日経「大機小機」複眼子のGDPとGNPの巧妙な使い分け
きのうの日経「大機小機」で複
眼子の書かれておられることに納得できない。多分に恣意的にGDPとGNPを使い分けて人をたぶらかしているように見える。
複眼子の書かれておられること
の抜粋:
- 最近財界トップの人たちとの会合で「人口減少は問題ではない」という発言を聞いて驚いてしまった。
- たとえ人口が減っても一人あたりの所得が上昇するなら問題ではない、と言う考え方である。
- こうした考えはとんでもない誤解だ。
- 理由は、まず高齢化。労働人口が減る結果、国民総生産(GNP)の規模もあまり増えない。増えないGNPの中で、増
え続ける高齢者の年金、医療、介護の社会保障費の比率がどんどん高まる。高齢者の社会保障比率上昇の原因は労働力人口の減少でGNPつまり全体のパイが増
えないことである。
- 今後扶養率(高齢者数を労働力人口で割った値)はどんどん増える。2050年には1.5人の労働力が稼ぎ出す所得
(GNP)で一人の高齢者の消費を面倒見ると言うことになる。
- だからこそ2004年の国の年金制度改革では国内総生産(GDP)つまり国全体のパイの増える範囲内に年金給付を抑
えることを決めた。(以下略。つまりここでいきなり「GNP」から「GDP」に変わり、このあとまた「GNP」に戻る)
普通の人にとってはGNPもGDPも同じようなものだろう。せいぜい「昔
はGNPという言葉が使われたが最近はなぜかGDPばっかりが使われるな、その方が正確なのかな」と言うぐらいなもんだろうが、GNPとGDPは違うので
ある。複眼子はそれを熟知しているからこそ、使い分けている。そこにとんでもない詭弁がある。
最近使われる「GDP」とは名前の通り「日本国内」における生産額であ
る。外国人が日本国内で働いて稼いだ所得は入っているが、日本人が外国で稼いだ所得は入っていないのだ。それに対して「GNP」は、外国人が日本国内で稼
ぐ所得は入っていないが日本人が海外で稼ぐ所得は入ってくる。「日本人の稼ぎ全体」を見るにはGNPなのだ。だから複眼子も最初はGNPで議論をはじめ
る。ところが肝腎の政策談義となると「年金給付は国全体のパイであるGDPの伸びの範囲に収める」とGDPが出現するのだ。詭弁である所以。
これは何を意味するのか?日本は今後どんどん海外投資を増加させ、海外か
らの収益に大きく依存する経済に変化していくことが確実視されている。つまりGDPは増えないけれどGNPは増えるという形になるのだ。それなのに年金給
付を増えないGDPに紐付けるという制度は、年金給付を恣意的に実力以下に抑えるというものなのである。
政府には、「年金制度とは働く人たちが引退者を支える制度である」という
強い思いこみがある。つまり「あいつらの面倒はあいつらに見させよう」というもの。しかし、勤労者ばかりではなく法人や投資家などの「稼ぐ人たち」全体が
「弱者」を支えるというのが国家ではないのか。
つまり日本企業や投資家が大々的に中国やインドに投資して現地の労働者を
搾取しまくって儲けた収益も年金給付に回すのだ。つまり国費の投入である。そうなれば年金問題も解消され、日本の高齢者を中国人・インド人労働者が支える
という図式が完成するのである。一衣帯水、アジアの民族はみな兄弟家族だ、という美しいことになる。
老人福祉に不相応なお金をばらまくことは良くないことだとは思う。しかし
この問題は複眼子が(一個所をのぞいては)一貫して言われているように「GNP」で考えるべきものだ。
PS)複眼子とは、さる官僚OBの高名なエコノミストのことだと推測して
いる。アメリカの恐慌分析で博士論文を書かれた人。GNPとGDPをうっかり間違える人ではない。
Posted: Wed - March 22, 2006 at 04:28 PM
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