「大地震は予知できるという幻想が日本の耐震化を阻んでいる」(塩谷善雄)
今朝の日経で塩谷編集委員が書いていること。NHKなんかの中国・四川大地震の報道は「だから中国の建築はダメなんだ、無理を重ねた経済発展の罰が当たった」という自己満足的なものが多く違和感を感じていたが、日本の方がよほど戦慄的な状況なのだ。メモ。
抜粋:- 中国・四川大地震での相次いだ学校の崩壊は、日本の地震防災の弱点をあぶり出した。日本の小中学校の耐震化率は六割に満たない。強度不足の住宅は一千万戸を超す。この備えの薄さは、日本社会を覆う「予知幻想」に起因する。大地震の直前には政府から何かしら警報が出て避難できると国民に思いこませてきた役所と学者の罪は重い。
- 阪神大震災の死者の8割以上が圧死だった。レンガを積み上げただけの家屋が連なる途上国と被害の構造は同じ。おまけに世界のM6以上の地震の二割が日本に集中している。本来なら優先的にすすめるべき病院や学校の耐震強化が遅々として進まないのはなぜか。大地震は予知できるのではないかという、大した根拠もない期待感が、日本の社会の隅々にまで広がっていることがあげられる。
- その幻想の源泉となっているのが、大規模地震対策特別措置法=大震法。30年前に作られたが、大地震の直前予知が可能だという大前提で書かれている。毎年防災の日には、総理が警戒宣言を発し、粛々と避難をする大訓練がいまだに行われている。しかしその後の地震科学の進歩で、現実的な地震の予知は不可能ということがわかってきた。米国政府も地震の予知から撤退した。でも日本政府は、相変わらず予知という虚構を前提とした大震法を守り続け、巨費を投じて地震予知の観測網を作り続け、いまだに予知が可能とする幻想を振りまいている。
- 地震国日本は予知の「研究」には当然力を入れるべきだ。しかし、研究費を確保するために予知幻想を使用し、必要な防災・減災への社会の取り組みを遅らせることは許されない。
阪神大震災で死にかけた被害者の一人として断言できる。地震で死なないためには「ツーバイフォー」などの欧風住宅にすればそれでいい。阪神大地震ではツーバイフォーやパネル工法の住宅は一軒も崩壊しなかった。崩壊したのは伝統的な数寄屋造りなどの高級住宅や普通の日本家屋と手抜き工事のコンクリートビル。ところが「ニッポンの伝統建築」は守らねばいけないとか、業界団体の利益も考えたのだろう。お上は在来工法の住宅でも工夫すれば大丈夫だと繰り返している。「研究業界」への予算配分を考え地震の予知が可能という幻想を振りまくのと同じく、質が悪い。
Posted: Sun - May 25, 2008 at 04:04 PM
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