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余丁町散人(橋本尚幸)
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2002.11.24

ルモンド紙。先にご紹介した大西洋横断シングルハンドレース「ルート・ドゥ・ラム」では、実に26歳のイギリス女性が堂々一位でゴールしたとのこと。ルモンド紙の社説は彼女の偉業と的確な判断力をたたえています。「敵ながらあっぱれなり」と言うところ。彼女はモノコック(単胴艇)で参加。荒天のためにトリマランはほとんど全滅となってしまいました。

L'éditorial du Monde
Ellen sauve le rhum (2002.11.24)


ルモンド社説
エレンがラムを救った

26歳の若いイギリス女性が、結局、大西洋の老練航海者の分別を持っていた。彼女、エレン・マッカーサーが、サン・マロからポワン・タ・ピートルまでのシングルハンド・ヨットレースのゴールラインを、11月23日土曜日の朝、一着で横切ったのだ。彼女はルート・ドゥ・ラムへの参加は二度目でありながら、単胴艇でのベストタイムを打ち立て、同時に1994年にフランソワ・イヴ・パルリエが打ち立てた大会記録タイムも更新した。

しかし、イギリスの田舎出身のこの若いレーサーは、単にレースをミスなく走り通したと言うだけではない。彼女は常に完全を求めてきたが、今回、1978年のこのレース始まって以来はじめて、多胴艇より単胴艇が先にゴールするという大快挙を成し遂げたのである。もちろん多胴艇はサン・マロを24時間遅れでスタートしており、(多胴艇の)ミシェル・デジョワヨーはまだより短い時間でゴールする可能性を有してはいるが、このイギリス女性の勝利は確定している。

(訳注:単胴艇は多胴艇より24時間のハンディキャップが与えられるようだ)

彼女は、一連の破損事故とリタイヤーで注目されているこのレースにおいて、優れて今日的なヒロインである。レースは11月10日にスタートしたのだが、レース初日早々、フランク・カマの操縦するトリマランの転覆事故が発生し、(その後も)新聞は次々とレース艇のトラブル事故を報じ続けた。

何千人の観客に見送られてスタートした18隻のトリマラン参加艇のうち、14艇は荒天に遭遇し操縦不能となり、15隻目のスキッパーはもう二度とシングルハンドレースには出場しないと言ってレースを放棄した。

これだけ数多くの事故が発生した以上、本来多数の乗組員で操縦する筈の16メートル級のトリマランを、シングルハンドで、しかも11月の荒い海の中を、大西洋横断航海に乗り出させていいものか、このレースの妥当性を問うことが出来るだろう。「ルート・ド・ラム」レースは多胴艇チャンピオンを決める5回のレースの最後を飾るものだが、このチャンピオン決定レースでは既に数多くの破損事故が生じているのだ。しかし、スポンサーとスキッパー達は、この「海のF1」を、本来操縦に必要な乗組員を陸に残してのシングルハンドで、大洋に乗り出させることに躊躇しないのである。

「より速く、より高く、より強く」はオリンピックのモットーであるが、このモットーがこのレース艇のコンセプトを鼓舞し、艇は最高の速度を出させることのみを目標に造られている。マストはどんどん高くなり、セール面積はどんどん大きくなり、遂にひとりの人間ではとても操縦不可能な化け物が生まれてしまった。

でも、この高速レース艇は、航海の際、強い風や巨大な波に直面しなければならない。そこで技術的トラブルが発生するのだ。ロイック・ペイヤンやトーマス・コーヴィルなどの長年の経験を積んだ海の男ですら破損事故とリタイヤーを免れることが出来なかった。「この船は多数の乗組員を乗せて内海の三角コースを走るように設計されたものだ。11月の海にこんな多胴艇で乗り出すとは、舗装されていない道をF1レースカーで飛ばすみたいなものだ」と単胴艇で世界逆回り一周レース
のためホーン岬に向かっているジャン=リュック・ヴァンデンヘーデは説明する。

エレン・マッカーサーもまた、大変な強風に見舞われた。しかしこのレースにより適した船の選択したことで、勝利の女神は彼女にほほえんだのである。





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