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2002.11.12 
ルモンド紙から今日は再びパリの話題。セーヌ川の底にはいろんなものが眠っているというお話し。その中に出てくる「カロース型馬車」についてちょっと調べてみました。訳注として書いておきます。

Sous les ponts de la Seine...(2002.11.8)

セーヌの橋の下には・・・

「セーヌ川の底には、黄金がある、錆び付いた船がある、宝石がある、戦の武器がある。セーヌ川の底には、死体がある。セーヌ川の底には、涙がある」この「セーヌ川哀歌」という歌はモーリス・マグルの1934年の作詞。クルト・ヴェイルが音楽を付け、ミュージックホールの伝説的歌手リス・ゴーティーなどの多くの歌い手によって歌われてきた。でもこれは単なる詩にはとどまらないのだ。セーヌ川の底は、実際のところ、あらゆる種類の面白い、びっくりするような、そして時には怖いようなもので、いっぱいになっているのである。

パリの水上警察が厳かに言明している、「セーヌ川の底には何でもある」と。毎年6百万もの人がこの川を利用していることを考えればそれほどびっくりすることでもない。さて、パリ市内に架かる36の橋の下には、いろんな落っこちたもの、捨てられたもの、忘れられたもので、一つの生態系が出来ているのだ。たとえば、セーヌ川は携帯電話機の一大墓地であるし、盗難品なら何でも見つかる場所でもあることも事実。毎年30近くの自動車の残骸が川上の方で見つかる。これは保険金詐欺に絡むものか、荒っぽい泥棒の仕業なのか、本当のところはなかなか分からないのである。

また、冬のセーヌ川(ほとんど摂氏10度の水温)への飛び込み自殺犠牲者は毎年30人にも上る。幸いなことに水上警察の救援隊に救助される人の数も、飛び込み以外も含めて、毎年80人に上る。

しかしセーヌ川の底は、何にもまして、限りなく多様で多彩なもので覆い尽くされている。鉄製の柵や古タイヤ、買い物車、スクーター、多量の建築残骸、さらにちょっと珍しいが、橋の建築や補修に携わった労働者が置き去りにした工具類など。定期的に50年以上も水に漬かっていた砲弾が発見される。第二次世界大戦の時のものだ。時としてエンドウ豆が見つかることもある。大きな川船が沈み、積み荷の豆が流されたのだ。でも一番突飛なものは、疑いもなく、フランス革命当時の時代のものとされた「カロース型馬車」(訳注参照)だろう。これはポン・ヌフ橋の近くの川底に横倒しとなっていた。

だからといってセーヌ川がすっかり汚染されていると言うことではない。観察によると、すっと見かけなかった多くの種類の魚の群れが再び見られるようになっている。だから、セーヌの河岸で釣り竿をのばす人たちは、いまやパーチ(スズキの一種)やウナギ、ナマズ、更にスズキなどの釣果を期待できるのである。鳥類も例外ではない。カモメ、ウ、白鳥やカモなど、日増しに多く川に来るようになっている。そういうことで、セーヌ川は、多くの秘密を隠しながら、その川面に於いてもまた川底に於いても、多くの人・物・動物に出会える場所なのである。

Camille Le Gall

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訳注 「カロッス型馬車」Carrosse

大型有蓋四輪馬車。ガラス窓がある。川と木製のバネによるサスペンション付。前輪が独立して方向転換できる。また鋼製のスプリングを使用する新型のカロッスは「ベルリーヌ」と呼ばれた。馬車はとても高価であり、いまのお金にして一台3000万円ぐらいしたそうだ。ベルリーヌを軽快にするため半分に切った形にしたものを「切る」の意味から「クーペ」と呼ばれた。いまの感覚で言えば、カロッスはリンカーンコンチネンタル、ベルリーヌはメルセデス600,クーペはさしずめポルシェにあたるのか。当時の人は馬車に乗ることが(またどの型の馬車に乗るのかというのが)ステータスシンボルとして絶対必要で、非常に拘り、所有を渇望したらしい。参考書:鹿島茂『馬車が買いたい!』







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