日経春秋:「仲良きことは美しきかな」などと言っておられない
今朝の日経春秋までが橋梁鉄骨業界の入札談合問題。各紙の社説も軒並みこの問題。いずれも建前論が多い。だから巷では「談合がどうして悪いの」などという問いかけも散見する。やはり当ブログとしてもこの問題に触れないわけにはいかないようだ。
散人は会社でいろんな仕事をしてきた。後半の調査の仕事が長かったから、会社で付き合いの長い人でも、散人が大昔に国内の鉄骨橋梁業界がらみの仕事をしたことだの、ほとんど誰も知らない。でもこれは事実。会社に入って2〜3年目だったが、当時はかなり突っ込んでやっていた。東京湾13号地埋め立て地と有明を結ぶ首都高速の沈埋トンネルがあるが、トンネルの両側に立っている換気タワーの鉄骨工事とカーテンウォール(外壁)工事は、破傷風予防注射までして湾岸埋め立て地に日参し1年がかりで受注したものだ。散人が自分で注文書を書いた(下っ端の担当者であったから)。だからある程度はあの業界の体質を知っている。いまだからいえるが、あそこはまるで感心しない。
今朝の春秋子は、日本の談合体質と対照的な企業としてエッソ社の例を引いている。散人はエクソン(エッソ)とも海外で取引をしたので、同社の体質も知っている。春秋子のいうとおり、非常に倫理性に富む会社である。毎年クリスマスのシーズンになるとエクソンのトップから取引先宛に手紙が来る。クリスマスプレゼントはエクソン社社員に個人的な「コンフリクト・オブ・インタレスト(利害の衝突)」を引き起こすので絶対に止めてほしいという内容。贈り物を受け取ると、エクソンの社員は真面目だから贈り物をくれた人を友人だと思うようになる。で、購買などの決定にあたって友人関係を優先させるか会社の利益を優先させるかで悩むことになる。そんな悩みを社員にさせないでほしい。これはエクソンの利益に反するという手紙である。エクソンの各責任者は部下が倫理にもとる行為をしないように厳しく管理する責任を持っているのだ。もちろん、不祥事など起こればそれは部下が勝手にやったことだなどとのいい訳は通用しない。
「みんないっしょに仲良く楽しく」というのが大好きな日本の企業風土ではなかなか理解できないことかも知れない。しかし、倫理的なエクソン社などの米系石油会社と談合体質の日本の橋梁業界の二つの業界と付き合った経験から断言できることがある。談合体質は、法律違反である以上に、その業界の雰囲気を沈滞させ、その業界で生きる人間を、ゆっくりと着実に、そして確実に、駄目にしていくということ。ムラ社会が人間を窒息させることもあるが、会社を立てれば正義が立たずというような歌舞伎的ジレンマに人間の精神は長く耐えられるものではないからである。
「みんないっしょに仲良く楽しく」というのは、何も橋梁業界に限ったものではない。いまこそ、そのような業界に働く人達とその家族を、「なかよし主義」から派生する倫理的ジレンマから解放してあげることが望まれている。
日本の「なかよし主義」産業の代表といえば、やはり日本の農林水産業をあげないといけない。日本の農民と漁民のためにも、自由競争に向けて業界体質の改革が必要だ。
Posted: Wed - May 25, 2005 at 03:31 PM
|