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余丁町散人(橋本尚幸)
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2003.5.12


今回発表されたアップルの無料ソフト iTunes4 は革新的なソフトです。卓越した音質や直感的な操作性などのアップルならではの製品特徴を持っていますが、それ以上にすごいのはCD違法コピー問題に対する究極的な回答となるものと期待されていること。発表後1週間にしてすでに100万本の音楽ソフトが iTunes4 を通じて販売されたというからすごい。ルモンドがアップルのことをこれだけ誉めるのは珍しい。スティーブ・ジョブはマックの生みの親であるだけのことはある。


(ルモンド記事)

Au secours Steve Jobs, l'Internet se suicide ! (2003.5.11)


スティーブ・ジョブ様お助けを、インターネットは自滅する!

ロスアンジェレスとサンフランシスコは昔から仲が悪い。でもインターネットの出現で彼等同士のケンカは新たな段階に入った。ロスアンジェレスは映画の町で「コンテンツ」の町である。サンフランシスコは「入れ物」すなわちコンピューターの町だ。ハリウッドとその世界的スター達がまき散らす文化はシリコンヴァレーの反体制的エンジニア達は大嫌いである。逆にレコード業界や映画メディア業界は、ハイテク業界の技術の粋を尽くして海賊行為をする自由主義的な文化に対して暴力的に対応している。今日、インターネットバブルがはじけてAOLタイムワーナーやヴィヴェンディなどの巨大企業が破産してから二年、e ビジネスはいまだにこの二つの都市の間に、すなわちコンテンツと入れ物の間に、頭のよい妥協点を見いだせないでいる。そこでアップルの社長スティーブ・ジョブの登場である。

1990年代の終わりにナップスターが世界的な成功を収め音楽をコピーするソフトを6000万の出荷をしたことはよく知られている。全世界の十代の若者達はインターネットで音楽を手に入れそれをCDに録音して学校で売っていたのだ。

情報の自由

インターネット愛好者にとっては、歌や映画、新聞記事や書籍など、考えられるようなコンテンツはなんでもただで手に入れると言うことが当たり前のことになっている。編集者が代金を請求しても意地悪にも無視され、ハッカー達は情報のコピープロテクションを破ることを止めず、それが世界的に広がっている。コピーすることは、すべての人たちに知識と楽しみを提供しようと言う情報自由社会と社会の進化の名の下には、一種の遊びであり正当性を持つことなのである。

このようななんでもただという文化の行き着いたところは恐るべきものだ。レコード業界の売り上げは2002年には8%も、三年間連続で落ち込んだ。もし海賊行為が続くならば2004年の終わりには業界の売り上げはナップスター登場前のピークの1996年に較べ三分の一に落ち込むことが予想される。レコード業界はまさに生存の危機に直面している。商品に値段が付かないならばアーティストや音楽家やプロデューサーなどにどうやって報酬を払うのか。

創造力の欠如

インターネット愛好者の回答は、レコード業界や映画業界などの巨大企業が悪いというもの。あまりに商業主義に偏向しており商品や諸チャージの値段が高すぎるので創造力を阻んでいるというのだ。多分その通りかもしれない。でもそうはいってもなんでもタダにしたおかげで今後十年のうちに無報酬の新聞記者や歌手や俳優だけしかいなくなってしまうとどうなるのか。インターネットの兄弟げんかはインターネットの自殺である。

コンテンツ編集者側からの最初のリアクションは訴訟であった。米国においては司法は厳しい。著作権者を侵害したかどでナップスターは2001年に連邦裁判所の判決を受けた。ナップスターは消滅したが、KaZaA や Morpheux 等の司法的にはうまく逃れることができる新たな企業が生まれてきた。もっと更にユーザー自身を訴訟しようとする動きもある。レコード業界は4人の学生を相手に違法コピーのかどで15000ドルの罰金を払わせることになった。これはもちろんインターネット愛好者を当惑させた。でも違法コピーの数は増え続けるばかりで一日あたりに1億件を超えている。

二番目の対処法は海賊行為を海賊することだ。レコード業界はコピーすると自動的に破壊されるCDを販売始めた。マドンナは彼女の最新のアルバム「アメリカン・ライフ」にインターネット愛好者がコピーしようとすると画面に「下司やろう、何をしているの」という文字が出てくる仕組みを入れることに同意した。もっと上品に業界大手は海賊行為をブロックするウイルスの開発に資金提供をしている。違法コピーを試みるとハードディスクを破壊したりする暴力的なウイルスである。しかし、矛と盾の戦いのように、ハッカー達は常に防御システムを破るやり方を見つけ出すものだ。先に挙げたマドンナのCDにしてもネットでは既にしてその警告文が削除されたものが出回っている。

商品をそのままでネットに登場させインターネット愛好者をして徐々に代金を払わせるようにする、というのが最後に指向されるようになった対処法である。業界大手はインターネットサイトを開設しそこで彼等のCDをサブスクライバーを対象に販売し始めている。映画や新聞も同じことを始めた。でもこの戦略もコストがかかる割にはサブスクライバーが少なく期待はずれであった。インターネット愛好者は特定の一つの供給業者に縛られることを好まないのだ。

ジュークボックス

スティーブ・ジョブは魔法の鍵を見つけたと請け合う。彼は人気パソコンメーカーであるアップル社の創業者でシリコンヴァレーのヒーローだ。彼は楽しくて使いやすい製品を発明する常に並はずれた才能の持ち主であった。スティーブ・ジョブは、ユニバーサル社、ワーナー社、EMI社、ソニー社、BGM社の4つの主要大手会社を訪問し、彼等にコピーすることが簡単で安くそれでいて合法的なシステムをユーザーに提供することを説得してしまった。iTunes Music Store はパソコン画面上に巨大なジュークボックスを登場させるソフトである。マウスでクリックするだけで好みの局を99セントでコピーできる。居間や車の中やウォークマンや二三人の友人用に続いて複製を作ることも許可されている。

埋め草問題

ミスター・マック(ジョブ)にとってはCDを小売店で売る時代は終わったという。将来は一曲単位でのばら売りなのである。インターネット愛好家はCDの中の一曲や二曲だけが聴きたいのであり、CDの他の曲は往々にして埋め草にしか過ぎないので、一枚のCDに10ユーロや20ユーロも払うことを潔しとしない。「音楽業界は歴史的な岐路に立っている」とスティーブ・ジョブはフォーチュン誌で述べた。彼は口ばかりではなく実際にその製品を作る能力があるのだ。

彼は勝利するだろうか。ネットにおいては二つの解決策が考えられる。一つは9・11事件以後のもので閉鎖的なセキュリティーである。ブッシュ政権はそれを推し進めている。もう一つはアップル社のやり方でマーケッティングとテクノロジーによるものだ。すべてのコンテンツ業界は、アップルと提携した4大レコード会社に先を越されて、アップル社の iTunes の週間売り上げ数字の推移を、反発の目で見守っている。

Eric Le Boucher

・ ARTICLE PARU DANS L'EDITION DU 11.05.03









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