「勉強会」那珂川巡検
2001年7月14日調査
ポイント1(ひたちなか市那珂湊富士の上)
地形単位:中位段丘1
堆積物の観察:
標高22m程の中位段丘1(M1面・上市段丘)の段丘面露頭で、M1面としては最も下流の低い位置にある。露頭は下から段丘礫層を覆って海浜相と思われる砂層が見られ、さらに浜提間低地相と考えられる砂鉄質の砂層が続きローム層が覆う。テフラは風成では上からKP,UP,NkP,Ibaraki-Uが見られ、特にIbaraki-Uが明瞭である。堆積物中には浜提間低地相に軽石が散在し、海浜相にも薄層のテフラが見られる。このテフラはIbaraki-Lであった。したがってここはMIS5cの段丘面(小原台面)ということになる。
段丘礫層上に海浜砂層が載るので、MIS5dの海退からMIS5cの海進へ転じている証拠と見なされる。
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ポイント2(ひたちなか市磯崎灯台下)
地形単位:沖積段丘
堆積物の観察:
白亜系那珂湊層群を切って、砂礫層からなる離水波食棚の沖積段丘が見られる。所によって段丘面の埋没谷を埋める黒色粘土層が見られる。段丘堆積物は砂礫層だが、前面の海岸に見られる現世の波食棚には堆積物は見られないので、この離水波食棚の砂礫層は背後の洪積段丘堆積物からもたらされたと考える。しかし洪積段丘堆積物中には見られない巨礫も含まれ、これは高潮・津波によるイベント堆積物の可能性がある。
波食棚面の標高は調査時の海面から5.1mだったが、那珂湊港での平均潮位をTPと見立てて換算すると下記の標高が導き出される。
調査日時での那珂湊港での潮位 95cm、那珂湊港の平均潮位 80cm 5.1+(0.95-0.80)=5.25m
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ポイント3(ひたちなか市部田野釜上神社)
地形単位:離水波食窪
地形の観察:
離水波食窪と神社のご神体に潮吹き穴が見られる。磯部(1986)によれば、この波食窪の高さは7.1m,6.4m,6.1m,5mの4段に揃い、それぞれ海水準の停滞時期に一致するという。最下部の5mが沖積段丘面の高さと一致することは注目に値する。
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ポイント4(ひたちなか市部田野)
| 標高27.5mの中位段丘1の露頭、段丘礫層上にシルト層が覆い、さらに砂鉄質の砂層が覆うという特徴がある。上部の砂層は富士の上の露頭に見られるような海浜相の影響と考えられる。 | |||
| 標高20mの中位段丘2の露頭、基盤の第三紀部田野層を覆って薄く見和層上部層の砂層と段丘礫層が覆う、下位の段丘礫層は赤く色づいておりやや風化しており、上部に砂鉄質の砂層を含む。上位の段丘礫層は礫径は同じだがやや角礫度が高くルーズであり、礫は色づいておらず新鮮である。この2種類の段丘礫層の境界上の礫は表面に褐色の皮膜が見られる。これは地下水位がルーズな上部の砂礫層から浸透し、緻密な下部の礫層で浸透せず停滞した結果形成された2次的なものと考えられる。これらの礫層は形成年代が異なると考えられ、後述するように2種類の礫層が見られる段丘面は中位段丘2以下の段丘面で分布することから、赤い礫層が中位段丘1の礫層、白い礫がそれを切って堆積した中位段丘2以下の礫層であると言える。この下位の赤い礫と上位の白い礫との境界にスコリア質の砂が見られ、洗うと火山ガラスも含まれたIbaraki-L火山灰であった。これは中位段丘1の離水年代はMIS5cであることを示す。 | |||
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| 低位沖積段丘面上の河岸に近い位置で深さ50cmほどのトレンチを掘った。洪水で漂着したと考えられるビニール片や材が下部から産出し、また下部ほどシルト質となり逆グレーディング構造を示すことから、この堆積物が1998年か1986年の洪水堆積物であることを示す(後者の可能性が高い) | |||
ポイント7(水戸市東前町)
| 沖積面との比高が1mほどの段丘面だが、検土杖ではローム層が検出され、ロームを載せる洪積世の段丘であることがわかる。さらに造成工事露頭でKPを載せる段丘礫層が沖積面下に潜ることが観察され(写真左)、下位段丘1(L1面)であることがわかる。さらにその上に中位段丘3(M3面・谷田段丘)も見られる(写真右)。 | ||||||
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| さらに造成工事現場では中位段丘2(M2面・塩ヶ崎段丘)の露頭が観察された。中根鉱泉裏と同様な下部に赤い表面のみ風化した礫、上部に白い新鮮な礫層が見られ、Miwa-U以上の風成ローム層に覆われる。この赤い礫層はM1面の段丘礫層で、白い礫層はM1面を削ったM2面の礫層である。M1面の段丘礫層はL1面段丘礫層の下部にも見られ、M1面は厚く広く分布する堆積段丘であることがわかる。一方M2面は下流でやや礫層が厚くなり面も広くなるので堆積段丘に変化する、M3面は礫層は薄く浸食段丘である。海岸付近の堆積段丘であるということは、海退→海進という海面変動に関係した段丘でありMIS5cおよび5aの海面変動に関係した段丘という可能性が高く、浸食段丘であるということは浸食基準面の低下、つまり海退する一方であり、MIS5から4にかけて形成された段丘ということになる。 | ||||||