日経:生涯純受益、世代間格差大きく・内閣府試算……若い世代は最大一億円の割を食うという、ホンマカイナ?
今朝の日経記事。オンラインでも概略読める:60歳以上の世代は差し引き5647万円の受益超過となるのに対し、30代は負担の方が743万円多い。20歳未満の世代は負担超が3952万円で、格差は最大で1億円に迫り、世代間の公平論議にも一石を投じる内容だ。
年寄りの肩を持つわけじゃないけど、一面だけをみて全体を見ない詭弁のいい例だね。
この計算は阪大の本間正明教授らの経済財政諮問会議の民間議員が提出したもの。試算は内閣府。生涯にわたる一世帯あたりの政府投資などによる受益と社会保障関係の受益の合計と、所得税・消費税などの負担と社会保障負担の合計を対比させたもの。2002年時点で60歳以上の世帯主がめちゃめちゃ得をして、将来世代は割りばかり食うという結果になっている。もちろん内閣府がやる計算だから、個々の数字に間違いはないだろう。でも読んだとたんになんかおかしいと感じるのが普通の感覚。具体的に言おう:1)まずこれは世帯の「対政府」の負担と受益を表したもの。「対社会全体」ではない。この辺が基本的におかしいのだが、かりに「対政府」だけで考えても、大きな項目が抜けている。公的教育サービスが入っていない! 年寄りには公的教育支出はほとんどないだろう。若年層への公的教育経費は非常に大きい科目であるし、また中高年の再就職研修関連などの政府支出はどうなっているのだ。雇用促進関係や農業補助金などの無数の補助金とかはどうなっている。いま政府が使っている一般会計の大部分は、現役世代を対象としている支出ではないのか。さらに忘れていた、相続税収を抜かしている。老年層はだれでも死ぬのだが、死ぬときごっそり相続税を取られる人も多い。これは老人の最後の社会奉仕(負担)ではないのか。2)「対政府」以外の収支勘定を考えると、もっと大きな問題が出てくる。家計が負担する子供の養育費や教育費だ。一人あたり少なくとも2000万円かかるといわれている。高年層はそれを払ってきたが(若年層はまだ払っていない)、昔は子だくさん、いまは少子化であることを考えれば、高年者層の過去からの累積負担はもっと大きいことが当然予想される。3)さらに子供が結婚するときに親が負担する経費はどう勘定するのか。マンションを買うときに親の援助を受ける若年層は得していないか。4)まだ忘れていた。生命保険だ。老人が死ぬと若年層が生命保険を受け取るが、それも考えないと不公平。それから「対政府」勘定の所でも触れたが、親から相続する財産も若年層の「受益」だろう。書いていけばきりがないから、この辺で止める。いいたかったことは、要は親の世代は常にスネをかじられてきたということ。自分の稼ぎのうち自分に使う分と子供に使う分がまったく釣り合いがとれていないのだ。せめて政府が少しは穴埋めしてやらないとかわいそうだということなのである。何だか書いていて、かわいそうなゴリオ爺さん(ペール・ゴリオ)を思い出してしまった。バルザックの人間喜劇の名作。ゴリオ爺さんは、すべての財産を馬鹿娘たちにみつぎ続け、最後は無一文になってしまいましたとさ。
Posted: Wed - February 16, 2005 at 02:04 PM
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