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余丁町散人(橋本尚幸)
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2003.4.11


イラク陥落を受けての今日のルモンド社説です。昨日散人が書いた「視点」コラムとほぼ同様の事を言っているのですが、レトリックと文章が段違いに違って、まるで「月とすっぽん」。さすがは思弁の国。散人は修行が足りません。
 
L'éditorial du Monde
Après la chute (2003.4.11)

ルモンド社説
崩壊の後


まず確かな事がある。とても簡単ではっきりした事で全く議論の余地はない事だ。4月9日水曜日、バグダッドが米英合同軍の手に墜ちてサダム・フセイン体制が崩壊した事は非常に素晴らしいニュースである。合同軍はイラク国民を地球上でもっとも野蛮な体制から解放する事になる。オーウェルの言葉を借りれば独裁とは「どた靴で人の顔を踏みつけるようなもの」であり、サダム・フセインと彼の手先達がやって来た独裁は特にひどいものであった。

バース党内の反対勢力や共産党員達を粛正し1979年に完全に権力を握ってからサダム・フセインはこの地域の中で経済的にもっとも有望な将来性を持つ国を破壊し始めた。彼がほとんど最初にやった事はイランと戦争を始める事であり、その戦争は何十万人のイラク人とイラン人の命を奪った。次にやった事は、クエートを侵略する事で二番目の戦争を引き起こしてしまった。その間、並行的にクルド人に対しては民族浄化政策を採り10万人以上のクルド人の死者を出した。国内の多数派をしめるシーア教徒には一連の抑圧政策を採り同じぐらいの人命を奪った。これらすべて、拷問と誘拐と盗みと暗殺を行う恐怖の部隊による組織的なものであった。これらすべて、ほとんどの期間において、アメリカやフランスやドイツという主要西欧民主主義諸国の暗黙の了解の元に行われたものであった。

われわれは、この独裁制の終焉を喜ぶ事と全く同時に、アメリカの戦争突入に対するすべての反論を(矛盾することなく)堅持する事ができる。まだ発見されていない大量破壊兵器庫の危険性についての疑問、民間人犠牲者の惨状についての懸念と明白な事実としての悲しみ、予想のつかない地域における反動、疫病のように広がり増大する反米感情、これがイスラム主義者のテロリズムを燃え上がらせることだ。われわれはこの恐怖政治体制の崩壊を祝うと同時に、同じ言葉で続けてこの体制壊滅の手法こそがイラクとアラブ地域と世界の将来に重くのしかかってくる負担となると断定する事が出来るのである。

イラク軍は合同軍の敵ではなかった。人民によるレジスタンスも起こらなかった。市街地でのゲリラ戦も起こらなかった。バグダッドで街路での戦闘はなかった。でもこのことを取り違えてはならない。一部のアラブの世界ではサダム・フセインの銅像がバグダッド中心部で引き倒される映像を見て、アンビヴァレント(愛憎が混じった)な複雑な反応が見られたのである。独裁者が引き倒されるのを見て(当然の事だが)満足すると同時に、アメリカの前に敗北したという屈辱感が一緒に重なり合い、サダム・フセインの崩壊を素直に喜べない気持ちにさせている。

ブッシュ政府は爆弾で壊された廃墟の上に民主主義を花開かせる事が出来ると云っている。これは楽観的である。アメリカの軍事的勝利は疑いのないところである。しかし彼等の戦後の成功はまだ達成されていない。それはどういうグループがワシントンで勝利するかに大きくかかっている。国連に信頼を抱くコリン・パウウェルのような人たちか、それとも一方的で無制限なアメリカの権力拡大しか念頭にない人たちかという事だ。

・ ARTICLE PARU DANS L'EDITION DU 11.04.03









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