「日本の高度成長もその後の急激な落ち込みも意外ではなかった、今やるべきこともごく当たり前のことだ」(ポール・サミュエルソン)


1月3日の日経経済教室でサミュエルソン大先生のご託宣。日経は「富める国へ積極行動の時」と題を付けているが、散人はもっと適切なタイトルを付けておいた。

抜粋:
  1. 日本の高度成長は奇跡ではあったが、私にとっては必ずしも意外ではなかった。米国南部でも同じことが起こったのを目撃していたから。20世紀末に日本が問題を抱えるようになった理由は次のものだ。
  2. 第一に、日本の特異な企業制度。それによってバブル崩壊への対処が遅れ損失を最小限にとどめることが出来なかったこと。
  3. 第二に、「全員一致を前提とした意志決定」という日本独特の企業慣行に本質的な欠陥があったこと。
  4. 第三に、日本の終身雇用制が非効率で硬直性を助長する欠陥があったこと。
  5. 第四に、日本には優秀な経営学系の大学院(ビジネススクール)や経験豊かなケインズ経済学者が存在せず、国会や肥大した官僚制も、クルーグマンのような学者の助言を聞き入れなかったこと。
  6. かつての日本が欧米にしてきたことと同じことを中国やインドが日本に対してしている。こうした状況は長く続く。
  7. 少なくとも日本は国内貯蓄の低金利を容認するのを止めるべきだ。日本の個人貯蓄者にとってよくないことは政府にとってもよくない。
  8. 日本の労働者は現在よりも長期にわたり働き続けなければならない。多くの人は70歳になっても生活のために働き続けなければならないだろう。
  9. 女性も働かなくてはならない。さもないと世帯あたりの所得と貯蓄が維持できないだろう。
  10. インフレ率は年率1〜3%に引き上げた方が一般国民は利益を得ることが出来る。そうすれば金利も他国並みに戻すことが出来る。
  11. ロビイストの献金で当選した国会議員が分別のない公共事業を推進することがあれば、これらすべて危険にさらされる。
  12. 消費税の引き上げの議論を日本ではじめるのは時期尚早だ。
  13. 賢明で積極的な行動を起こすことが、私の日本への最大の提言だ。

要は、「経済を拡大させるには生産性の上昇と投入量の増加の二つしかないが、ニッポン人にはあまり生産性を上昇させる知恵を期待できそうにない。だったら投入量を増やせ(老人も女性ももっと働け。インフレも人間を忙しく働かせる効果がある。頭を使うことが出来ないならせめて足を使え)という提言だ。まことに理屈にかなっている。

サミュエルソン先生は、まだまだ耄碌していない。いや、年をとったからこそ外交儀礼抜きできついことを平気で言えるのだ。ニッポンの政治家は真摯に耳を傾けるべきだろう。

Posted: Fri - January 4, 2008 at 03:19 PM           |


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