安倍新総理がA級戦犯の責任を曖昧にしたのは、間違いだと思う


今日の国会で安倍総理は「A級戦犯の責任を国として判断できない」と述べた。これはよくない。とてもよくない。

何度も書いているが、日本には戦争責任がある。これは安倍総理も認めている。では「悪事」の責任は誰にあるのか? 従来の日本政府の公式見解は「A級戦犯が悪者だった」ということにあった。かわいそうだが、誰かが責任を取らないといけないのである。さもなければ、「悪事」の責任は国民全員が背負ってしまうことになるからだ。安倍総理がそこまで(A級戦犯の責任はまだよくわからないとまで)言うなら、「戦争責任は日本にない」とまで断定しなければ、国民が責任を背負い込むことになってしまう。これは願い下げである。

関連してある大事件の後始末の経緯を思い出した。もう十年近くも昔の話だから、言ってもいいだろう。ある大企業がとんでもない大不祥事を引き起こした。会社の存続にも関わる大事件である。その会社の社長は、親しい関係にあるさる有名大企業の社長に助言を求めた。電話を受けて訪問を受けるまで、この相談を受けた社長は熟考に熟考を重ね、訪ねてきた問題を起こした会社の社長に一言こう言った。「ドイツ方式で処理しろ!」

これでわからない人は、社長になる資格はないのである。問題を引き起こした会社の社長は、幸い頭のいい人だったので、この一言ですべてがわかった。この会社は多少時間がかかったが、不祥事から完全に立ち直って、今や大変な勢いを取り返している。

蛇足だが付言すると、これは第二次大戦後の戦争責任の総括方法を言っている。ドイツは、すべての責任はヒトラーにある、我々ドイツ国民は被害者だという総括で戦後処理をまとめあげた。戦争相手国から何を言われよう「それはヒットラーが悪かったのです、僕たちも被害者だから」で押し通した。それに対して日本は法制的にはサンフランシスコ平和条約に調印し、戦争責任はA級戦犯に責任があるとしながら、心情的には「一億総懺悔」などというあいまいなままで放置した。それが戦後数十年にわたり、おかしなことを引きずる結果となった。これが現代の混乱を引き起こした。中国や韓国に対する戦争賠償もあいまいなかたちのままでお茶を濁した。

安倍総理はここまで言うなら、その発言により日本国民が被る次のようなリスクに対して、明確に態度を示すべきだ:
  1. 戦争責任は、A級戦犯にはないとするなら、誰にあるのだ?
  2. 天皇陛下か? 日本国民全員か?
  3. もし責任が天皇陛下にあったなら、その責任の始末をどう付けるつもりか? 昭和天皇の遺骸を今から墓地から引きづり出して処罰するつもりか?
  4. もし責任が日本国民全員(国家)にあるというなら、韓国に対する戦後賠償をどう見直すのだ? また中国に対する戦後賠償は払わなかったが、今から新たに幾ら払うのか?

安倍総理は、20世紀の歴史観を見直したいという野望を持っているのかもしれない。でも、そういう考え方は、アングロ・サクソンや、引いてはヨーロッパ列強が作り上げてきた歴史観を否定するkものである。安部総理には、欧米列強の価値観との戦争に勝つ自信があるのか? 

国内のアホ・ウヨへの受けを狙って勇ましがるのはいい加減にしてほしい。このスタンスでは、日本は確実に国際的に孤立する。

Posted: Mon - October 2, 2006 at 08:14 PM           |


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