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le Monde 4/3/2003 北京は多極化世界を信じてはいない


中国は今回のイラク問題で表 立って米国と対立する事を避けました。この理由、背景についての分析。大人の中国の面目躍如たるものがあります。彼等は本当に現実的で頭がいいのです。日 本にとっても参考になるところが多い。


Pékin ne croit pas au monde multipolaire (2003.4.3)

北京は多極化世界を信じてはいない

フランスの外交が切望しているような多極化世界を建設 するためには、複数の極が必要である。当たり前の事であるが、時として忘れがちだ。冷戦時代の二極世界の生き残りであるヒューベルト・ヴェドランがいうと ころの「唯一の超大国」(アメリカ)に対抗できる候補国はそんなにたくさんいない。ヨーロッパはそこまで出来ないし、ロシアも帝国の崩壊でそんな余裕はな い。

中国といえば、昔なら超大国を気取ったかもしれない が、現在はもっと「成熟した」外交コンセプトを持つようになっていると、中国の国際関係を見守っている研究者は言う。別の言い方をすれば、中国の考え方 は、もっと宿命論的というかシニックなもので、アメリカが今後何十年に渡り国際システムを牛耳っていく以上、中国としてはそれを前提として行動し、出来る 限りのものをそれから引き出しながら経済成長を目指すのが得策であるというものである。その後のことはその時考える・・・。とにかくこういう考え方が、今 まではっきりした形では表明されていないものの、中国の要人の演説から演繹的に引き出す事が出来るロジックなのである。

中国はイラク紛争において慎重な姿勢を見せたのはこの ためである。アングロサクソン連合の一方的行動には不同意との姿勢を見せながらも、フランス・ドイツ・ロシアの(イラク戦争反対の)共同宣言には参加しよ うとはしなかった。もしイラクへの武力行使を認める二番目の国連決議が安保理で採択される事となったら、中国は棄権以上の反対姿勢は見せなかったであろ う。中国政府内部でもそのような中国政府の外交態度を煮え切らないとする批判さえ存在したぐらいだ。

どうして中国がこの様に慎重だったか、いろいろな理由 を挙げるて説明する事が出来る。まず国連のお墨付きなしで始めるこのイラク戦争は国際関係の(前例のない)パラダイムの変化ではない事。次に中国は間接的 にしかこの件に関係しないと感じている事。イラクは遠いこと。また中国は中東の石油に依存はしてはいるが、その供給はアメリカが保証してくれているように 見える事である。

更に、1999年のコソボ紛争の時に、中国の研究者に よれば、同じような懲罰行為が為されている。ベルグラードの中国大使館が爆撃された事以上に、この紛争は独立国に対する国連の承認なしの介入であったこと が重要なのだ。中国は、コソボ問題が少数民族の権利を尊重しない国家に対しては内政干渉になろうとも国際社会の介入は正当化できるという前例を作ってし まったと懸念している。中国はチベット問題を考えているのだ。コソボ問題のもう一つの教訓は、アメリカに立ち向かうのに外の列強との連帯は頼りにならない という事である。中国の大学教授は「中国とロシアが政治的解決に前に武力行使をする事は止めるべきだと共同宣言を発表した同じその日に、チェルノムイルジ ン首相はミロシェヴィッチに対して爆撃されている中で政治協定を受諾するように強制したのである」という。

受け入れられるためにする努力

同じようなシナリオが、もし中国が反米行動を大々的に やりすぎると予想されるのである。イラク戦争後はまた前の原状に戻るだろうと中国の米国研究家は予想するのだが、彼等は大西洋の両側の(アメリカとヨー ロッパの)相違点よりもむしろ類似点を強調する。「フランスはアメリカの同盟国であり、いくらアメリカを批判しても関係は破綻する事はない。フランスとア メリカは同じ世界のメンバーなのだ。ところが中国は西欧社会に属さないし国際社会の完全な一員でもない。中国は一種の「エイリアン」と考えられているの だ。中国は民主国家でもないし、ロシアのように民主化の過程にある国でもない」という。

安定した米中関係が、地域の平和にとって一番重要であ り、それが一番の心配事であると中国政府は考えている。中国はジョージ・ブッシュとその顧問団が、大統領選挙の前哨戦で、ソ連が崩壊した今中国が第一の敵 対者であるとのレトリックを使った事を忘れてはいないのである。

9月11日のテロ直後に中国の代表団が米国を訪れ中国 は米国と連帯してテロ活動に対処するとの宣言を発表したが、これは中国内部のウイグル地区のイスラム教徒の脅威(脅威と言うにはちょっと大げさだが)を弾 圧する一種の信任状を取り付けた事となった。また、中国は、イデオロギーこそ大きく異なるものの、だいたいにおいて民主党の大統領よりは共和党の大統領と よりうまくやってきた。共和党の大統領は人権問題にうるさい事は言わないからだ。もちろん政権に拘わらず利害関係の衝突はあるが、世界全般の問題について またアジアの問題について、米国と中国には利害を共有する点が多いのである。だから(アメリカに対して)大げさな時期を得ないけんか腰を見せる事は考えら れないのだ。

中国政府の見方によれば、アメリカはアジアにおいて、 侵入者という一面を持つと共に、安定ファクターとの一面を持つのである。日本と韓国と協調関係を持つという事はこれと矛盾しない。反対である。中国の一番 の懸念事は北朝鮮であり、中国はアメリカがイラク問題を片ずければ今度は北朝鮮に介入しようとするだろうという事である。この懸念が、中国をしてアメリカ との戦略的関係を強化しようとする姿勢につながってくる。アメリカの朝鮮半島への武力介入が払う対価としての外交的損失の大きさを十分に大きくしておこう という腹だ。

同じ理屈付けは台湾問題に対しても適用される。現在中 国はとても慎重である。経済協力を通じても台湾列島の大陸への併合は忍耐が必要とされる(ゆっくりやる)と中国政府は言う。台北政府が独立宣言をして挑発 しない限りであり、そうなると話は別だ。しかし台湾はアメリカの支持なしにそれは出来ない。だからワシントンとの関係を密接に保つ事で中国はこのリスクを 軽減させる事が出来るのだ。こういうすべての理由で、中国は米国の一極支配に対抗して多極化世界の前衛となるよりは、アメリカの一極支配を受容する方を選 ぶのである。

別の国際関係論の教授は、もし中国が安保理の(イラク 戦争反対の)三か国連合に参加したとしても、イラクとの戦争は阻止できなかったであろうという。三か国の連帯に幻想を持つべきではないと言う。協力が功を 奏するためにはリーダーシップが必要だが、三か国のうちどこの国もそのリーダーシップを真に発揮できないという。

いろいろ言ったが、結論は明快である。現状においては 中国が世界多極化の運動に積極的に参加してくるとは期待出来ない。フランスなんかが多極化のイニシアティブを取ったとしても(中国は)口先では支持すると 言うだろうが、自分が先に立って行動するという事はない。結局、フランスとアメリカの対立は身内同士のケンカにしか過ぎない。しかし中国とアメリカの対立 は国際緊張を引き起こすのである。だから、中国は当面経済成長に専念して、そういう事はやろうとはしないのである。

Daniel Vernet

・ ARTICLE PARU DANS L'EDITION DU 03.04.03

Posted: Sat - April 5, 2003 at 09:19 PM           |  


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