「ポジティブ・シンキングにも問題がある」(大野裕)


日経新聞夕刊 (2004.3.9) で慶応大学保健管理センターの大野裕教授はいいました:
結局のところ、ポジティブ・シンキングというのはマイナスの部分を単に無視しているだけなのだ。だからそれ以上の進歩は望めないことになるし、問題が大きくなっていくだけだ。
近来にない名言である。常に前向きで楽観的というのは、正直、うさんくさい。こういう「反ポリティカリー・コレクト」なことをことをはっきり言い得る人はエライ人だと思うな。

遠藤周作は、隣に住む常に自分を責めて夜中に大声で叫び声を上げるあわれな隣人を 「ともに語るに値する!」と書いた。人間とは恥ずかしい存在なのである。ネガティブなものなのだ。それを全く認めようともせず常に「前向きで脳天気」とい うのは、やはり尋常ではない。馬鹿なのだろう。でも今の世の中、こういう脳天気な連中だけが評価される。だから社会は軽薄になり「みんないっしょににバブ ルにまっしぐら」ということになった。

社会に対する批判的な観点というものは、常に己に対する懐疑的な視点から生まれるものなのである。自分に対して甘い人間(すなわち常にポジティブ・シンキングという人間)は信用できない。

Posted: Tue - March 9, 2004 at 09:46 PM           |  


©