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余丁町散人(橋本尚幸)
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2002.11.28

ルモンド紙。客船ではなく貨物船で船旅をするのはとても楽しいという記事です。一日1万円とは安い。おまけにいろんな体験ができる。フランスではこういうのが流行っているようです。時間がいっぱいある好奇心にとんだ冒険好きの人が多いのでしょうね。長いのでかなりハショリました。

A bord du cargo "CMA CGM Ravel" (2002.11.28)

貨物船「CMA CGM Ravel」に乗る

ル・アーブルからマルタまで、ハンブルグとジブラルタル経由、10日間の航海を、ずっと海の男たちと一緒に過ごす。

「街は、夜、美しい」と、嘗て、そして今でも、俳優リチャード・ボリンジャーはその魅力の虜になっている。港はもっとすごい。驚嘆するべきものだ。本船が外洋から港に入っていくと、遠くにぼやけていた白桃色の灯りは、徐々にはっきりと見えてくる。投光器の明かり、停泊している貨物船のキャビンの灯り、夜勤のタグボートの灯りなどなど。

絶え間なく行ったり來たりする貨物船の点滅する灯り。そして遂に、水路と桟橋の赤と緑のはっきりした灯りが見えてくる。灯りが連なり動く様は、まさに永久運動のようで、夢のように美しい。しかし、到着時のこのような美しい光景を見るためには、まず出発しなければならない。いっぱい思い出を作るためには、まずそれをやりたいと求めねばならぬ。

10月中旬のルアーブルでのある日の夜、貨物船「CMA CGM Ravel」はアメリカ埠頭を出航した。すぐに、街の灯は後ろに霞んでいく。タラップには水先案内人と並んで船長がいる。船は昨年韓国で建造されたばかりのフランス最大のコンテナ船で、長さは300メートル、6712箱のコンテナを積む。本船は既に「全速前進」に移っている。

船の10名の高級船員のほとんどは、長年この船会社につとめるフランス人だが、クルーはルーマニア人である。彼等は、海が好きで、フランス語を話すし、何よりも人件費が安いから(月に1000ドル)、会社は代理店を通じて現地から雇ってくるのだ。

同じように海を航海し、目的地に寄港することを除けば、貨物船の旅は普通の豪華客船の旅とは全く異なるものだ。それは出航する前に知っておいたほうがいい。その代わりに、もしあまり世に知られていない船員の世界を知り、彼等の船の上での仕事や、彼等がどんな考え方をしているかなど聞き、海洋気象について彼等から説明を受け、イルカが船のまわりを泳ぐ様をつぶさに見ることができる。そんなことに興味があるなら、ためらわずにやってみよう。

この(貨物船での)航海は、一つの冒険でもあり、最新の科学技術で満たされた貨物船の世界に飛び込むことでもあり、また人間関係の勉強の場所でもある。というのは、船客は船長や高級船員と一緒のテーブルで食事し、幹部船員食堂でアペリティフを飲みながら、彼等といろんなお話しをすることになるからである。

これはまた、特別の芸術的な旅行でもある。静かで、瞑想にふけることが出来るのだ。

貨物船は、船客のためではなく貨物を運ぶために造られているので、通常キャビンは10室以下で、広くもないしデラックスでもない。北回りで中国向けの航路をとればロッテルダムの巨大コンテナ・ターミナル港に必ず寄ることになる。そこで様々な荷役活動をつぶさに見ることが出来る。

積み下ろしの指揮は二等航海士の仕事だ。1200箱のコンテナも24時間以内に積み下ろししなければならない。コンテナ船は8000万ドルもするので、時間あたりの償却費は莫大なものとなる。だから船客は(荷役の間に)もし街を一回りと思っても、決して出航時間に遅れてはならない。船は待ってくれない。

停泊中の時間は単なるアイドル時間ではない。ゆったりとした船客専用ラウンジで乗組員達をおしゃべりが出来る。意見書き込みノートのページをめくってみたり、乗客注意事項を読んで火災発生時や遭難脱出の方法を勉強したり出来る。

とくに、その注意事項説明書にある「海賊に襲われた場合は」といういのは面白い。「キャビンに留まり、ドアに鍵を掛け、決して抵抗しない」とのことだ。

エルベ川をハンブルグまで遡る運行となっているなら、その間、沿岸のとても興味深い風物を見ることが出来る。ジブラルタル海峡を通過するのも印象的だ。

暴風にあったこともある。船体はきしみ、エンジン回転をゆるめる。速度を上げると船体鋼材の強度限度を超えてしまうのだと。

突然、船主からファックスが届き、予定になかったマルタに寄港する。中国向けの空コンテナを積み込むのだ。でも次の寄港地には予定通り到着しなければならないので、船は更に速度を上げる。アラブ首長国では29000トンの積み荷を降ろす。船長には、海の上でも、本社からの命令がどんどん飛び込んでくるのだ。

機関室の見学は見逃せない。9万3000馬力のエンジン。エンジンルームの室温は時には50度を超える。一航海で1万トンの重油を燃やす。ハイテクのコントロールルーム、などなど興味は尽きない。

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予約方法と航路などの説明。世界中ほとんどどこでも貨物船で行ける。一日あたりの費用は、船賃込み、3食付きで、約100ユーロ。料理人はいつも乗船している。メニューの例。日曜日の正餐。トマトのサラダ、海産物の飾り盛り、鴨料理、ドフィネ風のジャガイモ、チーズ盛り合わせ、ケーキ、コーヒー、ワインは飲み放題。乗船に当たっては医師の健康診断書と何が起こっても船会社には責任を追求しない旨の誓約書が必要。なおパリには貨物船で旅をする同好の士が集まるクラブがあり、定期的な集まりがある。





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