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2002.12.26

きょうのルモンドでは北京特派員の報告が面白い。南宋時代の愛国の英雄岳飛について歴史教科書が書き換えられたと大騒動になっています。宋学に凝る奴はろくな奴が居ないんだけどな(おっと後醍醐天皇もそうだった)。

Neuf siècles après sa mise à mort, Yue Fei réveille le nationalisme chinois


死後9世紀も経過しているのに、岳飛は中国のナショナリズムを目覚めさせる

「中国人であることが恥ずかしい!」、「国家による裏切り行為だ!」、
「激高したぞ!」、「かんかんに頭に来た!」:これは中国のインターネットでこの数日飛び交っている言葉である。イラク問題やWTO問題や北朝鮮問題についてではなく、もう9世紀も昔の話についてである。愛国的な感情がうなりを上げているインターネットの議論フォーラムでの、このような呪いの言葉を読むと、中国が、まるで新しい蛮族か逆臣達の陰謀で、危機に瀕しているかのように思ってしまう。この議論は、教育省が歴史教科書における、南宋王朝(1127-1279)の将軍岳飛の呼び方を変更したことを受けて、突如として舞い上がったものである。岳飛とは、当時の中国北西部の金(満州族)と勇敢に戦ったことで伝説となっている南宋の将軍のこと。モンゴル(元)が中国全体を征服する前の時代のお話し。

岳飛は中国の愛国主義の象徴であり、彼の格言である「我らが山河を取り戻せ」は学校で必ず勉強する。中山(孫文)、蒋介石、毛沢東と並んで敬われる対象なのである。広州にある岳飛をまつるお寺は、今日でも訪れる人がものすごく多い。訪問者は、中庭に立っている金との平和条約を結んだ裏切り者の立像に、禁止の立て札があるにもかかわらず、唾を吐きかけることまでする。

さて、このように崇められている岳飛だが、(歴史教科書で)今まで「国民的英雄」との称号で呼ばれていたものが、今回から単に短く「英雄」とされてしまったのだ。どうして斯くまでもひどい名誉の格下げがなされるのか? 教育省は公式には理由を明らかにしていない。最も考えられる理由は、北京政府はやもすると遠心力が働いてしまう多民族国家である中国を一つにまとめることに気を遣っているが、(岳飛を過剰に賛美することは)満州族の気を害すと判断してこの機会に歴史教科書に手を入れたのだろうと言うこと。この議論は一見くだらなそうに見えるがそうではない。この岳飛信徒達の強烈な反撃は、中国ナショナリズムが、特にインターネットを利用する都市部の若者達を中心に、とても怒りっぽい警戒心に満ちたものであるかを示している。

「わが国の昔の文明の歴史が政府のご都合主義で傷つけられた」と彼等は言う。またさらに「教育省の官僚達のいいかげんさは想像を絶する。これでは外敵と戦った全ての英雄達は英雄でなくなることとなる」と。また「岳飛の国民的英雄という称号を否定することは、自殺行為である」とも。一番激しい若者は「コントロールできない怒りに襲われている。中国人の90%を占める漢民族は、少数民族の圧政に苦しんでいるのだ。少数民族は家族政策とか、財政援助や大学の入学などで優遇されすぎている」とまでいう。岳飛将軍は、期せずして、中国に渦巻く根深い不満を表面化させたようだ。

Frédéric Bobin

ARTICLE PARU DANS L'EDITON DU 27.12.02






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