「日本の食の基本は、カレーライスとトンカツ、それと煮物」(吉本隆明)
政府が「食育白書」なんてもの
を発表した(ここ)。あんなもんを読むより、吉本隆明を読む方がいい。この断定が
正しいかどうかの問題ではない。「食いもんへのこだわり」はいかにグロテスクで悲しいものかがよくわかる。
この本:
吉本隆明の食べ盛り時代は戦時中だったので、一番悲惨な戦後の食料難時代
にはもう大人だった。だから子どもの時代は案外いいものを食って育った。それでも、充分には食べられなかったようで、飢餓恐怖症から白米偏重の伝統食の悪
弊に染まったため、ながらく糖尿病。かれのいう「伝統食」の奴隷となったことが、病気につながった。心したいことである。
でも、いいことも言っている。懐石料理と高級レストランのフランス料理は
「得体が知れない」と。これは同意。あれは拘り過ぎだ。
つくづく、料理の味の好みとは個人的なものであると思う。吉本は「東京の
料理の味付けは淡白にすぎる」と断じる。九州出身のお母さんの味が一番とのことだが、関西人にとっては驚きの断定。しかし、これこそ料理の優劣の真実を物
語っている。好みとは所詮慣れ親しんだ味であるかどうかだけ。食材とか料理の味付けには、「能書き」はあっても、優劣はないのである。
「食」に拘るのは、卑しくって、格好が悪い。日本政府自らそんな格好の悪
いことを始めてしまった。特定の食習慣を「伝統的で優秀である」と断じる傲慢さだけは、持ちたくないものである。
「食」はともかく、この本には、社会論的、文学論的、政治論的に、数多く
の「目からウロコ」がある。30ぐらいあるか。一読おすすめ。
Posted: Fri - November 24, 2006 at 09:09 PM
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