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余丁町散人(橋本尚幸)
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2002.12.4 

きょうのルモンド地中海クラブが抱える問題について。「奢れる平家は久しからず」と言うのでしょうが、かつて一世を風靡した地中海クラブは今や深刻な経営危機に陥っています。問題の本質は旧態依然としたやり方に固執する「休暇村スタッフ」にあるとする指摘は鋭い。日本のマスコミは経営者や官僚の悪口は書くのですが、勤労者そのものを非難することはしません。ルモンドの経済関係の記者は、その点過激なまでに資本主義的で、本質を突きます。


Le Club Méditerranée peine à réinventer son modèle de loisirs (2002.12.04)

地中海クラブは新しい余暇モデルを見いだし得ないでいる


この「一切合切の諸費用込み」の料金設定を売り物にしてきたフランスの旅行会社は、いま、単なる景気の低迷による落ち込みとい言う範疇を遙かに超えた、深刻なアイデンティティーの危機に直面している。真似をする競争相手がどんどん出現する中で、地中海クラブは新しい顧客層の要望に応えるべく新たな道を模索している。

「眠ったら負けだ」との大々的な広告と共に、2001年7月にチュニジアのバカルタに立ち上げたオイヨ休暇村は、地中海クラブの原点に戻り、音楽の音量をいっぱいに上げたノンストップのお祭り騒ぎなどで派手に売り出した。映画「日焼け若者」に出てくるような、パイオニア世代の、格好いい若者達が集う自由の天地としてである。しかし開村してから二年経ったが業績はさっぱりだった。しょうがないので、このコンセプトに基づく凡てのプロジェクトは凍結されることとなった。

このチュニジア休暇村のようなイメージを地中海クラブは指向してきたが、三月以来、株価は50%以上も下落しやっと30ユーロというレベルだ。1997年2月に新社長としてフィリップ・ブーギニヨンが招かれた時の株価水準の三分の一である。パリ・ディズニーランドの再建者としての絶大な名声をもつ新社長の出現で、株式市場は大いに湧いたものだ。でもその後三年、2000年9月に発表された最初の決算報告書で財務状況が明らかになり、財界は疑問を抱くようになった。それ以後、株価はピークの六分の一にまで下落した。

旅行産業の不振は地中海クラブに限ったものではない。2002年9月11日事件や、つい最近のバリ島での事件のおかげで、特に遠距離旅行は深刻な影響を受けている。ヌーベル・フロンティエール、マイトラベル、トーマスクック、TUIなどの競争相手各社は、大々的に値引き攻勢をかけ始めている。

地中海クラブもこの路線で考えた。「再生」と名付けた合理化計画が、9月11日以降、実行に移されている。あらゆる面で少しずつコスト削減する計画である。新たに地域統括会社が設けられ、都会でのグルメ志向プロジェクトなどの多角化路線は凍結された。オイヨ村の他、レストラン、劇場、図書館、ブチックなどを包含する世界的な都市型の休暇村建設計画も休止となった。新社長がディスニーから引っ張ってきた新規プロジェクト担当重役も会社を去った。

緊急に会社は15の休暇村を閉鎖した。この機会に標準を下回る休暇村のほとんどを永久に潰すことにしたのだ。グループは、業績の悪いアメリカ大陸での展開を大きく縮小し、メキシコ西部や米国でも採算の悪い多くの休暇村を閉鎖した。1998年に企画された拡張戦略は徹底的にぶっ潰されたのである。

経費節約のために、会社は複数の休暇村にまたがる共通の資材調達と管理運営業務を行うインフラ会社を設置した。「ジェットツアー」などの会社である。並行して、地中海クラブの休暇村ランクカテゴリー(現在4段階に分かれている)のうち下の二つのカテゴリーの休暇村は、改装してカテゴリーを上げさせるようにした。その結果「下の二つのカテゴリーは以前は35%を占めていたものだが、今は15%以下までに低下した」と社長は言う。これにより今期は3000万ユーロから4000万ユーロのコストを削減できるとのことだ。

でも地中海クラブの真の問題は、そのあたりにあるのではない。「景気動向による業績問題以外にも、構造的な問題に対処する為、組織のあり方自体を変化させ、会社を変革する再建計画を実行する」と社長は言う。地中海クラブは、欧州のみならず地元の競争相手の企業が、「休暇村」という概念や「何でもかんでも込み料金」とかいう地中海クラブのビジネスモデルを真似しはじめたため、昔持っていた、少しぐらい高くても地中海クラブがいいという優位性を失ってしまっている。「地中海クラブの売りは、”なんでも豊富に” と言うことだったが、今やそれは当たり前のものとなってしまった。これが地中海クラブの一番の問題点である」と専門家は分析する。

業容拡大を目指して、地中海クラブは差別性を探し求めている。創業者達が、第二次世界大戦直後に考えついた良い企画だが、いまは埃を払う必要がある。しかし会社側は言う。「他の競争相手が真似をするというのは、このビジネスモデルはそんなに落ち目のモデルではないということだ」という。「嘗ては宿泊設備や休暇村の質に問題があったが、今やそれは改善された。商品は上等になった。狙う客筋として ”日焼け若者” にしっかりと焦点を当てる」という。

会社は、そのため社会学者や余暇研究家などの専門家陣を経営に加えた。競争相手との差別化を図ろうとしているのだ。将来の旅行とは何か、たとえば今までやっていたような「プールでのお遊びプログラム」みたいなものではなく、何がいいのか、会社のために研究開発するためにである。

でも、地中海クラブにとっての一番難しい挑戦は、常連顧客(60%の顧客はリピーターである)の好みを尊重しながらも、同時に休暇村スタッフ(GOと呼ばれる)の文化や習性をどうやって変化改善させていくかである。彼等休暇村スタック(GO)こそが、従来のやり方をただただ守り抜こうとする変化に抵抗する勢力となっているからである。

この根本的な問題の修復は時間がかかるがやらなければならないことである。嵐のような変化の時代に地中海クラブは大急ぎでたくさんの問題を処理しなければならない。まず成功していない米国での休暇村展開はどうしても続けなけれならないものか。テロリズムに脅威にさらされる遠隔地での休暇村は存続させる値打ちがあるのか。会社は株主の信頼を維持し続けることが出来るのか。そしてなによりもアグネリ・ファミリーとの信頼関係はどうなのか。

会社の資本が特に脆弱になっているため、株式のパブリック・オッファリングの噂が、しきりに流れている。社長の更迭ですら言及されている。次回の年次報告書が発表される12月17日が、この期限として注目される。

Laure Belot et François Bostnavaron






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