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余丁町散人(橋本尚幸)
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2002.11.23
ルモンド紙から。ルモンドの社説は、反遺伝子食品の農民運動指導者ジョーゼ・ボ−ヴェへの大統領特赦を主張しています。主張がはっきりしているのがフランスのマスコミのいいところかな。
L'éditorial du Monde
Grâce pour Bové ! (2002.11.21)
ルモンド社説
ボベに恩赦を!
ジョーゼ・ボ−ヴェは、1998年ネラックで農民組合の他の組合員と共にスイスのノヴァルティス種子会社に帰属するトウモロコシ袋を略奪し、1999年にはモンペリエでシラッド研究所が栽培したイネを破壊したが、遺伝子組み換え食品に対する略奪の咎でジョーゼ・ボ−ヴェに科された処罰は重いものである。最高裁は上告を退け、2001年12月に控訴審で下された二番目の事件に対しては6ヶ月の禁固刑を確認し、同時に1998年2月に最初の事件に対しての判決で付けられた8ヶ月の執行猶予を撤回した。大統領の特赦がなければ、この農民組合の指導者は、遺伝子組み換え機関(OGM)に対する攻撃という名目で「他人の財産を破戒損傷させた」咎により合計で14ヶ月鉄格子の中で過ごさなければならなくなった。
疑いもなく、ジョーゼ・ボ−ヴェは自業自得だと考えることが出来る。まず、彼は執行猶予付の判決に対して控訴するというリスクをとった。次に、もっと重要だが、彼はこのような挑発戦略をわざととることで、自分の行動を「必要な極限状態」では許される「不服従の市民」の「非暴力的行動」とし、法律を犯すこと、またそれで処罰されることすら、自分たちの宣伝ツールとして位置づけているからである。
ジョーゼ・ボ−ヴェは彼の仲間のような軽罪の違反者ではないことは明かである。かれは軍事的政治行動を扇動し、大義の前にはどんな手段も許されるとした。だから彼がこういう趣旨で裁きを受けるのが正当なことである。しかし、この観点から見れば、今回の処罰は明らかに過剰である。彼の考え方と手段に同意できないと考えることは自由だ。しかし彼の戦いの動機(これにたいする裁判所の判定を求めて控訴されたものであり)を、裁判所が無視したり軽視したりすることは出来ないだろう。農民組合の戦術は、弁護士によれば、人間に対しては決して攻撃を加えず、特定の場合に「もの」に対する攻撃を指示するというものだ。裁判所が寛容な判決を下すことは、これが個人の行為ではなく、組合運動の行為である事からして、正当化されることであろう。組合運動の指導者を、その思想により牢獄に入れるという大芝居は、理屈があったとしても、フランス社会の雰囲気を不必要に重苦しいものとするだけである。さらに、いままでは、右派の指導による他の農民組合が引き起した暴力に対しては、起訴猶予も含め寛大な判決をするのが通例だった事を考えると、この件に関しても寛大な処置をとるべきだろう。
逆説的なのは、問題の解決法は、ジョーゼ・ボ−ヴェや他の政治家や組合運動家が申請している共和国大統領の恩赦しかないことだ。恩赦の申請がなされることこそ、ジョーゼ・ボ−ヴェ達がジャック・シラクに依存しなければならない状況になったということで、彼等がはまりこんだ袋小路を表すものに他ならない。しかし、この挑発行動などにより、ジョーゼ・ボ−ヴェ達は広い範囲に、遺伝子組み換え問題と、いわゆる「悪い食品」問題についての反省と考察を呼び起こすこととなった。この問題は、今後は別の形で議論されなければならない。
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