中前忠は金利上昇が必要と言うが、その前に株価の回復が先だ
今朝の日経「経済教室」で中前
忠・斎藤朋子が金利を引き上げて利子所得を復活させるべきだと主張している。中前氏はたいへん尊敬申しあげているが、金利上昇はまだ時期尚早だと思う。
中前氏曰く:
- ゼロ金利政策による家計から企業への所得移転は消費の低迷をもたらした。
- 92年には12兆円の利子受け取りがあった家計部門は96年から支払い超過となった。03年は9兆円の利子支払い超
過。
- 金利が低下したことによりこの11年間で家計部門が失った利子所得は218兆円に上る。
- これに対して企業部門は140兆円、政府部門は125兆円の恩恵を受けた。
- 90年以降のバブル崩壊で金融機関と企業は大きな痛手を負ったが、家計の預貯金はほとんど無傷だった。だから経済が
立ち直るまでゼロ金利政策による家計から企業への所得移転が進められたがもうやめるべき時期に來ている。
- 金利が3%になれば家計の1000兆円の純金融資産は30兆円の利子所得を生み出す。個人消費の10%に相当する。
消費主導による経済成長が実現する。
中前氏は10年以上前、バブル崩壊により日本経済のバランスシート調整は
不可避であると指摘した。借り方側の資産が腐ってしまった以上、貸し方を減価させることでバランスをとらざるを得ない、株価の下落による資本の減少は避け
られないとした。それは正論だ。企業と投資家がその穴を埋めることでようやくバランスがとれたのである。でもこの過程で一人だけ必要な損失を負担をしな
かったのがいる。郵便貯金などに預けていた家計部門である。金利はゼロになって期待利益が消滅したと言うが、元本はまったく目減りしていないのだ。おまけ
にデフレ進行で実質的に利益を享受した。
株価は回復傾向にあるが、まだまだ低い水準だ。ピーク時の4万円は非現実
的としても2万5千円程度にならないと、投資家の元本割れは解消されないのではないか(基準時点をどこにおくかが問題だが)。その段階でようやく金利を上
げるという議論が可能だと思う。日本経済を押し上げてきたのは果敢にリスクをとる投資家たちだ。彼らに損失を押しつけたまま、リスクをとらずに儲けた人た
ちを更に儲けさせてはならない。
Posted: Mon - December 26, 2005 at 06:03 PM
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