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余丁町散人(橋本尚幸)
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2002.12.25

ルモンド。今週の読者人気投票第一位の記事です。彼等の立場に立って考えてみれば、こういうことだろうと思います。その上での米国他との利害調整となるのですが、これは難しそう。それにしても日本人作家の本は、ほとんどフランスでは読まれていないのに、エジプト人作家の著書が数多くフランスで翻訳されていることに驚きます。結局は読者にとって面白いからなんでしょうが、理由を考えてみるのもまた面白い。

Deux écrivains égyptiens racontent une société "cernée de partout et humiliée" (2002.12.22)


二人のエジプト人作家が「追いつめられて辱められた」社会について語る


これは、多くのフランス人がその名前を知っており、いくつかの著書はフランス語にも翻訳されている二人のエジプト人作家である。『八月の星』、『ゼスの年』、『委員会』、『ワルダ』などいくつかの小説の名を上げれば、多分それはソノラ・イブラハムのことだと分かるであろう。もう一人は、『宿命の書簡体詩』や『ザーファラーニ袋小路の神秘な事件』などで知られるガマル・ギタニーである。

米国がイラクの大量破壊兵器開発状況の申告書に重大な欠落があるとしてイラクを非難していることには、ソノラ・イブラハムは全く驚いていない。逆だったら驚いたであろうが。彼に言わせれば、米国は戦争を仕掛けることを既に決めているのだ。「もしそうでないなら、5万人の軍隊や、航空機や軍艦を何のために終結させたのか? 彼等に今更返れと命令するとでも思うのか?」と笑う。

「ジョージ・ブッシュは、武装解除調査団の報告なんかには興味はない、イラクが悪いという確実な証拠を持っていると、何度となく言っているではないか」「アラブ世界は周りから包囲され追いつめられている。地中海からイエーメンまで。その中核のイスラエルとは、平和を保つことは不可能である」と。

続けて言う「きのう、米国の三人のジャーナリストからインタビューを受けた。その時彼等に質問してみた。何であんた等はイラクをやっつけたいのかって。そうするとそのうち一人は実は自分も分からないと答えた。彼等ジャーナリストは、イラクにもパレスティナにも興味はないと言ってイスラム教運動家やエジプトの社会改革について質問をしてきたが、私は最初にやるべき改革は、あんた方米国人を追い出すことだ、と言ってやった。エジプト人家庭のどんな家庭を訪問しても、米国やイスラエルに騙されて辱められて居ると感じていない家庭を見つけることは出来ないだろうって」

疑いなくソノラ・イブラハムはサダム・フセインを支持している。でも取り違えてはいけないと彼は言う。「(エジプトの)労働者、農民、商人、事業家の多くはイラクに輸出することでバグダット権力と利害関係で結びついている。普通の人たちでも、多くの人たちはサダム・フセインが一人で世界の挑戦を受けて立っていることに魅惑されている。パレスティナではイスラエルに抑圧され、イラク問題では西欧諸国の偽善的な行動があり、人々は全世界が彼等の敵となっているという風に感じている。そして人々は何故だろうと自問しているのだ。彼等は問題は石油であり、イスラエルの地域支配にあると言うことを知っている。そして、サダム・フセインの追放は、アラファトの追放とコインの両面であることも知っているのだ」と言う。

「もし彼等二人を追い出すのならば、それは、国民がそれを望むなら、追い出す役は、イラクの人民であり、パレスティナの人民であるべきだ。決して米国がそれをやるべきではない」と。長らくナショナリズムの理想とアラブの連帯を訴え、自らをマルキストと公言するガマル・ギタニーは「今でも社会主義を信じている。今やらなければならないことはエジプトを守ることだ。絶対にエジプトはイラクを相手とする軍事行動に引き込まれてはならない」という。

週刊誌「文学近況」の編集長であるガマル・ギタニーは、一方で1998年にノーベル文学賞を受賞したナギブ・マフーズの親友でもあるが、どんな政権であれ外部からの介入で政権を崩壊させようと言うのはけしからぬことであるという。結局のところ、彼に言わせれば、アラブ諸国のほとんどは権威主義的な政権であり、米国自体、この半世紀に渡り、もっともひどい権威主義的な国家であるサウジアラビアを支持してきたではないかと。これは「経済パワーと最も危険なイスラム少数派との同盟である」という。

今までのイラクの歩みは、多くの証拠があるが、ガマル・ギタニーにとっては幻想が壊れる過程でもあった。1970年代の半ばまでは、この国は多くの将来性と可能性に満ちていたのであるが、「この国の現体制は、政治的多様性を粉々に破壊し、アラブのナショナリズムの理想さえ破壊し、バース党をサダム・フセイン一族郎党の私物と化してしまった」という。彼はイラン・イラク戦争の時はイラクを支持したのであるが、「この戦争は米国の利害によって仕組まれたものだ」と知った時は遅すぎたという。「国際調査団による武装解除のための軍事視察は、エジプトとイスラエルの国境にイスラエルの250発の核弾頭が配備されていることを考えれば、イラクだけを侮辱するものならずアラブ諸国全体を侮辱するものであり、何の意味があるのか」と彼は問う。「もし米国が地域全体の非武装化を推進し、イスラエルの非武装化もやるというなら、またパレスティナの平和についてもイラク問題と同じだけの熱心さで取り組むというなら、私は米国を支持するだろう」と。米国は、わずか3000万ドルの予算でアラブ諸国の民主化教育をすることについて、ガマル・ギタニーは皮肉っぽく「歴史を見てみれば明らかなように、外部から押しつけられた価値観は、たとえそれがどのようなものであれ、前向きの変化をもたらさないものだ。むしろ逆効果となる」と言う。

彼は変化は避けがたいと見る。「国際世論はB52よりも強力である。出版される情報は第6艦隊よりも大きな防御となる・・」と。

Mouna Naïm

ARTICLE PARU DANS L'EDITON DU  22.12.02






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