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余丁町散人(橋本尚幸)
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2003.5.30


ルモンド社説。イラクの大量破壊兵器はまだ見つからない。もともとこんなものはなかったと知りながら世界を騙して戦争に引っ張り込んだとしてアメリカとイギリスを非難する社説です。「勝てば官軍」だし、人はすぐに過ぎたことは忘れてしまうもので、ブッシュは「もういいではないか」と誤魔化しにかかってますが、フランス人はしつこいですよ。米仏間の摩擦は当分続くでしょう。どちらが損をするかと言えば、それはフランスに決まっているというのが一般的な見方ですが、そうではない。フランスが損をするのは経済的な面だけであり、それも時間がかかるゆっくりとした影響に過ぎない。それに対しアメリカが失うものは「信用」です。信用は築き上げるのには時間がかかるものの、失う時は一瞬。アメリカの失ったものは大きい。

L'éditorial du Monde
L'aveu américain


ルモンド社説
アメリカの告白 (2003.5.30)

つまり、疑いもなく、これは近年まれに見る国家的大嘘だったというわけだ。たぶん意図的に事実をねじ曲げた情報を、状況証拠は全くそれを裏付けていないのにも拘わらず、強引に流布し、世界の世論をして、イラクは大量破壊兵器を隠しているし製造している、悪の枢軸の一番の悪党独裁者であるサダム・フセインは、その大量破壊兵器を自分で使用するかアルカイダに供給するだろうことで近隣諸国やアメリカや世界全体に脅威を与えていると信じ込ませたのである。この国連査察官が10年がかりで見つけられなかった大量破壊兵器を破壊することこそが今回の予防的戦争を正当化させるものだったのである。

米国国防長官ドナルド・ラムズフェルドは、火曜日、「イラクは紛争が始まる前に(大量破壊兵器を)破壊することを決定した可能性がある」と宣言した。これは告白である。もう少し正確に言えば、アメリカとイギリスの当局者がこの三月にイラクのこの大量破壊兵器を破壊するための戦争を仕掛けた時には、彼等はほとんど確信を持ってこのような兵器はイラクに存在しないと言うことを知っていたという事実の告白の始まりと言うべきであろう。

イラクは1991年当時にはこの種の兵器を保有していた。しかし長年の国連による査察と兵器撤去により彼等の兵器庫は大幅に縮小されていたのである。サダム・フセインはまだ少し廃棄せずどこかに隠しているたのだろうか? もちろんそうだ。しかし一番あり得て裏付けのあるシナリオは、2002年11月に国連が国連決議1441を採択した段階でイラクはまだ隠し持っていた大量破壊兵器の残りを国連査察団がバグダッド入りする前に全部廃棄したしたというものである。

米英に反対してフランス、ドイツ、ロシアは国連査察は有効であるとしてその継続を主張したが、ワシントンとロンドンは、イラクが国連査察団を騙しているという「証拠書類」を振り回して、戦争は不可避であると主張したのだ。アメリカは持てる諜報機関のすべての能力を動員したが、疑いのない証拠というものは皆に示すことが出来ず、不完全は部分的な情報や疑わしい情報ばかりを示すばかりであった。端的に言えば、彼等は人を騙したのである。

戦争中には一切の大量破壊兵器がイラク側によって使われることがなかった。この紛争が終わって7週間たっても、この大量破壊兵器を探して見つける使命を持ったアメリカの調査チームは、いまだに「スモーキング・ガン」(確たる証拠)が見つけ得ないでいる。ジョージ・ブッシュとトニー・ブレアは、日ごとに、大量破壊兵器の存在を「確信している」と言い張ることが難しくなってきた。本当のところは、彼等はそれをはじめから知っていたのであると今日分かってきたが、戦争の目的は大老破壊兵器の廃棄にあったのではなく、バグダッドの政治体制を入れ替えて中東のリモデリング(再構築)を始めることにあった。大量破壊兵器は口実でしかなかったのである。

イギリスの前大臣のロビン・クックは、戦争に反対して辞任したのであるが、議会に対して本件の議会調査を求めている。このような国家による嘘に対して、民主主義の立場から、世界中の世論がすべての真実を知ることを要求するものである。

・ ARTICLE PARU DANS L'EDITION DU 30.05.03







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