物のアイスクリームや牛乳に舌鼓を打っているうちに、11時半からのシープドックショー(牧羊犬による羊追いのデモンストレーション)の時間になった。小走り気味に会場に向かう途中、草原の彼方の斜面を羊の群れが近づいて来るのが見えた。なかなか感動的な絵柄だが、チビ助には見えなかったかもしれない。その後のお利口な犬の芸などは、まあ予想通りだったが、羊の毛刈りの実演は面白かった。その場で刈った毛の一部は、お土産として貰える趣向だ。洗い方を説明したプリントまで用意されている。これもまた、チビには印象深かった模様。ただし、単にバリカンが気に入っただけかもしれないが…。
 昼時になったので、「ウエスタンタウン」に移動。ここは西部劇の世界を再現した街で、保安官事務所や牢屋、銀行などがある。もっとも、チビにはスタンプラリーのロボットの方がお気に入りだったようだが…。タウンの中のお店では実際にハンドクラフトなどの土産物を買ったり、「サルーン」で食事をすることもできる。ここのハンバーガーは、なかなか美味。ファーストフード店のものとは大違いだ。お土産は小さなタオル。絵柄が牧場の看板と同じなので、あとで思い出すにはいいだろう。
 午後は渋川市内の「スカイテルメ」へ。温泉は他にもあるのだが、家族で水着で楽しめるのは、近隣ではここくらいのものだろう。値段もけっこう安い。ただし、プールの中で浮き輪が使えないので、備え付けのウレタン製のライフジャケットのようなものを使うことになる。意外にもコレは好評だった模様。浮き輪よりも自由に動けるし、手で持たなくても水没の心配がないからかもしれない。来年までに安くてコンパクトなもののを探して買っておこう。チビ助はリラックしたのか、滑り台の上から手を振ったりしている。イマイチ愛想の良くない娘なので、他所様とは違って、そんなことは今までなかったのだ。屋外のジャグジーで田んぼを見ながらノンビリするのも悪くない。
 2時間ほど遊んでから、買い物に向かう。近くにセキチュー(ここまで来てセキチューかよ!)があったので、寄って投げ売りの花火セットと銀塩カメラ用のフィルムを買う。後は前日と同じ西友で買い出しをして、キャンプ場に戻るだけだ。
 キャンプ場に戻ったのは5時近く。またダラダラとバーベキューをしていると、少しお客が増えて来た模様。それでもガラガラの空き空きであることに違いはないが…。ダラダラしすぎてシャワーの営業時間がギリギリになってしまってあわてる。

●8月28日(木)−−第3日目
 最終日の朝食は、少し真面目に米飯と味噌汁、それにシラスを食べる。天気は霧雨模様だが、チビ助はめげずに丸太のブランコが楽しいらしい。山頂へのロープウェイにも乗りたいけど、この天候では無意味だろう。それでも一応は湖の方へ向かったところ、ここで重大なミスに気づいてしまった。せっかく拾った焼き網を、キャンプ場に忘れて来てしまったのだ。榛名湖の精が出て来て、「アナタが忘れたのは、この金の網ですか?」とか聞いてくれいないかなあ…。ちなみに、後で調べたところ、この網はホームセンターで200円くらいで売っていた。
 雨なので、屋内施設の「おもちゃと人形博物館」に行ってみる。ここでは入場券の代わりにキュピーを渡されてビックリ。内部はテディベアミュージアムのような感じなのかと思っていたら、なかなかレトロなスポットなので中高年でも楽しめそうだ。
 昼食は「はちみつうどん」の「山一屋」へ。ここはリーズナブルな価格で、天ぷらも美味しい。「茹でたウドンに蜂蜜をタラ〜リ」という映像を思い浮かべた人は、きちんと反省するように。
 帰路は前橋インター入り口を誤って通過してしまったため、市街地を見学しつつ一般道を走り、藤岡インターから関越自動車道へ。途中、上里サービスエリアで休憩し、公園で遊んだり、ダンゴを食べたりして過ごす。雨は上がりつつあったのだが、その代わりに蚊が多くなって閉口した。以降のルートは往路の反省をふまえつつ、練馬インターから目白通りを通って環七に入り、最後は目黒通りから第三京浜を使うことに。運良く渋滞らしい渋滞には一切遭遇せず、非常に順調に帰宅できた。

◆エピローグ
 実はたまたまキャンプ場で10リットルのポリタンクに水を入れたままだったのだが、せっかくなのでその水でお茶やコーヒーを入れると実に美味しいのである。ちょっと得した気分だ。
 さて、初めてのファミリーキャンプが渋滞や雨で散々だったので、もう二度と行くこともないだろうと安堵していたのだが、家族の反応は意外だった。チビだけでなく、土にまみれるのが嫌いな家内までもが、当たり前のように「次」とか「今度」などと言うのだ。それも来年のことではなく、もっと近い日程を考えているらしい。どうも良くわからん。

折中 良樹

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