「世界の資金の流れは、当面、供給が需要を上回る。金利は低位で推移せざるを得ない。その中で高利回りの投資機会を求める無理が今回のサブプライム問題の本質」(渡辺博史)
日経ヴェリタス創刊号で渡辺博史氏がいいことをおっしゃっている。ひょっとしたら日銀の新総裁になられるかもしれない。お考え方をメモ。
抜粋:- 世界的な資金の流れは、当面、供給が需要を上回る。新興国では所得を上回るペースで貯蓄が伸びるが、投資は所得の伸びに沿うかたちでしか伸びないからだ。
- 需給にギャップが生じた帰結として金利は低位で推移する。しかし過去の高金利を忘れられない市場参加者は、低金利による機会損失を産めるために高利回りの投資手段を求める。こうした投資家の需要に応えてブラックボックス的な商品が開発されてきたが、一般水準と個別利回りとの大幅乖離という無理が生じた。これがサブプライム融資の焦げ付きから派生した現状の本質である。
- 資金全体が「過剰」になっている中で、高利回りを求めて資金の移動範囲が拡大している。それが各市場間の動きに「正の相関」と「共振性」を呼んでいる。
- (探偵小説では)「名探偵」が登場するのは、連続殺人が起こり、死屍累々となった後である。それでは遅すぎるので、中央銀行の今やるべきことは、無用の大損失が生じないように、一つずつ、今すでにある手段を用い、必要であれば、手持ちの手段を増強し、市場参加者の不安感を除去、沈静化することである。
渡辺氏はSFやミステリーの愛読者であられるらしい。「灰色の脳細胞」は絶好調と見た。世界的に資金が有り余っている中で「いいとこ取り」だけを求めても、やはり無理があるのだ。関連して思い出したのがこの本。おすすめ:この本の著者シーゲル氏も、先進国での高齢化進行で、資産を現金化したい高齢者とそれを買うはずの現役世代の資産購買能力ミスマッチが資産価格の世界的急落をもたらす危機について詳しく(統計的、歴史的に)書いている。シーゲル氏は新興国の国民が最終的な資産の買い手となって現れるから悲観することはないと結ぶのであるが、これはやや「ウィッシュフルシンキング」。団塊退職世代の未来は、限りなく暗い。少しばかりの退職金を貰って、お大尽になったつもりでイナカに大盤振る舞いをしている場合じゃないのである。
Posted: Mon - March 17, 2008 at 04:56 PM
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