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余丁町散人(橋本尚幸)
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2002.11.14 
ルモンド紙といえば左派の知識人の新聞という偏見があったのですが、改めました。アンティル諸島への援助政策を論じたこの社説ではとてもいいことを言っています。これは他の国にも、他の分野にも十分通用する意見じゃないかしらね。日本の公共事業政策や農業政策にも・・・。

L'éditorial du Monde
Les Antilles en danger (2002.11.12)

ルモンド社説
アンティル諸島は危機に直面している

ホテルグループであるアコール社のアンティル諸島から撤退するとの決定でグアダルーペ島とマルティニック島(訳注参照)は存在の危機にさらされている。両島の将来は、島の三大産業が揃いも揃って深刻な危機に直面していることでとても暗い。すなわち、一)観光産業は他のカリブの島々に対抗するだけの競争力を失っているし、二)バナナの生産においても生産原価がパリ卸売市場での市場価格の三倍にも達しているし、三)建設業も借金漬けの自治体は建設投資をしないので不況の真っ直中にあるからである。そのなかで総労連が実施した4日間のゼネストは社会状況を更に悪化させた。「状況は破滅的である」と述べ、レオン・ベルトラン観光相はフランス政府としてこれらの島々への何らかの緊急援助計画を準備するとしている。

アコール・グループは、専門家の間では数年前から常識となっていた事実であるものの一般人は知りたくないような「身も蓋もない真実」をぶちまけた。同社は大統領官邸当ての手紙(それは「パリジャン」に掲載された)の中で「どんな政府援助があるにせよ、民間営利企業である以上、アンティル諸島へ投資は、たとえ小さいものでも、まったく不可能であると確信している」と述べ、更に島を支配する社会風土は「憎むべき(唾棄すべき)状況」と告発。「度重なるストライキは労働組織を意図的組織的に混乱させるもので」、「従業員の顧客への態度は、愛想がないと言うより、もはや攻撃的なものとなっている」と続ける。アコール社は更に「労働賃金はカリブの近隣諸島に較べ4倍から5倍」で、政府の援助にもかかわらず「生産性ははっきり言って最低」で、「再就職支援のための最低所得保障制度(RMI)などの政府援助が労働者をして働こうとはさせない」と説明したのである。

この診断は反論の余地のないものだ。同社はアンティル諸島の人々の風潮を告発すると同時に、同諸島の独立運動の高まりを恐れて安易に補助金と優遇措置を積み重ねてきた歴代フランス政府を告発しているのだ。

このような表面だけを繕うような政策をもう一度繰り返して問題が解決するものだろうか? 政府はそう信じているようだ。というのはまたしても海外県への財政措置を講ずる新たな法律を準備しているのだから。社会保障負担を軽減、ホテルの従業員教育への援助、交通インフラへの財政援助などをやろうとしている。

しかし、われわれはこのような、ただひたすら援助するという手法の妥当性に疑問を持つものである。それらの手法こそが、これだけ労働意欲を低下させ、悪い事態をなおさらより悪化させてきたのである。財政措置だけでは事態の悪化を根本的に食い止めることは出来ないだろう。ベルトラン観光相自身が言うように同諸島の将来についての「グローバル・コンセンサス」を求めて「人々のメンタリティーを進化」させねばならない。

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(訳注)平凡社電子ブック版『日本百科全書』

マルティニーク島 マルティニークトウ
Martinique 西インド諸島東部、小アンティル諸島中のウィンドワード諸島中部の島。フランスの海外県の一つで、面積1100平方キロ、人口32万7073(1984)。中心都市はフォール・ド・フランス。火山島で、南部は丘陵地であるが、北部には標高1463メートルのペレー火山がそびえる。おもな産業は農業で、サトウキビ、バナナなどの輸出用作物が栽培される。工業はラム酒の製造と製糖およびパイナップル缶詰の生産がおもなものである。1502年コロンブスによって発見され、1635年フランス人の植民が始まった。ナポレオン一世の皇后ジョゼフィーヌの生地である。〈菅野峰明〉





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