「建築を学ぶなら谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』くらい読んでおくべきだ」(安藤忠雄)……明らかに誰も読んでいない!


今晩の日経夕刊で安藤忠雄が書いていること(「闇からとらえた日本的空間」)。その通りだと思うが、西欧の居住空間の方にむしろ『陰翳礼讃』の心があるのはどうしたわけだ?

最近の日本の住宅には『陰翳礼讃』の精神がない。のべつもなく「明るい」ことが良いとされる。照明はあの恐るべき蛍光灯だ。陰影なぞはどこにもない居住空間が出来上がっている。

こ れは、日本の戦後の公団住宅の「南向き重視」の設計基準と、日本の電機メーカーが広めた「明るいことは良いことだ」のコマーシャルによる伝統文化の変質で あると思う。あんな「明るすぎる」安っぽい居住空間で過ごしているのは世界広しと言えども日本人だけだろう。いまや『陰翳礼讃』の世界は「日本以外」の世 界の標準となっているものの、日本ではほとんど見かけなくなった。谷崎潤一郎が見れば嘆くこと必至(もともと日本だけの文化ととらえた彼の方に問題がある のだが)。

日本の国際化は、一般住宅から蛍光灯が駆逐された段階で、はじめて始まるのではないか。


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Posted: Thu - July 15, 2004 at 10:20 PM           |  


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