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余丁町散人(橋本尚幸)
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2002.12.24

きょうのルモンドの社説です。貧困国への医薬品輸出に関し、米国の態度を非難するもの。アフリカや貧しいアジアで死んでゆく多くの人の命を、身の回りの人の命と同じようにかけがいのないものだと感じることが出来るかどうか、なんでしょうね。クリスマスイブ。年に一度ぐらいは、この問題を深く考えてみても良いんじゃないかしら。

L'éditorial du Monde
Un scandale humain


ルモンド社説
これは人間として恥ずかしい


2000年11月のドーハでのWTO会議は、貧困国にとって希望を開くものであった。それまでのWTOを支配してきた自由主義のドグマを撃ち破る新しい「開発サイクル」を打ち出したのである。二つの方向転換がとりわけ重要であった。一つは最貧国への貿易上の優遇措置であり、もう一つは最貧国が医薬品を手に入れやすくする措置であった。

このドーハの合意の具体的な適用を決めるのが、今回WTO本部のあるジュネーブで開かれた交渉の目的であった。これは失敗に終わった。WTO加盟国144カ国は、富裕国が貧困国へ与える貿易特例措置の永続化に関する件について同意を見ることが出来なかった。しかしもう一件の医薬品に関する件についての同意失敗は、もっと大きな懸念を呼ぶものである。米国が、またしても一方主義を取って、他のメンバーが同意している事柄なのに、米国一国の反対で成立しなかったからである。

意見の対立は、貧困国がアフリカ中心に貧困国を脅かして人口を激減させている深刻な疫病の治療薬を手に入れやすくすることについてであった。ドーハに於いて、大医薬品メーカーを抱える米国は、貧困国は2016年までは特許料支払いを免除されること、およびその医薬品分類は総称(属)とすることで合意した。これらの薬は富裕国ばかりでなく、ブラジルやインドなどの中級発展国でも製造可能なものである。ジュネーブに於いて米国は、この医薬品はエイズや結核、マラリアなどの15の主要な疫病に限定するべきであり、糖尿病やぜんそくなどの感染病には適用してはいけないとする適用限定リストを作るべきだとして、合意に反対したのである。

米国の医薬品研究機関は、研究コストの増大から、特例措置が本来の目的を外れて適用されることを心配しており、また総称(属)分類での医薬品の規定は、貧困国へ提供した医薬品が先進国に逆輸入されることに繋がりかねないとしている。発展途上国は、ドーハでの合意は「公衆衛生の問題」となる疫病を対象としているのであり、何が問題の疫病であるかは自分たちで決めるとして限定病名リストの作成を拒否したのである。

この問題は複雑で、どっちに理屈があるかはややこしいが、このジュネーブでの合意失敗は、二つの意味に於いて懸念されるべきものである。一つは、貧困国への優遇を謳った「ドーハの精神」からの後退であり、もう一つは将来の「開発サイクル」の具体化適用手法に関する悪い予感である。病気で死んでゆく何百万人の人たち子供達にとっては、その治療法が存在する以上、それを手に入れたいとするのは、絶対的な必要性であると言える。それをさせないようにするというのは、人間としての恥(スキャンダル)である。

ARTICLE PARU DANS L'EDITION DU 24.12.02






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